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更新日:2012年1月30日

「新たな人件費削減の取り組み」にかかる第1回対市団体交渉

組合員ベース9%~3%の大幅給与カットを提示
退職手当5%カットも同時提案
カット率の根拠・対象者の問題について指摘

 市労連は1月19日午前11時から対市団体交渉を行い、「新たな人件費削減の取り組みについて」提案を受けた。

 交渉で市側は、「本市の危機的な財政状況に対応するため、補填財源に依存することなく収入の範囲で予算を組むことを原則としながら、持続可能な行財政基盤の構築に取り組む。まずは職員自らが身を切る姿勢を示していくという視点で今回提案した」と述べ、本年4月から3年間の「新たな人件費削減の取り組み」について協力を求めた。

 市側提案に対して市労連は、冒頭中村委員長から、「これまでの間に、人員削減などにより200億円以上の協力してきた」「事前協議もなく、一部報道が先行してカットの提案が流れている。不誠実な対応と言わざるを得ない」と指摘し、労使間の交渉ルールの徹底を求め、さらに、「提案内容は組合員の生活に大きな影響を与える」「これまで対象除外であった任期付・臨時的任用職員など非正規職員までが対象として入っている。格差社会の是正に取り組む労働組合としては問題」と述べた。さらに田中書記長からも、人事委員会勧告制度に対する市側の認識やカット率を大阪府並みに設定した根拠等についても指摘した。

 最後に市側に対して、「これまでの労使協議の経過を踏まえた対応と市側の主体的な努力がなければ解決にならない」と誠実な交渉を求め団体交渉を終了した。

 市労連は、今後小委員会交渉を通じて提案内容の分析と解明を行っていく。

市側 ただいまより大阪市から提案させていただく。

 市労連の皆様には平成21年度以降、継続して給料カットにご協力いただき、改めてお礼申し上げる。

 現在実施中の給料カットについては、昨年1月の交渉で、平成23・24年度の扱いについて提案し、平成24年度分については別途の協議としていたところであるが、本日は、改めての提案とし、「新たな人件費削減の取り組み」について提案する。

 本市では、危機的な財政状況に対応するため人件費をはじめ歳出削減に努めているところであるが、扶助費の増加や市税収入の減少など引き続き非常に厳しい状況にある。また、今後の予算編成にあたり、将来世代に負担を先送りしないため、補填財源に依存せず、収入の範囲で予算を組むことを原則としており、中期的な財政収支概算で見込まれる累積収支不足の解消はもとより、持続可能な行財政基盤の構築に取り組むため、これまで以上に歳入の確保と合わせ、大幅な歳出削減に取り組む必要がある。

 このため、新たな人件費削減の取り組みとして次のとおり実施したい。

 1点目として、給料月額の減額であるが、実施内容については給料月額を次の区分により減額する。再任用職員以外の職員9%~3%、行政職給料表、研究職給料表、医療職給料表(1)、(2)、(3)、技能労務職給料表、それぞれの減額率を適用する。なお、医療職(1)については弘済院に勤務する職員、医療職(3)の給料表については弘済院に勤務する看護師、準看護師、助産師の職員については適用除外とする。

 続いて、再任用職員については5%、4条任期付職員、育休任期付職員については3%、臨時的任用職員については3%と考えている。

 実施期間については平成24年4月から平成27年3月までとする。

 2点目として、退職手当の減額であるが、実施内容としては支給額の5%を減額する。なお、平成19年4月実施の給与制度改革に基づく経過措置も減額の対象とする。

 実施期間については、平成24年4月から当分の間とする。

 提案内容については以上であるが、ただいま説明した提案内容については「市長部局」のみ詳細を記載しているが、他の任命権者についても市長部局に準じている給料表については同様の扱いとし、独自の給料表については各任命権者と各単組間でと考えている。

 提案は以上である。

組合 今、正式に提案を受けた。質問に入る前にまず基本的な姿勢について、3点お聞きしたい。

 1点目であるが、本日の提案内容は給料や退職金の削減もあり、私たちの生活設計に大きく影響する内容である。にもかかわらず、事前に協議もなしに提案する姿勢は非常に問題があると考えており、現在まで、交渉ルールは労使で確認していたが、一方的に市側が反故にしようとしており、その姿勢は不誠実であるとしか言いようがない。

