本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2012年3月2日

職員基本条例にかかる第1回対市団体交渉

条例にかかわる労働条件について提案
条例案の提出と誠実な交渉を求める

 市労連は、2月21日、午後4時30分から、大阪市職員基本条例における勤務条件に関する事項について提案を受けた。

 市側から、大阪市職員基本条例の策定にあたって、条例の主旨等が説明され、勤務条件に関する事項として、懲戒処分の手続きや組織の改廃に伴う分限処分、職務命令違反に対する処分、相対評価による人事評価について説明がされた。しかし、人事評価の給与反映については、来年度は試行的に実施するとして、整理ができ次第協議することが述べられた。

 市労連は、分限処分について「一般的には、民間企業でも労働者の解雇については、最大限避けるということが、基本だと理解している。労働者が安易に生首を切られるといったことにつながるような一方的な条例改正について、了解できるものではない」と指摘した。また、条例全般に対しても、地公法で規定されている内容を条例化することに疑問があるとした上で、「端的にわれわれが受ける印象としては、職員の首切りを目的としている条例ではないのかと思わざるを得ない」と疑問を呈した。

 団体交渉では、条例案が示されていないことを理由に市側からの責任ある回答がなかったことから、「今の回答では納得できないが、条例案の提出を待ち、これからも引き続き誠実な交渉を求める」として団体交渉を終了した。

市側 本市では、能力・意欲のある職員が活躍できる弾力的な人事制度を構築し、市民から信頼される市政を実現するために、庁内外から公募による人材の登用、そして厳正な人事評価の実施、分限・懲戒処分の厳正化、適正な退職管理等を定めた職員基本条例案を市会に提出する準備を進めている。条例案には、勤務労働条件に関する事項、分限及び懲戒に関する手続き・基準等が含まれており、市会に提出する前に、本日提案させていただく。

 ただ今提案した大阪市職員基本条例案における勤務条件に関する事項について、詳細について説明する。現在、分限処分及び懲戒処分の手続き、また、標準的な処分の内容については、処分に関する指針により定めているところである。今回これらを条例に規定する他、組織改正における分限処分、職務命令に違反した職員に対する懲戒処分及び分限処分、それらのルール化等をはかりたいと考えている。既存の懲戒処分に関する指針等の規定の条例化についての説明は省略させていただく。

 また、組織改廃等に伴う分限処分については、適切な定員管理を行っても、なお必要が生じた場合は、配置転換努力義務を尽くした上で行い、免職となった職員の再就職支援を行うこととすると考えている。民営化や一部事務組合化による場合については、民営化後の法人等への再就職を基本として、それ以外の職員は分限免職することができるということを考えている。ただし、民営化後の法人等に再就職先が確保できない場合は、本市において再就職支援を行うこととすると考えている。職務命令違反の関係では、十分な指導・研修を行っても、なお職務命令違反を繰り返す職員については、3回目の違反をもって、分限免職とすることを標準例としたいと考えている。

 また、懲戒処分の量定は、これまでは懲戒処分に関する指針に定める。標準例を参考に行ってきたが、今後は、条例に規定する基準に従って決定することとすると考えている。行為と処分内容の対応表を作成することになるが、決して処分を重くすることが目的でなく、より公正に処分を行うためのものであると考えている。なお、相対評価による新たな人事評価も職員基本条例で規定する予定である。来年度は試行的に実施し、平成25年度から本格実施予定と考えている。従って、人事評価の給与反映については、今後、来年度の試行期間を通じて検討を加え、整理ができ次第、協議してまいりたいと考えている。

 提案は以上である。

組合 ただ今提案内容について説明を受けた。何とも言えないが、一般的には、民間企業でも労働者の解雇については、最大限避けるということが、基本だと理解している。労働者が安易に生首を切られるといったことにつながるような、一方的な条例改正について、了解できるものではない。

 昨年の秋に維新の会の議員提案で条例案が提出され、結果として否決はされたが、今日の提案はあくまで勤務条件に関する項目だけの提案で、詳細な条例案も出てきていない。それを見ないと分からないが、概要版という提案内容を受けた中で、疑問点なり考えを申し上げて、市側からの考えを聞かせていただきたい。

 この提案内容を見る限りにおいて、従来の条例・指針を基本とするということであるが、地公法の第28条の第1項第4号に規定されている内容を、わざわざ条例化する必要性がいったいどこにあるのかということを疑問に思わざるを得ない。整理解雇も含めて条例化しようとするその意図を聞きたいし、端的にわれわれが受ける印象としては、職員の首切りを目的としている条例ではないのかと思わざるを得ないというのが率直な感想である。整理解雇に関して言うと、毎年のように機構改革なり組織改編が行われていることからすると、職員は全員、解雇の不安を抱いたまま勤務しないといけないということであるし、解雇をすることは基本的には避けるべきで、最後の選択肢ということは、あたり前のことだと思っている。そういうことを、使用者側がしっかり理解されているのかどうか疑問に思わざるを得ない。

