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更新日:2011年10月7日

大阪市人事委員会委員長交渉

【市人事委員会】
月例給は公務が民間を上回る大変厳しい状況一時金については均衡と予想
給料表のさらなるフラット化について具体的に言及すると表明
勧告日は10月13日予定

【市労連】
賃金・労働条件の決定は、労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本
給料月額の減額措置については、毅然とした態度で中止勧告を行うよう求める!

 市労連は、10月5日(水)午後4時から三役・常任合同会議を開催し、9月7日に行った大阪市監査・人事事務総括局長への申し入れ以降の人事委員会勧告をめぐる状況分析と対応などについて協議し、同日午後4時35分から、大阪市人事委員会委員長以下と、現在の進捗状況と勧告の見通しについて交渉を行った。

 交渉の中では、市人事委員会から、大阪の経済状況については全国よりも厳しい状況との説明があり、月例給については引き下げが必要と言及、一時金については概ね均衡と述べられるとともに、給料表の昇給カーブのフラット化、さらに、一時金勤勉手当基礎額の配分原資については再度踏み込んで言及すること等が表明された。

 市労連は、賃金・労働条件の決定は、あくまでも労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本であることと、労使協議内容に関わる課題に関して労使交渉への介入となるような報告・勧告は許されないことなどを指摘した。

 また、給料月額の減額措置について、人事委員会として本来あるべき立場をふまえて毅然とした態度で中止勧告を行うよう求めた。

 さらに、具体の勧告は10月13日に行う予定であることも表明された。

組合 市労連は、本市給与勧告の集約段階を迎えている貴人事委員会に対して、9月7日に「私たちの要求の主旨を十分受け止め、さらに労使合意事項や労使交渉の経過なども尊重して勧告を取りまとめるよう」要請してきたところである。

 その後、9月30日にようやく人事院勧告が出されたが、月例給でマイナス0.23%(▲899円)引き下げることと、一時金は、岩手県、宮城県、福島県の東北3県を調査していないことを理由に改定を見送る等とされ、昨年と同様に厳しい内容となった。特に、一時金については、民間の支給割合が3.99月であったにも関わらず、改定を見送ったことは、極めて政治的な勧告と言わざるを得ない。

 また、本年の官民較差については、2011年春闘の結果から「多くの企業で定期昇給のみに止まったことに加え、国家公務員における定員削減や在職期間の長期化等の影響により、民間よりも給与水準が上回っている高齢層の職員の割合が増加している」とし、これらがマイナス較差が出た原因とされているが、ラスパイレス比較を行う際に重要なのは、この1年間の公務と民間の賃金の変動がどうだったのかであり、国家公務員側の事情が色濃く反映された結果には納得し難いものがある。さらに、官民格差の解消方法として「50歳代を中心に、40歳代以上を念頭に置いた引き下げ」にも言及し、引き下げる場合の具体的な改定率にまで踏み込んでおり、昨年と同様に年齢を理由に引き下げることは、職務給や能力・実績主義という基本原則に反しており、このような措置は到底認められるものではない。同時に、給与構造改革の実施に伴う経過措置の廃止勧告を、公務員連絡会の要請を無視して人事院が強行したことは我々としても断じて認めることはできないことをあえて申し上げておく。

 次に、「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」が行われたが、公的年金の支給開始年齢引き上げに伴う措置として、定年延長は必須課題と認識しているが、60歳を超える職員の給与が60歳前の7割水準とされたことは厳しい内容と言わざるを得ない。高齢期を迎えた職員の働き甲斐に影響する重要な問題であり、大阪市の実情を十二分に踏まえた対応を求めておく。

 再度指摘するが、連年にわたる月例給の引き下げに加えて、政治的な勧告による一時金の改定見送りは、公務員の生活に多大な影響を与えるものであり、本年の人事院勧告は極めて不満な内容と言わざるを得ない。貴人事委員会として、本年の勧告にあたっては、政府・総務省の不当な干渉を排除し、人事委員会の主体性を発揮するよう求めておく。

 さらに、大阪市独自に行われている給料月額の減額措置についても、現在の私たちの賃金が、昨年の人事委員会勧告の水準以下に抑制されている実態を単に追認するのではなく、むしろ是正するように指導すべきと市労連の考えを申し上げてきた。1999年以降は、民間賃金の厳しい状況を受けて私たちの賃金はほぼ一貫して下がり続け、尚かつ、一昨年からは独自の給料カットによって民間水準を大きく下回る給与実態にあり、組合員はギリギリの生活を余儀なくされている。こうした組合員の生活実態を看過することなく、人事委員会勧告制度の外で実施されている措置に対しては、人事委員会として本来あるべき立場を踏まえ、毅然とした態度で中止勧告を行うよう求めておく。

