本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

2012年5月23日

「給与制度改革」問題にかかる第1回対市団体交渉

市側は技労水準の見直し、給料表の級間の「重なり」幅の縮減などを提案
市労連は、この間の交渉経過を蔑にする市側姿勢を厳しく批判 !

 5月23日午前9時00分から実施した団体交渉において、市側から「給与制度改革」として、(1)住居手当の見直し、(2)給料表の級間の給料月額の「重なり」幅の縮減、(3)技能職員の給与水準の見直しなどの提案があった。

 市労連は、この間の交渉経過を一切無視した削減提案に対して、単に府や国の水準に合わせようとする市側姿勢を厳しく批判するとともに、とりわけ技能職員の給与水準引き下げについては、国や府と大阪市の現業職員の実態が大きく異なっていること等について市側認識を質した。

 市側は、「国から、わたりに係る課題のある団体として指摘がある」「民間の同一又は相当する職種の給与と比較して高いとの指摘があり、職務給の原則や公民比較について、不十分な点があると認識している」などの発言や、先日公表された「市政改革プラン(素案)」にも給与制度は民間並みをめざすと記載されていることを例示して、「今回の改革は、大阪市の方針を具体化するということで提案している」等と、一方的な考えを表明することに終始した。

 市労連は、繰り返し市側姿勢を厳しく追及するとともに、「今日の提案は到底受け入れられない内容」「再考がなければ妥結はあり得ない」ことを表明し、団体交渉を終了した。

市側 給与制度改革について提案を行いたい。

提案文書

 本市では、平成19年度に人事給与制度改革を実施したが、以降、5年が経過しており、社会経済情勢や本市を取り巻く行財政状況、職員構成等は、著しく変化しており、限られた財源や人的資源を有効に活用しつつ、職員の給与等勤務条件について、より一層市民の理解を得られるものとすることが重要なことから、提案をさせていただく。

 1の住居手当見直しについて、この間の国からの通知や、他都市状況に鑑み、持ち家に係る手当区分を廃止したい。

 2の給料表の級間の給料月額の重なり幅の縮減について、職務給の原則をより一層徹底するため、各級の最高号給付近をカットすることとしたい。

 給料表ごとの具体の改正後の号給並びに上限額は記載のとおりであるが、各級全て、大阪府の補職ごとの上限金額をベースとしたものとしている。

 3の技能職員の給与水準の見直しについて、民間の同一の職種又は相当する職種の水準との均衡を考慮し、国の行政職俸給表(二)に切り替えることとしたい。具体の切り替え方法について改めてお示しするが、職務の級についてはそのままで、号給の決定については同額若しくは直近下位に決定することとする。

 4の現給保障の廃止について、行政職給料表3級相当級の号給カットに伴う現給保障、平成19年の給与構造改革に伴う現給保障について廃止したい。

 5の経過措置の導入について、今回の改革により、改正後の給料月額が、改正前の給料月額を下回る場合については、一度に引き下げず、改正後給料月額に達するまで毎年度4%ずつ引き下げることとしたい。ただし、特例減額の適用を受けている場合、経過措置中のカット前給料が、改正前・カット後の水準に達するまでは、改正前・カット後の水準を下回らないこととする。また、経過措置中のカット前給料が、改正前・カット後の水準を下回ることとなった場合、給料カットの適用から除外し、経過措置額をそのまま適用することとする。経過イメージ図を添付しているのでよろしくお願いしたい。

 最後に実施日であるが、平成24年8月1日としたい。以上よろしくお願いする。

 なお、これまで各任命権者においては、市長部局の行政職給料表・技能労務職給料表などに準じた給料表を設けていたが、交通局については、3番目の技能職員の給与水準の見直し、4番目の現給保障の廃止については、独自の取り扱いと、病院局については、2番目の給料表の級間の給料月額の重なり幅の縮減のうち看護師に係る給料表と、3番目の技能職員の給与水準の見直しについて、独自の取り扱いとさせていただき、改めて、任命権者から単組に対し、交渉申し入れを行うのでよろしくお願いする。以上が提案であるが、ご理解賜るべく精力的に協議したいのでよろしくお願いする。

