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更新日:2012年10月15日

懲戒処分の基準の改正にかかる第1回団体交渉

「懲戒処分の基準」は組合員の身分に
かかわる重要な課題
市側のより丁寧な対応を求める!

 市労連は、10月5日、午後1時30分から「懲戒処分の基準の改正」に関する提案を受けた。

 市側は、「職員の政治的行為の制限に関する条例」「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」などの制定に伴い、これらの条例に違反した場合の懲戒処分の基準を定めるとともに、休暇の虚偽申請やわいせつ行為を繰り返し行った場合等の懲戒処分の基準を改正するとして提案を行った。

 これに対し、市労連は、「職員基本条例」「労使関係に関する条例」を労使合意なく制定させたことや、関係する「職員の政治的行為の制限に関する条例」について、第三者調査チーム報告など、事実誤認に基づき一方的に制定させた、この間の市側姿勢について厳しく指摘を行った。

 その上で、「懲戒処分の基準」については、組合員の身分に直接関わる重要な課題であることや、市側から「職員の政治的行為の制限に関する条例」の解釈・運用などについても、別途、説明を行うことが表明されたことから、市側のより丁寧な対応を求め団体交渉を終了した。

市側 本市では、懲戒処分の基準を改正するために、大阪市職員基本条例の改正案を、市会に提出する準備を進めている。市会に提出する前に、本日この場で提案したい。

 「職員の政治的行為の制限に関する条例」、「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」及び「職員の退職管理に関する条例」の制定等に伴い、これらの条例に違反した場合の懲戒処分の基準を定めるとともに、休暇の虚偽申請やわいせつ行為を繰り返し行った場合等の懲戒処分の基準を改めるため、提案するものである。

1 政治的行為の制限に関する条例に違反した場合

 条例で制限されることになる政治的行為を行った場合については、「停職、減給又は戒告」とする。ただし、市政に対する信用を著しく失墜させ、又は公務の運営に重大な支障を生じさせた場合は、「免職、停職」とする。

2 政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例に違反した場合

 政治的中立性を欠いた行政活動については、「停職、減給又は戒告」とする。

3 大阪市職員基本条例第48条又は職員の退職管理に関する条例に違反した場合

 職員の再就職をあっせんした場合又は再就職者による働きかけに応じた場合は、「減給又は戒告」とする。

4 休暇等の不正取得を繰り返し行った場合

 休暇等の不正取得を繰り返し行った場合は、「免職又は停職」とする。

5 賭博を行った場合

 賭博を行った場合は、「減給又は戒告」から「停職、減給又は戒告」に改める。

6 公然わいせつ、盗撮等を繰り返し行った場合

 公然わいせつ、盗撮等を行った場合は「停職又は減給」から「免職又は停職」に改め、繰り返し行った場合は、「免職」とする。

7 飲酒運転に係る懲戒基準の改定

 飲酒運転を酒気帯び運転と酒酔い運転に区分し、酒気帯び運転で人身・物損事故の場合は「免職」、事故がない場合は「免職又は停職」とし、酒酔い運転の場合は「免職」とする。

8 遅刻又は早退を繰り返した場合

 遅刻又は早退を繰り返し行った場合は、「戒告(教職員にあっては減給又は戒告)」から「戒告」に改める。

9 交通事故後の措置義務を怠った場合

 交通事故(酒気帯び運転の場合を除く。)により人に傷害を負わせた後、措置義務を怠った場合は「停職又は減給(教職員にあっては免職、停職又は減給)」から「停職又は減給」に改める。

 提案は以上であるが、皆様には何卒ご理解・ご協力賜りたい。

組合 この間、「職員基本条例」や「労使関係に関する条例」などについて、市側は、われわれとの合意を得ることなく一方的に議会に上程し、制定させたものと認識している。本件提案にあたって、交渉による合意を求めるのであれば、これまでの不誠実な対応を改めるべきであると冒頭に指摘しておく。

 その上で、まず、「職員の政治的行為の制限に関する条例」が地公法36条第2項第5号を活用して条例化された根拠について考え方を示されたい。

市側 地方公務員法第36条第2項第5号は、「前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為」を制限できる旨を定めており、地方公務員については、法律で画一的に詳細な規制を定めるべきではなく、地方自治体ごとの実態を考慮して判断すべきものであるという観点もある。

 本市では、第三者調査チームの報告において、本市において公務員に求められる政治的中立性を揺るがす事象が生じていることが指摘されていることから、本市職員の政治的行為を国家公務員並みに制限することを条例で定めることにより、職員の政治的中立性を保障し、本市の公正な運営を確保し、市民から信頼される市政を実現するために、本条例を制定した。

組合 只今、回答があったが、地方公務員法第36条第2項第5号では、確かに「条例で定めることができる」と規定していることは否定しないが、第三者調査チームの報告にも「これまでの調査では地公法や公選法において規制される政治活動に明確に該当するような行為があったとは評価できない」と報告されているように、政治活動で法的に違反した事実はどこにも見当たらないのに、これを活用して政治活動を制限されることは、われわれとしては、納得し難い。

 そもそも、地方公務員法第36条第5項で、「本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。」とされており、同項の趣旨に反するのではないのか。

 逐条地方公務員法によると、「地方公務員法第36条第2項第5号により、『前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為』を制限する余地はほとんどない」「これは、地方公共団体によって異なる政治的行為の制限をなしうることを認めるものであるが、欠格条項の特例及び失職の特例を条例で定めうることとされていることと並んで、わが国の実情からみて立法上問題があるように思う」とある。

 そのような解釈もある中で、大阪市では、なぜ、条例で新たに政治的行為を制限するのか。

市側 繰り返しになるが、地方公務員法第36条第2項第5号が、「前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為」を制限できる旨を定めている趣旨は、地方公務員については、法律で画一的に詳細な規制を定めるべきではなく、地方自治体ごとの実態を考慮して判断すべきものであるという観点もあると考えている。

組合 そもそも、「職員の政治的行為の制限に関する条例」については、交渉すら行われておらず、条文の解釈や運用の詳細について説明のないまま、「懲戒処分の基準」にかかる項目のみが提示されたところであり、十分に理解し難い。われわれとしては、組合員の身分に直接かかわる重要な課題として、交渉に応じることとするが、そのためにも市側のより丁寧な対応を求める。

 また、地方公務員法第36条の違反に関する他都市の状況も合わせて確認していただきたい。

市側 「職員の政治的行為の制限に関する条例」の制定することは、管理運営事項であり交渉事項ではないが、条例の制定に伴う懲戒処分の基準を制定することは、交渉事項であると認識しており、誠意をもって交渉したいと考えている。

 また、懲戒処分の基準を制定(改正)することとなった条例の解釈や運用については、改めて小委員会において説明することとしたいのでよろしくお願いする。

以 上

 

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