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更新日:2017年9月5日

大阪市人事委員会第1回申し入れ

大阪市に働く組合員の生活実態を考慮し、組合の要求主旨を受け止め、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請!

 市労連は、9月4日に大阪市人事委員会に対して、2017年の人事委員会勧告に向けた「申し入れ」を行うとともに、春の段階で提出していた、2017年統一賃金要求に対する回答を引き出した。

 申し入れの中で市労連は、民間給与データの取り扱いについては、従前の手法に改めることや「給料月額の減額措置」の即時終了を明確に言及するよう強く求め、大都市事情と大阪市に働く組合員の生活実態を考慮し、精確な公民水準比較を行った上で勧告するよう要請した。その上で、本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定している本年の勧告時期について明らかにするよう求めた。

 人事委員会から「市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた職務給の原則や均衡の原則といった給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたい」としながらも「民間給与を取り巻く状況については、全国の状況と比較し、厳しい状況も見られる」との回答があり、勧告時期については「昨年並みの日程を勘案しつつ努力する」ことが述べられた。

 市労連は引き続き、本年の勧告に向けた人事委員会対策を強めることとする。

組合 本日は、2017年人事委員会勧告に向けた、市労連としての申し入れを行う。

申し入れ書手交

 日頃から、大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に対して、敬意を表する。

 8月8日、2017年の人事院勧告が行われ、大阪市においても勧告に向けて最終的な作業の最中にあると認識している。その上で、本年の市人事委員会勧告にあたっては、大都市事情と大阪市に働く組合員の生活実態を考慮するよう求めておく。また、市労連が本年3月23日に行った統一賃金要求に関する申し入れ内容を十分に尊重するとともに、本日申し入れを行う事項も含め、民間の賃上げ状況や物価の動向を踏まえ、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請する。

 改めて、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮するとともに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責を果たされるよう申し上げておく。

 それでは、詳細について書記長から申し上げる。

2017年9月4日

大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 比嘉 一郎

2017年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ

 日頃から、私ども大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている人事委員会に対して、敬意を表します。

 さて、人事院は8月8日、内閣に対して2017年の「国家公務員の給与等に関する報告・勧告」を行いました。内容につきましては、月例給を平均631円、率にして0.15%、一時金を0.1月分引き上げ年間4.4月とするもので、月例給及び一時金において4年連続の引き上げではありますが、昨年を下回る低水準なものとなっています。

 また、働き方改革や雇用と年金の接続に関する項目、さらに、非常勤職員の処遇など、社会全体的にも急務な改善が求められている課題におきましては、検討や指導とするのみで、具体策に踏み込んだ言及が行われていません。

 大阪市では、昨年の勧告に基づき、本年4月から給料表の引き上げ改定が実施されていますが、その引き上げ額は非常に小さく職員の生活水準改善には到底至っていません。以前にも申し上げましたが、引き上げ額が小さくなった要因の一つが、民間給与データの基礎資料から、上下2.5%ずつを排除する手法の活用であったことは明白です。しかし人事委員会は、今年度から新たな手法を活用して、上下に突出したデータの除外判別することを明らかにしています。

 市労連としましては、一定条件に基づいて抽出したデータである以上、比較対象とすべきであり、データを除外すること自体、職員の給与水準引き下げが目的であると認識することから、どのような手法を活用したとしても容認できるものではないことを、改めて強く指摘しておきます。また、人事委員会自らも問題としてきた賃金センサスの活用など、この間、市労連として指摘を行ってきました。

 加えて「給料月額の減額措置」が現在も継続されていることから、組合員の生活実態は危機的な状況に置かれていることは言うまでもありません。これ以上の減額措置の継続は、職員のさらなる士気低下を招き、業務への支障や市政への悪影響をも懸念するとして、数年来の勧告で人事委員会自らも言及されていることから、8月17日に市労連が行った申し入れ内容を十二分に踏まえ、本年の勧告におきましては、明確かつ確実に即時終了を言及するよう強く求めておきます。

