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更新日:2017年9月20日

第2回大阪市人事委員会交渉

市人事委員会:月例給では公務が民間を上回り、一時金については民間が公務を上回る見込み
扶養手当のあり方や退職手当についても言及
勧告時期は9月末
市労連:四囲の状況からしても月例給で公務が民間を上回るとは考えにくい!
「給料月額の減額措置」に対して明確に「即時終了」を勧告するよう要求!

 市労連は、9月20日(水)午前9時30分から大阪市人事委員会と、現在の進捗状況や勧告の見通しなどに関し交渉を行った。

 人事委員会は、月例給は、公務が民間を若干上回っており、また、一時金等の特別給については、民間が公務を上回る見込みであるとした上で「月例給及び特別給の改定の必要性について検討している」ことを示した。その他、給与制度等に関する課題として、給料表構造等や保育士及び幼稚園教員の給与改定についての考え方、加えて、扶養手当のあり方や退職手当の支給水準等について言及する必要があるとし、最後に、勧告時期については9月末を予定していることが明らかにされた。

 市労連として、本年における春闘での民間賃金相場や国・他都市の勧告状況と、市職員の給与水準を考慮すれば、月例給において、公務が民間を上回るとは考えにくいことを表明した。また、扶養手当や退職手当の国に準じた見直しは容認できないことを指摘し「給料月額の減額措置」については、明確に「即時終了」するべきであるという報告・勧告を強く求めてきた。

組合 市労連は8月8日に人事院勧告が行われたのを受けて、大阪市給与勧告の集約段階を迎えている人事委員会に対して、9月4日、勧告に向けた申し入れを行ってきたところである。その際、民間給与データの取り扱いや賃金センサスの活用、扶養手当のあり方などについて指摘し、また、給料表構造と昇給制度において、抜本的な見直しが必要なことや「給料月額の減額措置」の即時終了を明確に勧告・報告するよう求めてきた。それらを踏まえ、私たちの要求の主旨を受け止め、さらに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責を果たされるよう要請してきたところである。

 この間繰り返し申し上げてきたが、度重なる給与削減により、私たちの賃金は民間水準以下に抑制されており、このような給与削減を人事委員会として追認するのではなく、大阪市に対して是正に向けた勧告を行うべきである。

 地方公務員の給与決定は、言うまでもなく、地公法第24条第3項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たち組合員の切実な要求に応えるよう最大限の努力を求めておく。

 その上で、事前質問事項である前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通し、本年の作業の進捗状況について、現時点での較差や一時金の傾向と具体的な勧告日を明らかにされたい。

行政委員会事務局 ただいまお受けした申し入れについては、事前にお聞きしていた申し入れの内容を人事委員会に諮っている。本日は、その結果に基づき、回答をお求めの件について、本委員会の見解等を申し述べる。

 作業の進捗状況については、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてきており、現在は、大詰めの段階を迎えている。民間給与実態調査を行った時点での厚生労働省の毎月勤労統計調査では、大阪で所定内給与は昨年より減少しているなど、全国と比較して厳しい労働経済状況も見られる。

 公民給与の状況についてであるが、月例給については、公務が民間を若干上回っていると見込んでいる。一時金等の特別給については、年間の支給月数は、民間が公務を上回っていると見込んでいる。これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、月例給及び特別給の改定の必要性について検討している。なお、保育士及び幼稚園教員の給与水準については、民間の保育士及び幼稚園教員を上回っていると見込んでいるが、民間との比較のみで改定の要否を判断することは適当ではないと考えており、賃金センサスに基づく一般的な民間従業員との比較結果や、他都市の同職種の給与水準なども考慮し、改定の必要性について検討している。また、国において行われた扶養手当制度の見直しについても検討を進めている。

 給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行い、公民比較の在り方等についても研究・検証している。給与制度等に関する課題としては、給料表構造等の在り方や、高齢層職員の給与制度等、扶養手当の在り方、教育職員の給与制度等、退職手当の支給水準等について言及する必要があると考えている。また、人事管理制度に関する課題として、組織・人員体制の構築、人材育成・活用、人事評価、長時間勤務の是正、管理監督者による適切な勤務時間の管理、両立支援の推進、非常勤職員の任用制度等の整備について言及することを考えている。

 勧告時期については、9月末を予定している。

組合 ただ今、人事委員会より、本年の公民給与の状況について、一時金等の特別給においては民間が公務を上回ると示されたが、月例給に関しては、公務が民間を若干上回っている見込みであることが明らかにされた。

 連合が7月に公表した今春闘の最終集計では、6月末時点で多くの企業が妥結に至り、継続した賃金改善が実現されている。特に、300人未満の中小企業に関しては、昨年を超える成果を上げると同時に、大手企業を上回る賃上げ率となっている。また、大阪府においては、平均妥結額・賃上げ率ともに昨年よりは減少しているものの、妥結水準としては過去10年間で3番目に高い結果となっている。

