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更新日:2016年3月22日

大都市協が人事主管者会議に、2016年賃金引き上げ・労働条件改善を申し入れ

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は、3月18日(金)に東京都で大都市協ブロック会議を開催し「2016年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求」などについて協議した。

 その後、当地で開催中の大都市人事主管者会議に対して、以下の申し入れを行った。

2016年3月18日

大都市人事主管者会議 様

大都市労連連絡協議会

2016年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書

 大都市自治体に働く職員の賃金・労働条件の改善に努力されている貴職に敬意を表します。

 2015年地方賃金をめぐっては、人事院の2年連続となる月例給及び一時金を引き上げ勧告によって多く自治体が給与改善を行うことができました。一方、政府・総務省は「地方公務員の給与の在り方に関する研究会報告」「地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する研究会」等の地方給与に係る報告書を発出し、地方自治体及び地方人事委員会へ助言と称する指導・圧力・不当介入を強め、給与・諸制度の国公平準化を押し付けようとしています。

 このような情勢において近年各都市では、特に高齢職員の給与制度の見直し提案が行われ、高齢期雇用制度の具体的な明示もないまま職員に責のない理不尽な改悪が強行されています。しかしながら、このように厳しい状況においても職員は、培った知識と経験をもって公共サービスを低下させることなく、責任を持って業務に従事しています。

 貴職におかれましては、職員が不安なく業務に専念できますよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求を受け止めていただき、その実現にご尽力されますよう次のとおり申し入れます。

1.賃金の改善について

(1) 賃金水準の引き上げ

  1. 2016年の給与改定にあたっては、「地方行革」、「給与適正化」等を理由に行われる不当な国の指導を排し、公務員労働者の生活を維持できる賃金水準に改善すること。
  2. 教育職関係給料表については、これまでの水準・体系を堅持すること。
  3. 「地域手当」については、本給繰り入れを基本に改善すること。

(2) 賃金決定基準の改善

  1. 初任給決定基準ならびに中途採用者の賃金改善を行うこと。
  2. 昇格基準の改善をはかること。
  3. 病休者・育休者などの昇給抑制等に対する復元措置の改善をはかること。
  4. 新たな人事評価制度の検討にあたっては、十分に労使協議を行い、合意なき導入は行わないこと。また、勤務条件等、処遇への活用を行わないこと。

(3) 諸手当の改善

  1. 扶養手当については、支給額を引き上げ、扶養認定及び扶養認定限度額など支給基準の改善をはかること。
  2. 住居手当については、国と異なる実態を踏まえ、制度の抜本的改善と支給額の引き上げをはかること。
  3. 通勤手当については、実費全額支給とし、引き続き、交通用具利用者に対する手当を改善すること。あわせて全額非課税とすること。
  4. 交替制・変則勤務者に対する手当等を充実すること。具体的には、夜勤手当を100分の50、超過勤務手当を100分の150(深夜勤100分の200)、休日給を100分の200に改善すること。
  5. 1か月45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率を引き上げること。なお、超過勤務手当を全額支給すること。
  6. 一時金については、年間支給月数を5ヶ月以上とすること。併せて、成績率の導入や拡大を行わず、加算措置の改善をはかること。また、支給にあたっては、基準日主義を止めて、勤務実績に基づく支給とすること。
  7. 退職手当制度の改善を行うこと。

(4) 関連労働者の賃金改善について

  1. 全国全産業一律最低賃金の制度化に努め、地域別最低賃金の大幅引き上げなど、具体的取り組みを行うこと。
  2. 公共サービス基本法の制定を踏まえ、業務等委託先企業に適正な賃金の支払いをはじめ、公正労働基準の遵守の義務付けなど、公契約条例の制定に取り組むこと。併せて、公契約における適正な労働条件を義務付けるIL094号条約を批准するよう政府関係機関に働きかけること。
  3. 自治体に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表、高卒初任給並みに引き上げること。非常勤、臨時職員などについて、賃金・労働条件の抜本的改善を行い、常勤職員との「均等待遇」をはかること。

2.労働時間の短縮について

(1) 全ての職場で完全週休2日制を実施すること。そのために必要な予算・人員増を含め諸条件の整備を行うこと。勤務時間については、1週37時間30分、一日7時間30分、休憩時間を1時間とすること。

(2) 実効ある超過勤務縮減に向けた具体策を確立すること。

(3) 夏季休暇増をはじめ、リフレッシュ休暇などの休暇制度の新設・改善や、自己啓発、自己実現や社会貢献を促進するための休業制度の新設を含め、総合的休業制度を確立すること。