 人事委員会は技能職員の給与水準に関しまして、2012年以降、民間の技能・労務関係職種従業員の給与水準調査や、市側が独自で実施した調査結果の集計・分析などを行い、さらに本年4月19日には、民間の給与水準を調査・分析し、市技能職員の給与水準との比較結果を報告しました。これら一連の調査及び比較は、技能職員の給与水準引き下げを目的とする、市側からの一方的な依頼に基づくものであり、中立機関としての職務の逸脱と、勧告制度をも否定しているということを、人事委員会自身が改めて自覚するよう厳しく質しておきます。

 また、2017年4月より、府費負担教職員の給与負担等の権限が、府から市へ移譲されたことに伴い、教育職給料表が新規に作成されていますが、人事委員会に対しましては、教職員の給与・勤務労働条件につきまして、子どもたちの教育条件・環境の維持・向上を前提に、教職員のモチベーションを下げることにつながらない、良識ある対応を求めておきます。

 現在、人事委員会におかれましては、勧告に向けての最終段階であると考えますが、大阪市に働く職員が現在おかれている状況を十二分に踏まえて頂き、精確な公民水準比較を行った上で勧告されるよう求めておきます。

 職員が不安なく公務に専念できますよう、大阪市で働く職員・組合員の生活実態を考慮して作業を進められることを求めるとともに、人事委員会としまして、中立的な第三者機関の役割を十分に果たして頂き、その上で、市労連が本年3月23日に行った申し入れの主旨を尊重されるよう改めて強く要請します。

以 上

 その上で、3月23日の統一賃金要求に関する申し入れの回答と、事前質問事項である本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに本年の調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定されている本年の勧告時期についてお聞かせいただきたい。

 また、本年4月以降も「給料月額の減額措置」が継続実施されている。申し入れの中でも表明したが、組合員の生活実態は危機的な状況に置かれていることから、8月17日に市労連が行った内容を十二分に踏まえ、人事委員会勧告とは別で取り組まれている「給料月額の減額措置」は即時終了するべきであり、繰り返し指摘しているように、人事委員会として終了するよう明確に勧告するべきである。改めて、この点についての人事委員会としての見解を示されたい。

人事委員会 2017年統一賃金要求に関する申し入れ」については、人事委員会に諮った結果、別紙のとおり回答する。

 また、ただいまお受けした「2017年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ」については、事前にお聞きしていた申し入れの内容を人事委員会に諮っている。本日は、その結果に基づき、回答をお求めの件について、本委員会の見解等を申し述べる。

 勧告に向けての基本的な姿勢については、人事委員会は、職員の労働基本権が制約されている中で、その代償措置として、地方公務員法に基づき、給与その他の勤務条件について、適切な勧告を行うべき機能を担っており、中立・第三者機関として、人事委員会勧告に対する市民からの信頼を一層向上させるため、その役割を適切に発揮し、勧告の内容等について、説明責任を果たすことが求められている。

 これら法の規定及び人事委員会の役割・責務のもと、市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた職務給の原則や均衡の原則といった給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたいと考えている。

 本年の調査作業の進捗状況と特徴点については、本年の民間給与実態調査は5月1日から6月17日にかけ、人事院及び大阪府人事委員会等と共同で、全産業を対象として、企業規模50人以上、かつ事業所規模50人以上の市内439民間事業所を抽出して行った。現在、勧告に向け、作業を進めているが、民間給与を取り巻く状況については、全国の状況と比較し、厳しい状況も見られている。

 給与制度については、公民給与の比較の在り方や賃金構造基本統計調査の参考としての活用、民間給与データの取扱い、平成24年8月に行われた本市の給与制度の改正などを踏まえた給料表構造と昇給制度の在り方、昨年に人事院が勧告を行った扶養手当の見直し、高齢層職員の給与の在り方、教職員の給与制度などの課題について、研究検討していく必要があると考えている。