 昨年の給料改定で引き上げが実施されたものの、長年の「給料月額の減額措置」や「給与制度改革」により、市職員の給与水準が大幅に引き下げられていることは言うまでもなく、民間の妥結結果や現段階で出されている国・他都市の勧告状況と、本市における職員の給料水準を考慮すれば、月例給において、公務が民間を上回るとは考えにくく、大阪市に働く職員の生活実態を十二分に踏まえた勧告を行うよう求めておく。

 また、公民比較のあり方等についても研究・検証しているとのことだが、人事委員会はこの数年来、民間給与データの取り扱いにおいて、上下2.5%を基礎資料から除外し、公民較差に大きな影響を与えている。今年度においても、新たな手法を活用し、上下に突出したデータの除外判別を行うことを明らかにしている。市労連はこの間、一定条件において抽出したデータである以上、比較対象とするべきであることを再三指摘してきており、精確なデータに基づいた公民比較を行うという職責を果たす上でも、正確性を欠く手法を活用した比較は行わないよう改めて要請しておく。合わせて、賃金構造基本統計調査の結果等についても、1年遅れの公表であることや、同種同等の原則による比較ができない等、当該調査データの精度そのものに問題があることから、市労連として、賃金構造基本統計調査の活用は認められないことを指摘しておく。

 給与制度等に関しては、現在の給料表が適用されて以降、昇給・昇格もできずに、各級最高号給に多くの組合員が位置付けられ、組合員のモチベーションが低下していることは言うまでもない。組合員の働き甲斐やモチベーション向上をはかることは、市政運営においても重要であることから、給料表構造等の抜本的見直しを行い、給与制度のみならず、昇給・昇格を含めた人事・給与制度全体にかかる、総合的な制度として確立できるよう、人事委員会として積極的で主体的な姿勢で取り組むことを強く求めておく。

 扶養手当のあり方についても言及の必要性に触れられているが、配偶者手当に関しては、現在も多くの民間企業で支給されており、民間の支給額は市職員を上回っている。そのような状況での配偶者手当の引き下げは、社会状況に則していないことから、国の見直しに安易に追随するのではなく、主体性を持って対応するよう求めておく。

 退職手当の支給水準見直しについては、現在、国において検討作業が進められている状況にあるが、扶養手当同様に、国とは支給状況等が異なっている。また、大阪市は給与水準自体も政令市の中で最低となっており、ラスパイレス比較においても国との乖離が大きいことから、国に準じた見直しは容認できるものではない。退職手当は勤続報償的性格のみならず、生活保障の要素がむしろ中心であり、雇用と年金の接続にも課題がある中、退職後の生活設計を配慮した対応を求めておく。

 保育士及び幼稚園教員の給料表については、労使合意なき大幅な引き下げが行われたことから、人材確保や施設運営への影響を考慮し、早急な給料表の見直しが必要であることは、この間再三述べてきた。その上で、申し入れの際にも指摘したが、現在、保育士及び幼稚園教員の処遇の低さや人材不足が、公務だけではなく社会全体的な問題となっており、職務の重要性や保育所及び幼稚園の運営への影響を考えると、公務が率先して職員の処遇改善を行うべきである。職員の処遇改善が待機児童解消や女性の活躍促進に繋がり、社会全体的な「ワーク・ライフ・バランス」の充実と好循環を促すものと考えている。

 再任用に関する課題については、公的年金の支給開始年齢が引き上げられたことから、雇用と年金の接続は避けて通れない重要な課題であり、人事委員会の姿勢と対応は、組合員の60歳以降の働き方と生活に大きく影響することから、給与制度も含め定年後も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、最大限の努力を要請しておく。

 「給料月額の減額措置」に関しては、財政難を理由として長期に渡り実施されており、市労連として、人件費削減に頼らない市政運営に向け努力すべきであることを、市側に対して再三指摘してきている。人事委員会としても、勧告制度とは別個で実施されている減額措置に対して異議を唱えるべきであり、何度も申し上げているが、本年においても、明確に「即時終了」するべきであるという勧告・報告を強く求めておく。

 最後に、人事委員会は技能職員の給与水準について、民間給与水準の調査・分析及び、市技能職員の給与水準との比較結果を4月19日に報告している。その際、本調査及び比較は、民間のデータ数や内容からして有意なものとはならないことを、人事委員会としても示していたことから、技能労務職給料表においても、行政職給料表をはじめ、その他給料表と同等に扱うことを言及するよう要求しておく。

 以上、本年の勧告を目前に控え、市労連としての考え方などについて率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、市政の発展と市民サービス向上のため、日夜を問わず懸命に働く組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう重ねて要請しておく。

行政委員会事務局 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたっては、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきている。

 本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただく。

以上

 

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