 言うまでもなく、地方公務員の給与決定は、地公法第24条第3項の趣旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たちの要求に応えるよう最大限の努力を求めておきたい。

 その上で、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通しについて明らかにしていただきたい。

人事委員会 私ども人事委員会の給与勧告は、大阪市域の賃金水準を反映した市内の民間企業従業員の給与を調査し、これと本市職員の給与とを均衡させることを基本としている。

 本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を引き続き誠実に果たしてまいりたいと考えている。

 まず、作業の進捗状況であるが、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 民間給与の調査を行った時点での日本経済の基調判断としては、内閣府の月例経済報告において、景気は「持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」という認識が示されたところである。本年4月の毎月勤労統計調査でも全国及び大阪ともに民間事業所の平均所定内給与が昨年と比べ減少しているが、大阪の減少率は全国より大きくなっている。

 民間給与調査の結果によると、市内において本年1月以降に雇用調整を実施した事業所の割合は全国とほぼ同水準であるものの、ベースアップを実施した事業所の割合は、市内は全国に比べ低水準となっているなど、厳しい状況も見受けられる。

 このように、大阪の経済状況については、全国より厳しい状況が見られたところである。

 公民比較については、現在、最終的な詰めの作業に取り組んでいるところであるが、月例給は、厳しい経済状況が反映され、公務が民間を上回る厳しいものとなるのではないかと予想している。賞与等の特別給については、年間の支給月数としては、概ね公務と民間が均衡するのではないかと予想している。

 これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、職員給与を民間給与と均衡した水準とするには、月例給の引き下げ改定が必要と見込まれる。給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行ってきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。

 本年の給与改定については、公民較差に基づく改定として、年功的な給与上昇を抑制するための給料表の昇給カーブのフラット化について具体的に言及することを考えている。なお、本年、人事院が勧告した給与構造改革に伴う現給保障を廃止する措置については、本市では給与構造改革に伴う現給保障は、ほぼ解消されており、必要ないのではないかと考えている。

 また、本年の給与報告・勧告においては、公的年金の支給開始年齢引き上げに伴う高齢期職員の活用に関する課題が重要であると考えており、60歳以降の雇用確保策として、国家公務員の定年の動向を踏まえつつ、市民の理解を得られる、本市組織にふさわしい雇用確保策となるよう検討を進める必要があると考えている。人事制度面では、職員の士気を確保し、組織活力を維持していく観点から、採用・昇任管理、60歳以降の職員の多様な働き方や職域の開発、役職定年制などの課題について検討していく必要があると考えている。給与制度面では、60歳台前半層の給与のあり方として、仮に定年の引き上げを行う場合には、民間の状況を踏まえ、年間給与を相当程度引き下げることなどを検討する必要があると考えている。また、60歳までの給与のあり方については、当面、給料表の昇給カーブのフラット化を推進していくことなどを検討する必要があると考えている。

 その他にも、給与構造・制度の改善に向けた課題として、給料表のフラット化の推進のほか、職務級の原則に適った給料表構造へ転換していくことなど給料表のあり方の研究について言及することを考えている。

 諸手当についても、住居手当について、持家にかかるものに限らず、住居手当制度全般のあり方の検討について言及することを考えている。また、昨年、意見として言及した係長級以下の職員の勤勉手当について、扶養手当及びこれに対する地域手当額を勤勉手当の基礎額に算入するのではなく、勤務成績に応じた割増支給率を算出する際の原資とすることについても再度言及することを考えている。

 また、柔軟性に富んだ、活力ある組織作りに向けて、明確な採用戦略に基づく継続的かつ計画的な人材の確保の必要性、任期付採用制度の活用や民間企業等との人事交流の推進、変革型組織を支える自律型人材の育成、時宜に応じた人事評価制度とするための検証の必要性や、より効果的な評価結果の活用方法の研究などについて言及することを考えている。

 さらに、誰もがいきいきと働くことのできる職場環境整備に向けて、管理職員による業務配分の適正化や適切な職員の勤務時間管理などによる超過勤務の縮減、両立支援制度を利用しやすい職場環境づくりや制度利用に向けての一層の啓発の必要性、組織として職場のストレス状況を認識し、職場環境の改善を含む的確な対応を採ることなどによるメンタルヘルス対策の推進などについても言及することを考えている。

 なお、現在、本市で行われている給与減額措置については、人事委員会としても昨年の公民較差を超える内容で実施されていることは認識しており、給与減額措置にかかる条例案に関して市会より意見照会がなされた際には、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものとして意見を付してきたところである。本年の給与勧告でも、ここまで述べてきたように地方公務員法の規定に基づき適切な勧告を行ってまいる所存である。