3.職員の福利厚生について、雇用主責任を果たすために、福利厚生事業の充実・改善をはかること。

4.労働基本権の確立について

(1)ILO結社の自由委員会第329次、331次報告・勧告を全面的に受け入れ、公務員労働者に労働基本権を完全に保障するとともに、団体交渉に基づく賃金・労働粂件決定制度を確立するよう政府関係機関に働きかけること。

(2) 労働運動を理由とする行政処分を一切行わないこと。

(3) 労働運動を理由とした過去の一切の行政処分を撤回し、損害の回復措置を講ずること。

(4) 在籍専従制限を廃止すること。

5.年金制度・医療制度などの社会保障制度の充実に向けて、政府関係機関に必要な働きかけを行うこと。

6.「高齢期の雇用問題」について

(1) 雇用と年金の接続の観点から、定年延長も含めた高齢者雇用制度を早期に確立すること。

(2) 制度の確立にあたっては、国と異なる地方自治体の実態を踏まえ、人事給与制度の改悪を行わず、生活水準の維持・確保を基本に、労働組合と十分な協議と合意に基づくこと。

(3) 賃金のみで生活を支え得る賃金水準を確保すること。

(4) 再任用制度等で対応する場合には、希望する者の全員雇用を保障すること。

7.男女共同参画社会の実現、女性労働者の労働基本権確立について

(1) 男女共同参画促進の実現に向けて、「次世代育成支援対策推進法」に基づく「特定事業主行動計画」については、労働組合と協議の上で実効あるものとし、男女がともに家族的責任を担いつつ、職業生活と家庭生活を両立できる環境整備など、具体的な支援措置を充実すること。

(2) 公務における男女平等実現のため、昇任・昇格基準、運用などを抜本的に改善し、女性を積極的に任用することや間接差別の禁止など、その実効性を高めること。

(3) 産前・産後休暇の延長や妊娠症状対応休暇の拡充など、諸休暇制度を改善するとともに、職場環境の整備を進めること。

(4) 職業生活と家庭生活の両立支援のため、子どもの看護休暇、介護休暇、育児休業、育児部分休業、育児時間等を改善し、昇給・昇格などの欠格条件としないこと。また、育児休業の男性取得を促進すること。

(5) セクシャル・ハラスメント及びパワー・ハラスメントの実態を把握し、実効性のある防止対策を確立すること。

8.安全衛生対策を厳格に確立し、メンタルヘルス対策をはじめ、総合的な対策を労使協議で確立すること。

9.行政サービスの水準を低下させることの無いよう、業務の安易な民営化や民間委託を行わないこと。「市場化テスト」を強要することなく、地方独立行政法人、指定管理者制度については、労働組合と十分な協議を行うこと。

10.自治体財政危機を理由とした、賃金・労働条件の引き下げや行政サービスの低下に転嫁しないこと。また、地方分権にふさわしい税源移譲、必要な地方交付税の確保を求め自治体財源の確立のため国等に働きかけること。

以上

人事主管者会議  本日の要請は、慣例により、大都市人事主管者会議を代表して東京都がお受けする。

 ただ今、大都市労連連絡協議会の「2016年賃金引上げ・労働条件改善に関する要求」を承った。要求書及び発言の内容については、早速、私どもから各都市にお伝えする。

 我が国の経済は緩やかに回復しているものの、市場動向の影響が大きい企業も少なくないなど、経営環境に対する厳しい見方や先行きの不透明感も増している。

 こうした中、今春闘では、経済の好循環を回すという社会的要請を踏まえ、年収ベースの賃金引き上げには理解を示しつつも、将来に亘る人件費増大を敬遠して、ベースアップには厳しい姿勢を示している企業も多く見受けられる。

 また、厳しい環境下でも継続的に成長していくため、企業はイノベーションを剔出する環境を形成していく一環として、多様な人材の活躍や働き方改革の推進にも取り組んでいる。こうした動きは、国が進めている一億総活躍社会の実現に向けた取り組みとも相まって、公務職場も含めた社会全体の動きとして加速する可能性がある。

 このような情勢を踏まえ、給与をはじめとする地方公務員の勤務条件については、公務運営を取り巻く諸状況を考慮した上で適切に対応し、住民の理解と納得を得ていくことが不可欠である。

 いずれにしても、皆さんから頂いた要求の内容については、各都市の事情もあるので、それぞれの都市ごとに、今後よく検討させていただきたいと考えている。

以 上

 

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