 さらに、本日の提案内容とほぼ同等の内容が、すでに一部マスコミで報道されている事実もあり、提案前からカットの内容が既成事実として形成されていると受け止めざるを得ない。私たち労働組合と誠実に交渉しようと本当にしているのか、疑念を抱かざるを得ない。まず冒頭に、勤務労働条件に極めて大きい影響を及ぼす課題でもあり、交渉するにあたり、これまでと同様に丁寧な取り扱いを求めるとともに、改めて市側に交渉にかかわるスタンスをお伺いしたい。

 2点目であるが、私たちは、基本的には、いかなる状況であっても住民サービスの低下は極力避けるべきと考えている。これまでも、大阪市の厳しい財政の立て直しに協力するために、新規職員の採用凍結などによる人員削減や、事務事業の見直し、さらには平成21年度から3年間、5%をスタートに、現在も2.4%の給料カットに協力をしている。この3年間の給与カット、人件費削減については一般会計だけでも200億円以上にも上っている。しかしながら、今回の提案は、これまでの交渉でも市側が述べていたような、新たな財源確保に向けた取り組みなども示されないまま、職員の給与を削減するといった提案のみが先行している。職員にのみ痛みを伴う内容となっており、これまで私たちが給料カットに協力してきたことに対して何ら評価されないまま、新たな、しかも大幅な減額提案が提示されたことは、極めて残念であり、納得できるものではない。

 この間、勤務労働条件をはじめ、私たちが協力してきたさまざまな課題に関して、どのように認識しているのか、使用者の立場から見解を示していただきたい。

 3点目であるが、対象者の範囲で、ただいまの提案を聞いて非常に驚いている。これまでも適用除外としていた任期付職員や臨時的任用職員、いわゆる非正規の労働者まで含んでいる。格差社会の是正を求めている労働組合としては極めて問題があると認識している。

 格差問題が社会的にも大きくクローズアップされている中で、行政として格差是正すべきところ、低賃金でがんばっている非正規労働者にも対象を広げるといった姿勢には問題があり、カット率の議論をする以前の問題である。世間一般的にも理解が得られるとは思えない。

 この点について、市側の認識を問いただしたい。

市側 ただいま3点の質問があった。

 まず交渉スタンスであるが、一部マスコミ報道が先行したことについて、市長の方針として意思形成過程をオープンにするという方針でありご理解いただきたい。交渉の方法については、従来通り行っていきたい。勤務労働条件については当然のことながら市労連との合意を得ることが重要であると考えている。

 給与カットなどの取り組みに協力いただいたことについては感謝している。その上で平成24年度の本格予算に向け、ゼロベースの見直しを検討している。先ほども申し上げたが、補填財源に頼らずに経常的な支出は経常的な収入で賄う、そういう方針のもとで作業を進め削減効果を出していく。

 また、府市統合に向けた取り組みの中では当然府市の給与ベースをあわせるという必要性もある。

 非正規労働者の件については、基本的には市職員全員を対象にしており、その中で非常勤職員、再任用職員についても職員の一員ということで本務職員に準じて設定している。

 非正規職員の給与水準は初任相当で高いものではないことは十分承知しているが、財政上の取り組みということで、基本的には繰り返しになるが市職員全員を対象にしたいと考えている。

組合 われわれの指摘に対して認識が述べられた。われわれが思っているものとは大きく差がある。ただいまの回答では到底理解、納得できない内容である。今回の提案が組合員の生活に与える影響が非常に大きいので、不満な内容であることに変わりはない。

 しかしながら、市労連としては、これまでの都度の交渉で述べているとおり「協力できるところは協力する」というスタンスを堅持している。

 今後の給与カットについて真摯な交渉を進めるにあたり、数点確認する。

 今日初めて提案内容の詳細を受けたところであるが、何点か基本的な点についてお聞きしたい。先ほども質問した点で、今一度理解を深める意味で何点か質問させていただく。

 1点目は、提案内容を見て、率直に思うのはなぜ府のカット率に合わさなければならないのかということである。私たちの賃金は、毎年の人事委員会の勧告に基づいて官民の給与水準を合わせて勧告し、交渉をして確定している。従って毎年民間の水準には合っているということでお互いに理解をしているが、大阪市の財政事情の厳しさからこの数年間、民間の水準を下回るカットを協議の結果、応じてきたわけである。

 他の自治体もほぼ同じような財政事情の厳しさの中で、それぞれの財政事情に応じた交渉をし、カット率などを決定してきたわけでカット率がそれぞれ違う。その中で大阪府とおそらく同様と理解している。従って大阪府の財政状況と今の大阪市がどう違うのかということを説明いただかなければ納得できない。大阪府の給与カットは、交渉の結果で決まっていると受け止めているが、2008年当時、大阪府は財政非常事態宣言も出されていたと理解している。そういうことからすると、今の大阪市の現状とどこがどう違うのかという点を明確に示していただきたい。

