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2012年9月6日

大阪市人事委員会事務局長交渉

【市人事委員会】
月例給は公務が民間を上回る非常に厳しい状況 一時金については概ね均衡していると予想
賃金構造基本統計調査の活用方法について言及する考えを表明

【市労連】
給料月額の減額措置に対して、毅然とした態度で中止勧告を行うよう求める! 賃金構造基本統計調査を活用すること自体に問題があると指摘!

 市労連は、9月6日(木)午後4時30分から三役・常任合同会議を開催し、8月21日に行った大阪市人事委員会への申し入れ以降の対応などについて協議し、同日午後6時から大阪市人事委員会事務局長以下と、現在の進捗状況と勧告の見通しについて交渉を行った。

 交渉の中で、人事委員会から大阪の経済状況は全国より厳しい状況にあるとの説明があった。月例給については引き下げ改定が必要と見込まれ、一時金については概ね均衡していることや、給与制度は勤務条件の基本であり、改定内容について具体的に言及する必要がある。さらに、賃金構造基本統計調査の活用方法のさらなる検討の必要性について言及することが表明された。

 市労連は、一方的な給与制度の改定による大幅な給与水準の引き下げの実態を十分に勘案し、住居手当も含め慎重かつ適切に取り扱うとともに、職員・組合員が働き甲斐を保ち続けることができる制度として確立させることや、定年後も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、最大限の努力をすることなど強く要請した。

 さらに、今回初めて触れられた賃金構造基本統計調査については、活用すること自体に問題があることから、条例に縛られることなく、他都市等の状況も把握した上で、適切かつ慎重に対処されるよう求めた。

 最後に、勧告時期については9月下旬を予定していることが表明された。

組合 市労連は8月8日に人事院勧告が行われたのを受けて、大阪市給与勧告の集約段階を迎えている貴人事委員会に対して、8月21日に「私たちの要求の主旨を受け止め、さらに、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責をはたされるよう」要請してきたところである。

 また、大都市協においても、8月23日には大人連の委員長・事務局長合同会議に対して申し入れを行うなど活発な取り組みが続けられている。

 この間の交渉でも再三指摘してきたように、大阪市では2009年度から財政悪化を理由に給料カットが実施され、とりわけ本年4月からは、非管理職平均で6.7%もの大幅な給料カットが行われており、組合員の生活は非常に厳しい実態にある。この独自カットにより、私たちの賃金が民間水準以下に抑制されている事実を、人事委員会として追認するのではなく、是正するよう指導すべきであると、私たちの考えを申し上げてきた。人事委員会勧告制度の外で実施されている減額措置に対しては、人事委員会として本来あるべき立場を踏まえ、毅然とした態度で中止勧告を行うよう、改めて求めておく。

 言うまでもなく、地方公務員の給与決定は、地公法第24条第3項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業をすすめ、私たち組合員の切実な要求に応えるよう最大限の努力を求めておく。

 その上で、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通し、本年の作業の進捗状況について、現時点での較差や一時金の傾向を明らかにされたい。

人事委員会 作業の進捗状況、勧告の見通し及び大阪の景気動向については、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 民間給与実態調査の結果によると、市内において本年1月以降に雇用調整を実施した事業所の割合は全国を上回っている。また、ベースアップを実施した事業所の割合や定期昇給において昇給額が増額となった事業所の割合についても、市内は全国に比べ低水準となっているなど、厳しい状況が見受けられる。

 民間給与実態調査を行った時点での厚生労働省の毎月勤労統計調査でも、全国では事業所の所定内給与が昨年より増加しているのに対し、大阪では昨年より減少している状況にある。

 このように、大阪の経済状況については、全国より厳しい状況がみられたところである。

 公民較差及び一時金の傾向については、月例給は、大阪の厳しい経済状況が反映され、公務が民間を上回る非常に厳しいものとなるのではないかと予想している。一時金等の特別給については、年間の支給月数としては、公務と民間は概ね均衡しているのではないかと予想している。

 これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案したところ、職員給与を民間給与と均衡した水準とするには、月例給の引下げ改定が必要と見込まれる。給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行い、また、賃金構造基本統計調査の結果等についても研究・検証してきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。

 本年の給与改定については、公民較差の状況や、8月に行われた給与制度の改定により給料表の各級の最高号給の大幅な切下げ及びそれに伴う経過措置が設けられていること等についても勘案し、適切な改定方法を言及することについても検討中である。