 本市の保育士及び幼稚園教員については、平成27年4月にそれぞれ新たに独自の給料表が策定されたところであり、その給料表の改定の必要性について、平成25年より実施している民間の同職種の者の給与水準の調査結果の他、その職務の重要性、処遇確保の必要性、他都市の状況、本市保育所及び幼稚園の運営への影響や、賃金センサス結果に基づく一般的な民間従業員の給与の状況、本市の保育士及び幼稚園教員以外の職員の給与改定の状況等も考慮して、検討する必要があると考えている。

 人事管理制度につきましては、これまで人事委員会勧告・報告や「人事管理制度に関する報告」において、様々な意見を申し述べてきた。今後とも、必要に応じて、長期的視点に立った組織・人員体制の構築、人材育成・活用、人事評価、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた長時間勤務の是正、両立支援の推進、非常勤職員の任用制度等の整備といった課題について、適宜、意見を申し述べてまいりたい。

 本年の勧告時期については、現在のところ、例年並みの日程を勘案しつつ努力してまいりたい。

 次に、給料月額等の減額措置について、本委員会としては、これまでも、給与減額措置に係る条例意見照会の際には、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものとして意見を付してきた。

 給与減額措置は、平成21年度の開始から本年で9年目という長期にわたり継続されており、条例上、平成30年3月まで実施するとされている。かかる措置の背景として、本市がきわめて厳しい財政状況であることは本委員会としても理解するが、長期にわたり給与減額措置が継続されることによる職員の執務意欲等への影響も懸念され、早期に解消されることを望むものである。

組合 ただ今、本年の民間給与の状況について、全国の状況と比較し厳しい状況も見られるとのことだが、組合員の期待も大きいことから、民間給与実態を精確に把握しつつ、大都市における職員の生活実態を考慮した上で、私たちの生活を守るための賃金水準を維持するよう求めておく。

 給与制度については、賃金構造基本統計調査の参考としての活用や、民間給与データの取り扱いについて触れられている。民間給与データの取り扱いについては、ここ数年来、上下合わせて5%が基礎資料から除外されており、そのようなデータの取り扱いが、公民較差に影響を及ぼしていたことが明らかとなっている。人事委員会は、今年度から新たな手法を活用して、上下に突出したデータを除外判別するとしているが、この間、市労連として再三指摘を行ってきているように、精確なデータに基づいた公民比較を行うという職責を果たす上でも、従前来の手法による取り扱いを改めて要求しておく。合わせて、賃金センサスの活用に関しては、その調査対象や調査時期等、問題点が多く、その活用は認められるものではない。

 現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、各級最高号給に位置付けられて昇給できない職員が多数存在しており、職員の勤務意欲の観点からも研究・検討ではなく、早急に抜本的な見直しが必要である。

 その他、昨年、人事院が勧告を行った扶養手当の見直しや、高齢層職員の給与のあり方について、研究・検討していく必要があるとしている。とりわけ、扶養手当の見直しに関しては、民間の支給実態からも乖離していることから、国の見直しに安易に追随しないよう、市労連として求めてきており、昨年の段階では見送られている。昨年の交渉でも述べたが、何よりも、市職員における家族実態や手当の支給状況を考慮するべきであり、国に準じた見直しを行うことなく、独自性と主体性を持って対応するよう改めて求めておく。

 また、保育士及び幼稚園教員の給料表の課題についても、給与水準が従来に比べ大幅に低くなっていることは言うまでもなく、いずれ多くの組合員が最高号給の適用を受けることとなる。待機児童解消に向けた動きがある一方で、社会的にも、保育士の処遇が極めて低く人材不足が問題となっており、職務の重要性や処遇確保の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮すると、早急な給料表の水準回復が必要である。