 そもそも職員数、給料表に張り付いている職員分布、府の場合は教員、警察、多く存在しており、8万人を超えるような職員であるため、人員分布、職員数、更には人事評価、大阪市は査定昇給制度をいれているが、人事評価の中身もずいぶん異なる。そういった条件面も違っている中で府のカット率だけを切り抜いて、それを今の大阪市の給与体系にあてはめて提案すること自体納得しがたい。その点については是非ともご説明をいただきたい。

市側 なぜ大阪府と同じカット率なのかということであるが、先ほどもご説明申しあげたとおり大阪市の抱える財政上の問題、今後の予算の立て方、そういった課題で長期の収支見込みを立ててきたやり方と大きく異なっている。大阪市固有の財政上の課題ということで今回の提案をさせていただいた。その削減方法については、どういうカット率でどこまで人件費で取り組めるかも考える中で、将来の府市統合も見据えながら大阪府で取られた考え方を参考に設定した。

組合 納得しがたいが、詳細のカット率などの点は交渉させていただきたい。給料カットについてもう一度お聞きしたい。人事委員会勧告という制度が存在しており、制度上そういうふうな扱いの中で私たちの賃金、給与などの水準が決まっている。勧告内容を超えて給与を下げるということは人事委員会の勧告制度そのものに抵触するというか、制度自体おかしいのではないかと私自身思っているので、カットすること自体に対して基本的に、この度の人事委員会の勧告の中でも色々意見を付された状況もあるので、それについての基本認識をお伺いしたい。

市側 人事委員会の勧告制度は、職員の労働基本権の制限に対する代替措置で勤務労働条件に関する重要な制度として理解しており、本市においてもこの間の勧告に対応している。一方今回の提案、新たな人件費削減の取り組みは、これまでの給与カットと同じ趣旨の措置として理解いただきたいが、極めて厳しい本市の財政状況を理由に臨時的に実施するという点で、人事委員会制度を否定するわけではないが、本市の事情を人事委員会とは別途取り組ませていただきたいということで、この間も別途対応をお願いしていた。今回についても臨時的なものであり理解いただきたい。

組合 基本的には、これまでの認識と変わらないということで理解する。先ほどもお答えいただいたが、補填財源を利用しないというか、入りと出を同じくするという市長の方針は、われわれとしても受けとめているつもりであるが、やはり、今ご説明いただいた内容からしても、なぜここまで大幅なカットをしなければならないかというのは、大阪市の今の財政状況、財政上の違いといえどもただ今の回答では十分理解しがたい。この3年間、大阪市の財政状況の厳しさに、われわれとしては市からの削減提案に対し真摯に交渉・協議をさせていただき、お互い納得できるカット率として協議をし、合意をしてきた経過がある。人事委員会の勧告、とりわけカットと併せて一時金も、全国的にもそうであるが大幅にカットされている中で、職員、組合員の生活が大変厳しい状況にあるというのは周知の事実であろう。なぜここまで大幅カットをしなければならないのかについて、もう少し納得いく説明をいただきたい。

市側 市の方針として経常的支出を経常的収入で賄うと、これまで補填財源を使用しているわけで、もう一度厳しく見直していくというところである。

組合 昨年の2月に出された中期財政収支概算について、昨年給与カットの交渉や、削減提案の際に大阪市の今後の取り組みなどこういう財源が減るんですよという具体的な説明もあわせてお聞きした。それは財政の実情の中で交渉させていただいたが、新しいものがまだ出されていない。全体の財政の収支の状況と今後の収支見込みを「こういうことなんだから」と提案いただくのであれば説明いただきたい。今後の交渉でしっかりと説明をいただきたい。

 もうひとつは、同時提案での退職手当のカット5%であるが、組合員の将来、退職後の生活設計に非常に影響する重大な問題であると考えている。同時に提案されている大幅なカットと加えて退職金の削減までされようとしている。これについては到底納得できないと言わざるを得ない。給料月額も、退職手当も当然人事院の調査があって民間との水準ベースで均衡されているということで5年前の調査でもそのままと。ただ現在また調査されているということであるが、民間の退職金の水準と一定の均衡を保てるものであるというのはわれわれとしても認識をしている。こういうことから条例化もされ支給されてきたわけであることから、大幅な給与カットをふまえ、退職金のカットまでなぜ取り込まざるを得ないのかという点はなかなか理解しがたいし、われわれがこの間協力してきた給与カットについてはぎりぎりのところで交渉をしてきた結果である。より踏み込んだカットが必要であるという姿勢を示されているが、ここまで踏み込むことの理屈の説明を今一度お願いしたい。