組合 今、市側提案を聞いたが、組合員の生活を考えず、本当に乱暴な削減提案である。この間の賃金確定交渉を積み重ねてきた結果が、現在の給料表であり、それらの経過を一切捨象して一方的な削減提案をするその市側姿勢は、決して認めるわけにはいかない。

 冒頭、情勢は著しく変化している等と言われたが、労使双方で確認してきた現在の給与水準を一方的に削減することについて、まずは市側認識を明らかにすべきである。

市側 給与制度についてはご指摘のとおり、皆様との交渉と合意を重ね、現在に至っていることは十分認識している。しかしながら、国からは、わたりに係る課題のある団体として指摘があることや、民間の同一又は相当する職種の給与と比較して高いとの指摘があり、職務給の原則や公民比較について、不十分な点があると認識している。

 これまでも、さまざまな状況の変化に応じ、給与制度について交渉し、合意に基づき実施してきており、今回の改革についても同様の考え方に基づくものである。

組合 市側の責任性が全くないし、国あるいは他都市の状況、顔色を見て考えていると認識せざるを得ず、そのような説明では納得できない。その上で、何点か問い質したい。

 まず、昨日の新聞に、提案もされていないのに大きく報じられている点について、意思決定をするのは当局責任と言うのは結構だが、組合員の勤務労働条件に直接関わる内容だけに、慎重に扱うべきである。これまでも、マスコミ報道が先行し、交渉を開始するまでに市側の意思が公表されている。市長の命とはいえ、組合員にこれまでにない負担を強いる提案が、軽々に取り扱われているのではないのか。

 言ったか言わなかったかの話ではなく、交渉内容に関わる内容が事実として報道され、我々との交渉の前に世論形成がはかられている実態は、我々として看過できない。当局側の自省を強く促すものである。

 昨年度の交渉の際、組合員の勤務労働条件に関わる点について、市側は、職員の勤務意欲の向上のためにも重要な課題であるとの認識を示しており、その上で、使用者として誠意をもって対処するとの回答があったと記憶している。誠意を持って対処するとした市側回答があったにもかかわらず、年度途中に改正提案をするとは極めて問題である。果たしてこのようなことで、職員の勤務意欲が向上して市民サービスの向上につながるのか、甚だ疑問である。

 現在の大阪市の給与制度は、長年の労使交渉や労使協議の積み重ねの結果として構築されてきたものであり、言うまでもなく労働条件の根幹である。

 過去の交渉経過を無視した提案であり、再度市側の説明を求める。

市側 今回の給与制度改革については、2月に当初予算の説明を大阪市としてプレス発表した際に項目については説明をしている。内容について、市議会でも議論されてきた経過がある。今回の提案内容については、市からは公表していないので、十分ご理解いただきたい。次に、これまでの積み上げてきた考え方と逸脱しているという主旨の内容について、先ほど申し上げたとおり、この間労使で交渉を重ね、指摘も頂いたことも認識をしている。今回の提案についても十分ご理解いただけるよう誠意をもって対応していきたいということは、これまでとも何ら変わるものではない。ただ、大阪市の抱える状況、社会環境等の変化に対して、市として対応していく必要があるということを先ほど申し上げたが、国からの指摘や、民間との比較について、大阪市として不十分なところがあると認識しているので、今回提案している。ご理解いただきたい。

組合 誠意をもって取り組むと言われたが、去年の11月に交渉して今年度の給与水準を決めたところである。確かにその後に市長が変わったことはあるにしても、その時点と何がどう変わったのかよくわからないし、理解できない。国からの指導は今に始まったことではなく、人事委員会からの報告・勧告内容に沿った市側提案について交渉・協議を行い合意してきた。