 (2)の2点目だが、「安易な職種転換を行わない」と書いているが、何をもって「安易」ということを判断するのか、これは厳格な基準などを示していただきたい。また、4点目の「民営化、一部事務組合化に伴う分限処分については、当該事業に再就職する機会が与えられている職員に対しては、原則行うことができる」というのは、言い換えれば、民営化や一部事務組合化の場合は、再就職の機会が与えられているので、解雇の回避義務が免除されるという解釈がされていると思わざるを得ない。従って、これについては現行の地公法のどこにも書いていないので、問題があると思われ、この点について考え方があるなら、明解に回答いただきたい。

 人事評価の相対化については、すでに大阪府の考え方が明らかになっており、来年度は試行的に実施し、25年度から本格実施を行うとのことなので、今回は具体的提案としては示されていないということかと思うが、いずれにしても、相対評価に係る区分を、大阪府ではきっちり示しているわけで、条例案に載る以上しっかりと説明をしていただかないといけないと考えている。下敷きとなる条例案は統合本部でできていると思われるので、今回の説明はあまりにも乱暴で説明不足であり、改めて協議するということだろうが、今、この場で示せないということについて、改めてもう一度説明いただきたい。

 人事評価制度そのものは、職員の資質や能力、さらには勤務意欲の向上をはかることが目的であって、懲戒をするための基準作りとかであってはならないと思う。そういうことを目的とするような人事評価は、大阪市も制度導入当時から考えてなかったはずである。それをなぜ相対評価の話等、基準も含めて条例に入れ込むのか。今までの協議経過からすると、極めて不自然であるし、理解できないと言わざるを得ない。運用そのものは任命権者が元々持っている裁量権の事項であるにもかかわらず、なぜ条例で規定する必要があるのかも疑問であるし、その点について考えがあればぜひお聞かせいただきたい。何のために相対評価を行うのかということ自体が、われわれが知り得ている大阪府の交渉の中でも具体的には説明されておらず、その点についての明解な納得のいく説明をぜひともしていただきたいと思っている。

 いずれにしても、このような懲罰を目的とした条例案では、組織自体の停滞ということにつながり、決して活力ある質の高い公共サービスを提供するような組織にはなり得ないと言わざるを得ない。今回、概要レベルで提案されているが、当然、結果がありきの交渉であってはならないと、条例案がいずれ明らかになろうと思うが、改めてわれわれとしての要求をまとめたものを出したいと思っているし、それについてしっかりとした回答と、誠実な交渉を望みたい。

市側 質問いただいたところであるが、こちらの方の準備不足もあり、条文を示せる段階になっていないので、今いただきました部分については、条文を示した段階で、再度私どもの考え方を説明させていただきたいと考えている。市側の方が概要で提案しておきながら、今の質問にお答えできないのは申し訳ないが、まずは条文をご覧になっていただき、それぞれ議論できたらと考えているので、今ご指摘いただいて点については、持ち帰らせていただいて、考え方や回答を整理したいと思う。

組合 概要とはいえ、団体交渉で説明されたにもかかわらず、その回答が本当に責任のある回答なのか。まったく無責任な回答としか言わざるを得ず、到底、今の回答では納得できないが、条例案の提出を待ち、これからも引き続き誠実な交渉を求める。

市側 条例の案文については作成中だが、次回の交渉には条例の案文を提出し、交渉させていただきたいと思う。

大阪市職員基本条例における
勤務条件に関する事項について(提案)

 大阪市では、市民から信頼される市政を実現するため、地方公務員法に定める根本基準に従った健全な人事制度を構築し厳格な運用を行うことを定めた「大阪市職員基本条例案」を、市会に提案することを予定している。
(消防局職員、教職員については、一部適用除外)

 この条例のうち職員の勤務条件に関する事項について、次のとおり提案する。

分限処分、懲戒処分の手続、基準等について

(1)分限処分の手続、基準等の条例化

  • 降任または免職の処分に係る手続、基準等について、分限処分等に関する指針の内容を基本として条例化したい。
  • 2年連続最下位の評価を受け、かつ勤務成績が不十分と判断される職員については、指導研修の対象とし、改善が図られない場合は分限処分を検討することとしたい。

(2)組織改廃等に基づく分限処分

  • 地方公務員法第28条第1項第4号の規定による降任または免職は、一定の手続を経たうえで、配置転換の努力を尽くしてもなお廃職又は過員が生じる場合には分限処分を行うものとしたい。
  • 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により生じた廃職又は過員に係る配置転換の努力に際しては、安易な職種転換を行わないこととしたい。
  • 分限免職する場合には、整理退職等の場合の退職手当を支払うことを前提として、希望退職を募ることとしたい。
  • 民営化、一部事務組合化に伴う分限処分については、当該事業に再就職する機会が与えられている職員に対しては、原則行うことができることする。

 なお、民営化、一部事務組合化に伴い再就職先のない職員に対しては、再就職支援を行うこととしたい。

(3)懲戒処分の手続、基準等の条例化

  • 懲戒処分の手続、基準等について、懲戒処分に関する指針の内容を基本として条例化することとしたい。
  • 懲戒処分の公表において、懲戒免職事案等は所属、氏名を公表することとする。

(4)職務命令違反

  • 書面による職務命令に違反した職員に対する標準的な処分は、次のとおりとしたい。
    • 上司の職務上の命令に違反した職員は、指針と同様、減給または戒告の懲戒処分としたい。
    • 職務命令違反に係る指導又は研修が終了した後に3回目の職務命令違反となる職員に対して、免職の分限処分をできることとしたい。

以 上

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会