 給与制度等に関する課題等として、給料表の最高号給が適用される多数の職員の士気の確保の必要性について言及することを考えている。また、本年、人事院が勧告した55歳を超える職員の昇給・昇格制度の見直しについては、本市では8月に給料表の各級の最高号給の大幅な切下げ及び部長級以上の給料月額の定額化が実施されるなど、国とは異なる状況も踏まえながら検証・検討していく必要があると考えている。その他、住居手当に関する研究検討、賃金構造基本統計調査の活用方法のさらなる検討の必要性について言及することを考えている。

 また、高齢期における職員の活用として、本市における高齢期職員の雇用確保策や、再任用に関する課題等について言及することを考えている。その他、多様かつ有為な人材の確保、適正な人事評価とその結果の活用、自律的な人材の育成、超過勤務の縮減、両立支援の推進、メンタルヘルス対策の推進などについても言及することを考えている。

組合 ただ今人事委員会から、本年の較差について、とりわけ月例給については、「公務が民間を上回る非常に厳しいものとなる」との認識と、「月例給の引き下げ改定が必要と見込まれる」との考えが示された上で、給与改定にあたっては、「8月に行われた給与制度の改正により給料表の各級の最高号給付近の大幅な切り下げ及びそれに伴う経過措置が設けられていること等についても勘案」「適切な改定方法を言及することについても検討中」との表明があった。

 先日の申し入れの際にも申し上げたが、先の対市団体交渉において、再三再四、市側に再考を求めたにもかかわらず、結果としてわれわれとの合意のないまま給与水準が引き下げられることとなったことは、人事委員会制度を否定することに繋がり、極めて問題があると認識している。年度途中から給与水準が引き下げられるという、かつてない事態は決して容認できるものではなく、一刻も早くその水準是正を行うべきであり、市労連として重大な関心を持っている。8月から実施された大幅な給与水準の切り下げにより、各級の最高号給が大幅に引き下げられている実態を十分に勘案し、住居手当も含め慎重かつ適切に取り扱い、勧告するよう要請する。

 給与制度等に関する課題に関して、労使合意なき給与水準の引き下げにより各級の最高号給が大幅にカットされ、多くの組合員が最高号給の適用を受けることとなることについて、「多数の職員の士気の確保の必要性について言及」とあったが、給与制度のみならず人事・給与制度全体にかかわる課題であるだけに、職員・組合員が働き甲斐を保ち続けることができる制度として確立させるため、貴人事委員会として積極的な姿勢で取り組むことを要請しておく。また、人事院が勧告した「55歳を超える職員の昇給・昇格制度の見直し」についても言及されたが、国人勧に単純に追随することなく大阪市の実情をつぶさに検証し、主体性を堅持して対応するよう強く求めておく。

 高齢期職員の雇用確保・再任用に関する課題については、昨年の人事院勧告で、公的年金の支給開始年齢引き上げに合わせ、定年を段階的に引き上げること等を内容とする意見の申出が行われたものの、政府が「再任用の義務化」という方法を選択したことについては、市労連としても看過できない問題と認識している。言うまでもなく、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢引き上げ時期を間近に控え、雇用と年金の接続は官民共通の避けて通れない重要な課題であり、貴人事委員会の姿勢と対応は、私たちの60歳以降の働き方に大きく影響することとなることから、定年後も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、最大限の努力を要請しておく。

 最後に、今回初めて「賃金構造基本統計調査の活用方法」について触れられたが、1年遅れの公表であることや同種同等の原則による比較ができない等、当該調査データの精度そのものについて疑問視されており、賃金構造基本統計調査を活用すること自体に問題があると認識している。条例に縛られることなく、また、他都市等の状況も把握した上で、適切かつ慎重に対処されるよう要請する。

 以上、本年の勧告を目前に控え、市労連としての考え方などについて率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう重ねて要請しておく。

 その上で、本年の具体的な勧告日についてお聞かせいただきたい。

人事委員会 本年の給与報告・勧告については、研究・分析を進め、作業の最終段階に入っているところであるが、先ほど申し述べたように月例給について公務が民間を上回る非常に厳しい状況になるのではないかと予想されるところである。

 いずれにしても、本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただく。

 最後に勧告時期については、9月下旬を予定している。

以 上

 

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