 民間との給与比較については人事委員会勧告制度のもとで行われ、民間並みの水準は守られている。比較給与項目の範囲内においてどのように配分するかは個々の自治体でも異なるものである。府並みにと、冒頭の説明の中で言われたが、我々の給与決定システムを蔑ろにするものでもあり、簡単に納得できるものではない。

 今年に入って実施した給料カット交渉でも、大阪府のカット率をそのまま活用する提案があり、我々としても大変厳しい交渉を積み上げてきたが、我々の思いは十分届かずに、結果としてカット率は譲歩されることなく4月から実施されている。その際にもカット率は府並みにということであった。

 今回提案も、府並みに合わせることを念頭に置いた提案としか思えないし、先ほど提案のあった行政職給料表の号給カットもそうである。とりわけ技労の場合は、府というよりも国の行(二)の給料表を張り付けているだけのようになっているので相当問題がある。特に、府との関係性からすると、職員数や採用実態も異なり、大卒・高卒・専門職など、職域も職員構成も随分と違う。よって給料表の構成も当然違うし、昇任・昇格など人事面での処遇も大きく違っている。

 加えて、現業職については府や国の中身とはずいぶん違っており、大阪市の業務内容・業務実態も多種多様にわたっている実態が当然ある。

 行政職給料表の最高号給付近を大幅にカットし、説明では府の号給の水準に合わせるとのことであるが、このような大幅な号給カットは給与制度の根本に関わる問題である。

 2007年の給与構造改革時に、労使双方が幾度となく喧々諤々の議論を行い、繰り返し交渉を積み重ね、合意してきた結果が現在の給与制度である。

 特に、行政職給料表、技能労務職給料表を、大幅に削減、水準見直しを行う、としているが、制度の根幹にかかわる内容であるにもかかわらず、提案内容を見る限りでは、制度全体を視野に入れ、市側自らが主体的に検討されたものとは、到底、言い難い。しかも、制度を見直してきたにもかかわらず、さらなる給与水準の引き下げを行うとしており、また構造改革や行政職給料表3級最高号給の見直しの際に合意の前提として行ってきた現給保障についても一方的に廃止しようとしている。

 この間、労働組合も交渉を通じて、人事そして給与制度全般に関わる制度を確認してきているが、人事給与制度全般に対する市側の認識を改めて伺いたい。

市側 今回の提案については、只今、市会に上程している大阪市職員基本条例案において、職務給の原則の徹底と情勢適応の原則について明記をし、その給与のあり方についても方向性を示している。また、市政改革プランの素案においても給与制度については、民間並みを目指し、大阪にふさわしい自治の仕組みづくりを見据え、円滑な職員の移行を行えるよう大阪府との間で整合性を考慮し、改革をより進化させた制度を構築するといった本市の考えを示している。今回の改革については、大阪市の方針を具体化するということで、提案をしている。よろしくお願いする。

組合 市長が変わって、新しい改革プランも出されたことについては理解・認識をしているが、給与制度の骨格に関わる内容なのに、率直に言って相当乱暴なやり方である。今までの交渉結果を蔑ろにするものであり、今の説明だけでは納得できない。

 加えて、住居手当の持ち家に対する支給の是非に関しては、この間、市人事委員会からも意見が出されていることは重々承知しているが、人事委員会から廃止せよとの勧告は出されていない。人事委員会からの意見や報告を尊重してきたからこそ、持ち家手当まで踏み込んで廃止提案をしてこなかったはずである。このことを尊重すべきではないのか。情勢が変わったからと言われるが、人事委員会の報告・勧告の下に我々の給与は決まっており、当然官民の給与比較項目の一部にも入っている。急に市政方針が変わったからといって、それに合わせなければならないと言われても納得しがたい。やはり、人事委員会の考え方を尊重するべきであると言わざるを得ないし、それを敢えてすることについては人事委員会の考えも否定することにつながるのではないのか。