市側 本市としての財政上の課題ということで、先ほど中期収支概算の話がでたが、補填財源を使えないということで昨年、平成23年の収支概算では補填財源として不用地売却代や蓄積基金繰入金など、今後2,000億円相当の補填財源を当て込んでいたが、市長の方針で、将来世代に負担を先送りさせないということで、収入に応じた予算を組むということをしていかなければならない。そのため、本市事務事業の政策転換も含めたゼロベースからの見直し作業が始まっている。住民サービスにかかわっていくような事務事業の話の前に職員自ら身を切って姿勢を示していくという視点で、今回大幅な人件費削減という給与カットに加えて退職手当のカットについても提案させていただく。当然人事院の勧告する給与水準についてはもちろん尊重すべきものではあるが、財政上の事情ということである。

組合 労使の立場で交渉の課題に対して事前の事務折衝なしに提案することは不自然であるという理解をせざるを得ない。交渉の当日まで何の情報の提供もなく、府並みにという新聞報道が先行している。現場の職員なり組合員に与える影響は相当大きい。交渉には誠実に事前の折衝を含め、対処していただきたいと改めて申し上げたい。労使が対等の立場で正当な関係性のもとで交渉が行われるべきであり、最低限のルールと考えており、あえて回答はいらないが指摘をしておきたい。その上で実施時期の提案であるが、給与カットが平成27年3月まで。退手の減額が当分の間である。給与カットの場合は昨年の冬の交渉で今年と来年度の2年間の期間で給与カットの期間を定めて交渉合意をした経過があり、なぜ給与カットの場合は平成27年3月までにしているのか。退職金の場合は期限がなぜ定かでないのかということをご説明いただきたい。

市側 給与カットが平成27年までの3年間ということで申し上げているが、給与カットは財政上の措置であり、3年でどこまで本市の財政状況が進むのかということもあるが、4年後に府市統合という大きな課題を掲げる中で当然に府市の職員の給与水準を合わせていくという作業を進めていく必要がある。財政状況は財政状況として先ほど申し上げた2,000億からの大きな差額を引き続き取り組む必要があるわけであるが、3年後、府市統合の1年前にどの程度水準の調整ができているかを見つめなおすという意味でまずは3年間で期限を切って、3年後にもう一度検討しなおしたいと考えている。

組合 ちなみに府は平成25年度末までであるが。

市側 府は3年と設定されたがスタートが今より早いので平成26年に終わるが、これは大阪市の財政上の問題であるため、大阪市としてはこのような考え方でまいりたい。退職手当については当分の間ということで期限が明記できていないが、その期限はあいまいにするという意味合いではない。人事院で退職給付金の調査というものが行われており、今後その状況を見極める必要があるので、現時点では期限を設定するよりも当分の間としている。

組合 府に合わせるといいながら、府の現行のカットの期間と市の期間が違う。それは交渉の中で協議いただきたいが、最後に今回の提案にかかる全市ベースの平均のカット率を教えていただきたい。大阪府の内容に同等ということで率だけと受け取っているが、先ほども述べたが人員分布、給料表の構成、職員のボリュームすべて異なる。平均で見た場合にどれだけのカットになるのかというのが非常に重要であるため、市労連としても提案内容の詳細について分析を進めるつもりであるが、分かっておれば教えていただきたい。

市側 平均のカット率であるが、今回提案している内容で非管理職の部分での全体の平均が7.1%である。

組合 管理職を含めればいくらか。

市側 管理職の平均が11.6%、全体で7.4%である。

組合 個別課題については以上である。今いただいた状況の報告、提案内容の説明だけでは解明しきれない。大阪府と大阪市の給与実態の差も含めて分析が必要であるため、今後の交渉の進め方について考えがあれば伺いたい。

市側 詳細については、小委員会交渉で行いたい。

組合 本日は提案を受けたところであり、持ち帰って協議をさせていただく。今後これらの課題の解決については、専門家によりこれまでの労使交渉の経過をふまえた対応と市の主体的な努力がなければ解決にはならない。今日は団交で指摘をさせていただいた内容を含めて、今後も誠意をもって対応していただきたい。

以 上

新たな人件費削減の取り組みについて

新たな人件費削減の取り組みについて(別紙)

新たな人件費削減の取り組みについて(参考)

 

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