組合 ただ今、人事委員会から本年度の較差について、月例給については公務が民間を上回るとの厳しい状況が明らかにされ、賞与等の特別給については概ね公務と民間が均衡するとの見込みが示され、民調結果では、全国よりも厳しい経済状況が見られるとも言及された。

 市労連としては、過日に行われた国人勧の内容からして、非常に危機感を抱いて本年の勧告を注視しており、特に月例給において4年連続での大幅な引き下げは、組合員の生活に深刻な打撃を与えかねないと認識している。官民給与実態の精確な把握は勿論のこと、ギリギリの要求として水準維持を求めているのであり、大都市固有の生活実態を踏まえた上で生活水準の維持という観点から、組合員の期待に応えられるよう最後まで努力していただきたい。

 次に、給与改定に関して、年功的な給与上昇を抑制するため給料表の昇給カーブのフラット化について具体的に言及することが表明されたが、この間の交渉でも繰り返し申し上げてきたとおり、市側との間で、都度の交渉と合意を積み重ねつつ給料表を確定させてきたものであり、官民較差をどのように配分するのかはまさに労使交渉で決着させるべき内容である。勧告後に行う労使交渉に多大な影響を及ぼし、以降の交渉自体を制約するような内容の勧告はするべきではない。

 また、給与構造・制度の改善に向けた課題として、フラット化の推進以外に職務給の原則に適った給料表構造へと転換していくことなど、給料表のあり方の研究について言及することが述べられたが、2007年の給与構造改革実施後5年目を迎える中で、これまで3級昇格にかかる問題や昇格時における制度上の均衡問題などが表面化している中にあって、市労連として市側に対しその改善を行うよう要請し続けており、まずは給与構造改革の検証と問題解決が先決であることを申し上げておく。

 さらに諸手当に関して、一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題について再度言及すると言われたが、昨年も述べたように、言うまでもなく人事評価結果の反映方法やその配分原資も含めて労使協議事項であり、人事委員会が触れるべき内容ではない。

 いずれにせよ、市労連としてこの間の交渉で指摘しているように、賃金・労働条件の決定は、あくまでも労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本であり、労使協議内容に関わる課題に関して、労使交渉への介入となるような報告・勧告は許されるものでないことを改めて指摘しておきたい。

 さらに、柔軟性に富んだ、活力ある組織づくりに向けて、明確な採用戦略に基づく継続的な人材の確保の必要性などに言及するとされたが、市労連としては、行政組織としての継続性や技術力の継承など、将来の大阪市政を担う人材の確保や人材育成に向けた計画的な施策推進が求められており、とりわけ職員採用に関して、これまで以上に積極的かつ踏み込んだ姿勢を示すよう求めておきたい。また、人事評価制度については、これまで幾度となく触れてきたが、評価される側、評価する側の双方から信頼された制度とすることが重要であり、現状を十分踏まえた課題の検討を行い、公平性・公正性の確保と組合員の納得性を高める制度となるよう適切な勧告が行われるよう求めておく。

 定年延長に関わって、公的年金の支給開始年齢引き上げに伴う高齢期職員の活用に関する課題は重要との認識が示され、さらに人事制度及び給与制度両方の観点から言及すること等が表明されたが、言うまでもなく雇用と年金の接続は官民共通の避けて通れない重要な課題であり、人事委員会の姿勢と対応は60歳以降の働き方に大きく影響することとなる。60歳以降も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、貴人事委員会として最大限の努力をお願いしておく。

 以上、本年の勧告を目前に控えて、市労連としての考え方等について率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう要請しておく。

 最後に、本年の具体的な勧告日についてお聞かせいただきたい。

人事委員会 地方公務員法は、職員の勤務条件について条例で定める必要があるとしており、人事委員会としては、この勤務条件条例主義のもと、労使が勤務条件について交渉を行い合意することは、職員の自らの勤務条件に対する納得性を高めるとともに、職員の士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものと認識している。

 一方、公民給与の精確な比較により適正な給与水準を維持・確保することは労働基本権制約の代償措置である給与勧告に求められている役割であるとともに、公務員の給与水準について、各方面の理解を得る基礎である。そして、情勢適応の原則に基づき、職員給与水準を民間給与水準に均衡させるよう勧告することが、人事委員会に求められている責務である。

 較差については、あらゆる角度から分析を行い、作業の最終段階に入っているところであるが、先ほど申し述べたように、月例給について、公務が民間を上回る大変厳しい状況になるのではないかと予想されるところである。

 いずれにしても、今後とも、市労連の皆様方との連絡を密にして進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

 最後に勧告日であるが、本年については、10月13日を予定しているところである。

以 上

 

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