 さらに、人事委員会は技能職員の給与水準について、市側からの一方的な依頼に基づき、民間給与水準の調査・分析を行い、市技能職員の給与水準との比較結果を4月19日に報告している。本報告を受け市側は有識者会議を設置し、技能職員の給与水準見直しを検討している。申し入れの中でも指摘したが、こうした行為は、第三者機関としての職務を逸脱し公正性を欠いていることから、本調査及び比較結果は受け入れられないとともに、改めて、中立・公正な第三者機関としての職責を全うするよう要請しておく。

 府費負担教職員に対する新たな人事・給与制度等においては、大阪市における教育水準の向上に向け、現場の実態を踏まえたものを構築しなくてはならない。

 「給料月額の減額措置」についてであるが、これまでと何ら変わらない表現となっており、われわれとしては不満である。繰り返しになるが、職員の勤務意欲や市民サービス低下を危惧するのであれば「給料月額の減額措置」は直ちに終了することを、明確に言及するよう改めて強く求めておく。

 私たちは大都市に働く仲間とともに、8月22日には大都市人事委員会連絡協議会とも交渉を行ってきたが、人事院の勧告及び報告内容の十分な分析はもちろんのこと、安易に人事院勧告に追随することなく、他都市人事委員会の動向にも注視しながら、大阪市に働く職員の生活実態を考慮して作業するよう求めておく。

 最後に、勧告時期について、例年並みの日程を勘案しているとのことであるが、近年の勧告時期が過去と比べて遅くなっていることに問題意識と持つものである。人事委員会の報告・勧告を受け、その後、給与改定をはじめ確定交渉を行っていくに際し、勧告時期が遅くなればなるほど交渉期間が圧縮されることとなる。職員の賃金・労働条件は、労使においての主体的な交渉・協議によって決定されることが大前提であるので、四囲の状況からも、人事委員会の作業が非常に困難なことは認識しているが、十分な交渉期間を確保するということを踏まえ、勧告時期を考慮されるよう要請しておく。

 これまで申し上げてきたとおり、この間、私たちの実質賃金が大きく引き下げられてきたことを顧み、また、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮し、改めて、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責を果たされるよう求めておく。

人事委員会 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたっては、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきている。

