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更新日:2016年9月13日

第2回大阪市人事委員会交渉

市人事委員会:月例給及び一時金ともに民間が公務を上回る見込み
扶養手当のあり方についても言及
勧告時期は9月の4週目
市労連:月例給及び一時金の現時点での調査内容として受け止める!
「給料月額の減額措置」に対して、改めて中止勧告を明確に行うよう求める!

 市労連は、9月12日(月)三役・常任合同会議を開催し、9月1日に行った大阪市人事委員会への申し入れ以降の対応などについて協議し、翌13日(火)午前11時から大阪市人事委員会と、現在の進捗状況や勧告の見通しなどに関し交渉を行った。

 人事委員会から、月例給は、昨年の給与改定が実施された等が反映され、民間が公務を上回っており、また、一時金等の特別給についても、民間が公務を上回る見込みであると表明され、「月例給及び特別給の改定について検討する必要がある」ことが示された。その他、給与制度等に関する課題として、給料表構造等や保育士及び幼稚園教員の給与改定についての考え方、加えて、扶養手当のあり方について、国の改定状況等を踏まえながら検討する必要性について言及することが示された。最後に、勧告時期については9月4週目を予定していることが明らかにされた。

 市労連として、月例給及び一時金において、民間が公務を上回っているとの内容に対して、現時点の結果として受け止めることを表明してきた。また、総合的な人事・給与制度を確立するよう指摘し「給料月額の減額措置」については、改めて中止勧告を明確に行うべきであることを強く求めてきた。さらに、扶養手当のあり方については、国の見直しを安易に追随するのではなく、主体性を持って対応するよう要求してきた。

組合 市労連は8月8日に人事院勧告が行われたのを受けて、大阪市給与勧告の集約段階を迎えている人事委員会に対して、9月1日、勧告に向けた申し入れを行ってきたところである。その際、民間給与データの取り扱いや賃金センサスの活用、扶養手当のあり方などについて指摘し、また、給料表構造と昇給制度において、抜本的な見直しが必要なことや「給料月額の減額措置」の即時終了を明確に勧告・報告するよう求めてきた。それらを踏まえ、私たちの要求の主旨を受け止め、さらに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責をはたされるよう要請してきたところである。

 この間繰り返し申し上げてきたが、度重なる給与削減により、私たちの賃金は民間水準以下に抑制されており、このような給与削減を人事委員会として追認するのではなく、大阪市に対して是正に向けた勧告を行うべきである。

 地方公務員の給与決定は、言うまでもなく、地公法第24条第3項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たち組合員の切実な要求に応えるよう最大限の努力を求めておく。

 その上で、事前質問事項である前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通し、本年の作業の進捗状況について、現時点での較差や一時金の傾向と具体的な勧告日を明らかにされたい。

人事委員会 ただいまお受けした申し入れについては、事前にお聞きしていた申し入れの内容を人事委員会に諮っている。本日は、その結果に基づき、回答をお求めの件について、本委員会の見解等を申し述べる。

 作業の進捗状況については、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。民間給与実態調査を行った時点での厚生労働省の毎月勤労統計調査では、大阪で所定内給与は昨年より増加しているなど、労働経済状況が改善している状況も見られている。

 公民給与の状況については、月例給は、民間の労働経済状況の改善や昨年の本委員会の勧告に基づく給与改定が実施されたこと等が反映され、民間が公務を上回る見込みである。一時金等の特別給についても、年間の支給月数は、民間が公務を上回っていると見込んでいる。これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、月例給及び特別給の改定について検討する必要があると考えている。

 給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行い、また、公民比較の在り方や賃金構造基本統計調査の結果等についても研究・検証してきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、仮に改定を行うとした場合、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。なお、保育士及び幼稚園教員の給料表については、給与水準が民間の保育士及び幼稚園教員を上回っているが、民間との比較のみで改定の要否を判断することは適当ではないと考えている。保育士については、賃金センサスに基づく一般的な民間従業員との比較結果や、民間の保育士の給与水準は昨年と比べ全体として若干上昇している状況等を勘案して改定の必要性について検討しており、幼稚園教員については、賃金センサスに基づく一般的な民間従業員との比較結果や、民間の幼稚園教員の給与水準が昨年と比べて上昇している状況が見られないこと等を勘案し、改定の必要性について検討している。

 給与制度等に関する課題としては、民間給与データの取扱いについて言及する必要があると考えているほか、給料表構造等の在り方や、再任用職員の給与制度等、保育士及び幼稚園教員の給与改定の在り方、府費負担教職員の給与負担等の本市への移譲に伴う新たな人事給与制度の構築等について言及する必要があると考えている。加えて、扶養手当の在り方について、国の改定状況等を踏まえながら検討する必要性について言及することを考えている。また、人事管理制度に関する課題として、組織・人員体制の構築、人材育成、人事評価、女性職員の活躍促進、柔軟な勤務制度、超過勤務の縮減、両立支援の推進、職員の心の健康保持、ハラスメント防止対策について言及することを考えている。