 何が何でも府並みにと言われているように聞こえて仕方がないし、単に府に合わせれば良いかのごとく市側姿勢は極めて問題である。

 さらに、この8月1日から実施する、急遽、制度を変えるということも我々は理解できない。年度途中から変えるという手法は極めて乱暴であり、昨年の秋に確定交渉を通じて2012年度の勤務労働条件を決定してきたことは、少なくとも年度内は守るべきではないのか。秋に労使で確認して決着した内容を、一方的に反故するものである。

 当局サイドのスケジュールに沿って、是が非でも7月議会で給料の改正条例を上程するというやり方は、労使が対等の立場で労働条件について交渉・協議して合意するとしてきたことと相反するものである。

 いずれにしても、今回の提案は相当数の職員に影響する内容である。まず、入り口段階での市側の姿勢、この間の労使交渉で決着・合意してきた内容を根本的に覆すような姿勢に強い憤りを覚えると改めて申し上げておく。

市側 ご意見を頂いた。今、本市の姿勢というものを説明させていただいたが、本日は提案させていただいたところで、もう少し丁寧に説明をしたいと思うので、よろしくお願いする。

組合 府市統合という目標の中での大阪市の大きな方針の提案と聞こえたが、職員の生活設計について全く考えていない提案である。今日の提案は到底受け入れることのできない内容であり、再考がなければ妥結はあり得ないことを申し上げておく。

 今日の提案について、どのように問題があるのか我々としてもしっかりと検証したいと考えている。今日は以上である。

市側 只今、厳しいご意見をいただいたが、本市としては、提案について、ご理解・合意を得るべく、精力的に協議したいのでよろしくお願いする。

以 上

給与制度改革について

 本市では、平成19年度に人事給与制度改革を実施しましたが、以降、5年が経過し、社会経済情勢や本市を取り巻く行財政状況、職員構成等は著しく変化しており、限られた財源や人的資源を有効に活用しつつ、職員の給与等勤務条件について、より一層市民の理解を得られるものとすることが重要なことから、以下のとおり提案します。

1 住居手当の見直し

 「持ち家」にかかる手当区分を廃止する。

(参考)

参考

2 給料表の級間の給料月額の「重なり」幅の縮減

 「職務給の原則」をより一層徹底するため、各級の最高号給付近をカットし、級ごとの給料月額の重なり幅を縮減する。

【行政職給料表】

行政職給料表

【研究職給料表】

研究職給料表

【医療職給料表(1)】

医療職給料表(1)

【医療職給料表(2)】

医療職給料表(2)

【医療職給料表(3)】

医療職給料表(3)

3 技能職員の給与水準の見直し

民間の同一の職種又は相当する職種の水準との均衡を考慮し、技能労務職給料表を国の行政職俸給表(二)に切り替える。

現行「技能労務職給料表」

現行「技能労務職給料表」

国「行政職俸給表(二)」

国「行政職俸給表(二)」

4 現給保障の廃止

 行政職給料表3級相当級の号給カット等に伴う現給保障については廃止する。

5 経過措置の導入

 実施日における給料月額(以下「改正後給料月額」)が、実施日の前日に受けることとなる給料月額(以下「改正前給料月額」)を下回る者については、改正後給料月額に達するまで、改正前給料月額の100分の4に相当する額を、毎年度引き下げることとする。

 ただし、特例減額の適用を受けている者の支給額は、経過措置中の特例減額前給料月額が特例減額後の改正前給料月額に達するまでは、特例減額後の改正前給料月額を下回らない額とする。

 また、経過措置中の特例減額前給料月額が特例減額後の改正前給料月額を下回ることとなった場合は、特例減額の適用を除外する。

※ 特例減額‥平成24年4月から平成27年3月までの給料月額の減額措置

6 実施日

平成24年8月1日から実施

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会