 本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただく。


市労連 2017年統一賃金要求に関する申し入れに対する回答【別紙】
申し入れ項目 回   答
1 人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、勧告に際しては、労使合意事項、労使交渉の経過、組合の意見を十分尊重すること。  地方公務員法第14条第2項及び第26条により人事委員会に与えられた権限(給与報告・勧告等)は、人事委員会の専門的で公正な中立機関としての判断により、職員の勤務条件の確保を保障するとともに、報告(勧告)に基づく給与は適正なものとして、市民の理解を求めるよりどころを与えるものであると考えており、今後も適切に対応してまいりたいと考えています。
2 勧告内容にかかわる政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、中立・第三者機関としての立場を堅持し、公平・公正な立場で作業を進めること。
3 勧告にあたり、地公法第24条第3項に規定する給与基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映すること。その上で、給料表作成にかかわる内容は労使交渉による決定事項であり、具体的中身に踏み込まないこと。  生計費の算定は毎年4月における費目別平均支出金額を基礎として行い、給与勧告資料の労働経済指標において全国と本市民間の生計費・物価の状況を比較するとともに、標準生計費(理論生計費)の算定・公表を行っているところです。給料表の勧告については、人事委員会の説明責任、機能発揮の観点から研究を行っていく必要があると考えています。
4 民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、合理的な方法を採るよう努めるとともに、下記の内容を踏まえて改善すること。(1) 調査対象企業規模50人以上とした比較方法を改め、少なくとも以前の調査対象企業規模に戻すこと。また、団体交渉によって賃金、労働条件を決定している事業所を対象とし、「会社更生法等の適用企業」は調査対象から除外すること。  調査対象企業規模については、国において平成18年より企業規模50人以上100人未満の事業所についても調査対象とされ、本市においても、民間給与実態調査は人事院等との共同調査であることから同様に実施してきたところであり、今後とも国等の動向を踏まえ、対応してまいりたいと考えています。民間給与実態調査は、民間事業所を無作為で調査することが市民の理解を得る大きな要素となっており、作為的に一部の事業所を対象除外とすることは誤解を招きかねず、加えて、現実の問題として、当該調査が人事院等との共同調査となっていることからも、本委員会のみ調査対象の考え方を変更することは困難であると考えています。
(2) 精確な公民比較を行うために、民間給与実態調査の突出したデータを調査対象から除外せず、従前の方法にあらためること。  民間給与データの中には、極端なデータも存在するため、そのような極端なデータについては、引き続き公民比較の対象から除外することが、大阪市職員の給与水準を適正化するとともに、市民の信頼を得るためには必要であると判断したところです。
(3) 比較対象職種は、国及び地方自治体の基幹職種である行政職(一)表関係業種とすること。  比較対象職種は、基本的に公民双方の大部分を占める職種ということが妥当であり、人事院は行政職(一)表、本委員会においても行政職との比較を行ってきているところです。今後とも、国や他都市の動向等を踏まえ、引き続き研究してまいりたいと考えています。
(4) 比較給与の範囲は、原則として公務員の基本給に相当する給与とすること。  民間においては、いわゆる基本給部分と呼ばれるものであっても、資格給、年齢給、職能給等さまざまな要素で組み立てられている場合が多く、一律に基本給部分をどこまでとみなして調査することは困難であると考えています。一方、昨今の人事給与制度の変革の流れのなかで、民間の給与の構造は大きく変貌の様相を見せており、今後とも、より精密な公民比較を行うため、研究を続けてまいりたいと考えています。
(5) 比較にあたっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。  経験年数について調査が可能となれば、年齢との2つの要素の組み合わせで公民比較を行うという新たな手法も考えられますが、現実には民間のデータを調査する際に、同種外部経歴等の経験年数換算を行う必要があることから、経験年数を調査することは難しいケースが多く、調査効率や調査の正確性が損なわれるおそれが多分にあります。また、全国一律の調査様式など実際上本市独自でクリアすることは非常に難しい問題と考えています。なお、「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」報告書においても、民間給与実態調査の基礎となる民間企業の賃金台帳には、勤続年数の記入は義務づけられていないことなど調査技術上の問題等が存在しているとされているところです。
(6) 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。  例年、積み残し事業所の追跡調査については、人事院が定めた調査期限一杯のところまで努力しているところです。
(7) 特別給については、調査・比較方法を改め、公民同一基準による精確な月数算定を行うこと。  特別給に関する現行公民比較方式については、人事院等との共同調査という枠がある中で、調査対象を本市独自で設定することは困難であると考えています。なお、特別給の調査については、平成16年より前年夏冬の調査から前年冬と当年夏の調査に改められているところです。