 また、勧告時期については9月第4週を予定している。

組合 ただ今、人事委員会から、公民給与の状況については、月例給で「民間の労働経済状況の改善や、昨年の勧告に基づく給与改定が実施されたこと等が反映され、民間が公務を上回る見込みである」との認識と、一時金等の特別給についても「年間の支給月数は、民間が公務を上回っていると見込んでいる」と示された。市労連として、現時点における人事委員会から示された内容は当然のこととして受け止める。しかし、民間が公務を上回る見込みとしながら、給料表の引き上げ改定の必要性までは述べられていない。いずれにしても、大阪市に働く職員の生活実態を十分に踏まえた勧告を行うよう求めておく。

 また、賃金構造基本統計調査の結果等についても、研究・検証してきたことに触れられており、1年遅れの公表であることや、同種同等の原則による比較ができない等、当該調査データの精度そのものに問題があることから、市労連として、賃金構造基本統計調査の活用は認められないことを繰り返し指摘してきている。加えて、民間給与データの取り扱いに関しては、この数年のように、上下2.5%のデータを基礎資料から除外し、それらを基に比較を行えば、その影響は大きく、精確な公民較差とならないことは、昨年の公民比較結果からも明らかとなっている。このことは、先の申し入れの際に示された、市労連の2016年統一賃金要求に対する回答で人事委員会としても認めており、労働基本権制約の代償措置であり専門的・中立的立場として、大都市における精確な公民給与比較を行うという職責を果たすためにも、本年をはじめ、今後このような手法を活用した比較は行わないよう改めて要請しておく。

 給与制度等に関しては、現在の給料表が適用されて以降、昇給・昇格もできずに、各級最高号給に多くの組合員が位置付けられ、組合員のモチベーションは、低下の一途を辿っていることは言うまでもない。本年4月からは、一部の給料表で号給延長が反映されているが、あくまでも、給与制度の総合的見直しの一環であり、われわれの求めているものとは程遠いことから、組合員の士気の向上に繋がるものとは言い難い。組合員の働き甲斐やモチベーション向上をはかることは、市政運営においても重要であることから、組合員が働き甲斐を保ち続けられるよう、給料表構造等の抜本的見直しを行い、給与制度のみならず、昇給・昇格を含めた人事・給与制度全体にかかる、総合的な制度として確立できるよう、人事委員会として積極的で主体的な姿勢で取り組むことを強く求めておく。

 扶養手当のあり方についても、国の改定状況を踏まえ、検討する必要性について言及することを考えているとのことであるが、配偶者手当に関しては、現在も多くの民間企業で支給されており、民間の支給額は市職員を上回っている。また、既に勧告が出されている多くの都市では、研究・検討に止まっていることから、そのような状況での配偶者手当の引き下げは、均衡の原則や社会状況に則していないことから、人事委員会としても慎重な対応が求められる。市労連として、政府の不当な干渉に屈せず、国の見直しを安易に追随するのではなく、主体性を持って対応するよう求めておく。

 保育士及び幼稚園教員の給料表については、労使合意なき大幅な引き下げが行われたことから、人材確保や施設運営への影響を考慮し、早急な給料表の見直しが必要であることは、この間再三述べてきた。その上で、申し入れの際にも指摘したが、現在、保育士及び幼稚園教員の処遇の低さや人材不足が、公務だけではなく社会全体的な問題となっており、職務の重要性や保育所及び幼稚園の運営への影響を考えると、公務が率先して職員の処遇改善を行うべきである。職員の処遇改善が待機児童解消や女性の活躍促進に繋がり、社会全体的な「ワーク・ライフ・バランス」の充実と好循環を促すものと考えている。

 再任用に関する課題については、公的年金の支給開始年齢が引き上げられたことから、雇用と年金の接続は避けて通れない重要な課題であり、人事委員会の姿勢と対応は、組合員の60歳以降の働き方と生活に大きく影響することから、給与制度も含め定年後も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、最大限の努力を要請しておく。

 「給料月額の減額措置」に関しては、財政難を理由として長期に渡り実施されており、市労連として、人件費削減に頼らない市政運営に向け努力すべきであることを、市側に対して再三指摘してきている。人事委員会としても、勧告制度とは別個で実施されている減額措置に対して異議を唱えるべきであり、何度も申し上げているが、本年においても、明確に「即時終了」するべきであるという勧告・報告を求めておく。

 最後に、技能職員の給与水準についてであるが、本年においては、職員の給与に関する報告・勧告とは別で報告することが、前回の申し入れの際に人事委員会から明らかにされてきた。人事委員会が今回行おうとしている技能職員給与水準比較に関する報告については、これら一連の行為が、市側からの依頼に基づくものであり、中立機関としての公正性を欠き、その職責を逸脱していることから、われわれとしては再三指摘してきた。しかし、そうした指摘を全く受け入れようとしない人事委員会の姿勢には、憤りすら覚えるところであり、市労連として、このような報告は到底受け入れられないことを表明するとともに、行政職給料表をはじめ、その他給料表と同等の扱いを行うよう強く要求しておく。

 以上、本年の勧告を目前に控え、市労連としての考え方などについて率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、市政の発展と市民サービス向上のため、日夜を問わず懸命に働く組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう重ねて要請しておく。

人事委員会 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたっては、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきているところである。

 いずれにしても、本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただく。

以上

 

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