(8) 賃金センサスについては、月例給や特別給における調査データのタイムラグや、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を分離できないことなど問題が多いことから、ラスパイレス比較するためのデータとしては不適当であり活用しないこと。  賃金センサスについては、平成24年6月に施行された大阪市職員基本条例第24条第3項において、人事委員会は、民間事業者における給与水準及び勤務条件の実態を把握するため、直近の賃金センサス等を参考として活用しなければならないとされていることから、その活用について研究を進めてきたところです。その結果、本委員会としては賃金センサスを民間給与調査の代替としてそのまま用いることには無理があると考え、役職段階や年齢等に応じた給与水準等の民間給与の傾向を把握するものとして活用するという方法をとったところであり、その際には、市内の事業所における雇用形態や職種が職員と同種の者を対象とし、経年的なデータのバラつきなどを考慮して直近3年間の調査データを用いることとしています。
5 勧告制度とは別個で行われている「給料月額の減額措置」について、これ以上継続すれば、職員の士気や生活に多大な悪影響を及ぼす恐れがあることから、直ちに終了すべく、さらに踏み込んだ表現で勧告すること。  現在行われている給料月額の減額措置については、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なる給与支給状況にあることは人事委員会としても認識しており、給与減額措置にかかる条例意見照会に際しては、意見を付してきたところです。また、昨年の報告・勧告における意見のなかで、職員の執務意欲等に与える影響等も懸念されるところであり、早期に解消されることを望むものである旨を言及しています。
6 2012年8月の給与制度改革に伴う大幅な給与水準見直しに関し、是正に向けた具体的に踏み込んだ対応を求めるとともに、50歳台後半層における昇給制度について、国とは異なる地方自治体の実態を踏まえ、改善をはかること。  平成24年8月の給与制度改革に伴う影響等や、50歳台後半層の昇給制度については、職務給の原則の徹底という観点から、本市における人事運用の実態を踏まえながら検証・検討してまいりたいと考えています。
7 諸手当について、とりわけ住居手当は、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた住居手当制度を確立するとともに、持ち家にかかる手当の精緻な調査を行うこと。また、地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。  住居手当については、職種別民間給与実態調査において民間の状況を調査しているところであり、調査結果等を踏まえ、研究してまいりたいと考えています。また、地域手当については、国家公務員において、民間賃金の地域間格差が適切に反映されるよう、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給することとされているもので、国の制度にならった手当のひとつであります。人事委員会としては、民間との比較給与のなかに含めて較差を算出していますが、手当の配分や制度の在り方などについて、国や他の自治体の動向も見守りつつ、今後とも研究してまいりたいと考えています。
8 新たな高齢者雇用制度の確立にあたっては、年金と雇用の確実な接続と生活できる給与水準を保障すること。特に、段階的定年延長が実現するまでの間は、再任用制度義務化による制度設計が急務であり、60歳以降も安心して働きつづけることができる雇用環境整備のため、本市の業務実態を十分ふまえた制度となるよう具体的に勧告すること。  60歳以降の雇用確保策や人事・給与制度などについては、民間や国、他の自治体の状況も踏まえつつ、本市組織にふさわしい高齢期における職員の活用について、検討を進めてまいりたいと考えています。
9 非正規労働者の増加が社会問題化する中、臨時・非常勤職員の処遇改善に関して、人事委員会として問題認識を持ち、可能な対応をはかること。  本市においては、非常勤嘱託職員は特別職とされており、その勤務条件等については、人事委員会の権限が及ばないところです。
10 年間総労働時間1800時間を早期に達成するため、実効性ある超過勤務規制のための施策推進や年次有給休暇の取得促進、業務量に見合う人員確保策など、時間短縮に向けた具体的な方策を示すよう努めること。  超過勤務の縮減に向け、本委員会では、これまで人事委員会勧告・報告や「人事管理制度に関する報告」において、様々な意見を申し述べてまいりました。今後とも、必要に応じて適宜意見を申し述べてまいりたいと考えています。
11 女性の労働権確立、男女共同参画社会の実現に向け、仕事と家庭の両立支援策の充実が求められており、「次世代育成支援対策推進法」の行動計画の着実な実施に向けた対策を行うこと。  男女共同参画社会の実現に向け、男女の別なく、職員一人ひとりの能力や適性に応じて人材を育成する取組みが重要であることから、本委員会では、これまで人事委員会勧告・報告や「人事管理制度に関する報告」において、様々な意見を申し述べてまいりました。今後とも、必要に応じて適宜意見を申し述べてまいりたいと考えています。
12 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査し、地公法42条の趣旨に適う制度構築に努めること。  給与以外の勤務労働条件等について、人事院は毎年項目を変えて民間給与実態調査の調査票のなかに盛り込んでいるところでありますが、一方、民間給与実態調査は人事院・大阪府等との共同調査であり、調査対象企業の負担増を招くことにより調査結果に影響を及ぼす別途調査については行わないよう人事院から指導を受けているところであります。
13 私たちの意向を反映し、早期勧告に向けて努力すること。  適切な時期に給与報告・勧告を行うことができるよう、努めてまいります。
 

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