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更新日:2016年3月24日

2016年統一賃金要求対市人事委員会申し入れ

中立機関としての使命と職責を果たすよう指摘!
改めて「給料月額の減額措置」の中止勧告を求める!

 市労連は、3月23日(水)午後5時00分から市人事委員会に対して、以下の「2016年統一賃金要求に関する申し入れ」を行った。

 申し入れに際し、市労連は、勧告制度とは別個で実施されている「給料月額の減額措置」の中止勧告を改めて求めてきた。また、ここ数年、民間給与データの上下2.5%ずつを基礎資料から排除していることに触れ、このような手法が、調査結果に影響を及ぼしていることは明らかであることから、活用し続けることは断じて認めることはできないことを強く述べ、中立機関として、正確なデータに基づいて公民比較を行うという、役割と職責を果たすよう指摘してきた。

組合 それでは、ただ今より、2016年統一賃金要求を申し入れる。

 なお、具体的な内容については、書記長より説明する。

申し入れ書手交

2016年3月23日

大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 上谷 高正

市労連2016年統一賃金要求に関する申し入れについて

 貴人事委員会におかれては、常日頃から私ども大阪市職員の賃金を中心とした勤務・労働条件の改善に尽力されていることに敬意を表します。

 さて、市労連は、昨年11月6日に大都市労連連絡協議会として、大都市人事委員会連絡協議会課長会議に対し、勧告(報告)の準備作業にあたり「大都市の諸事情が十分反映されたものになるよう」申し入れを行い、本年2月5日には、公務労協地公部会を通じて、全国人事委員会連合会に対し「2016年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握するとともに、公民較差については給料表を中心に確実に配分するなど、地方公務員の生活を改善するため、賃金水準を引き上げること」などの要求書を提出しました。加えて、3月18日には、大都市労連連絡協議会において、春闘期の要求として大都市人事主管者会議に対し、「2016年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書」も提出してきました。

 昨年来より、総務省が国の見直しを踏まえた検討を各地方へも要請したことなどから、多くの政令市において「給与制度の総合的見直し」が実施されることとなり、それを受け、大阪市に関しても人事委員会が言及したことにより、4月から実施されることとなっています。

 また、昨年の勧告で示された公民較差は▲2.43%という内容であり、これほど大きなマイナス較差となった要因の一つとして、上下2.5%ずつを基礎資料から排除するなどの手法に問題があったと認識するものです。

 貴職におかれましては、精確な公民比較調査を行うとともに、調査データの活用方法については、精確な民間の給与実態と比較することが職責であり、従来の手法に改めるよう求めるものであります。

 さらに、4月以降も勧告制度の外で、独自給与カットが継続されようとしています。こうした事態は、労働基本権の代償措置である勧告制度を空洞化させるものであり、これまでにも増して直ちに終了することを明確に勧告すべきです。貴人事委員会として、政治的・社会的圧力が強まる中での作業となりますが、改めて、中立・第三者機関としての人事委員会の責任が問われていると認識しています。

 現在、組合員は厳しい生活を余儀なくされており、4月からのマイナス改定や「給与制度の総合的見直し」とあわせて、独自給与カットが今後も継続となれば、将来の仕事や生活に対する不安も一層増大し、モチベーションの低下がさらに加速することとなります。また、多くの課題がある賃金センサスについては、その解決がはかられないまま活用することは問題であり、人事委員会としての主体性と役割を十二分に果たされることを強く求めます。

 その上に立って、以下の2016年統一賃金要求を申し入れますので、要求事項の実現に向け最大限の努力を払われるよう要請します。

1 人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、勧告に際しては、労使合意事項、労使交渉の経過、組合の意見を十分尊重すること。

2 勧告内容にかかわる政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、中立・第三者機関としての立場を堅持し、公平・公正な立場で作業を進めること。

3 勧告にあたり、地公法第24条第3項に規定する給与基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映すること。その上で、給料表作成にかかわる内容は労使交渉による決定事項であり、具体的中身に踏み込まないこと。

4 民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、合理的な方法を採るよう努めるとともに、下記の内容を踏まえて改善すること。

(1) 調査対象企業規模50人以上とした比較方法を改め、少なくとも以前の調査対象企業規模に戻すこと。また、団体交渉によって賃金、労働条件を決定している事業所を調査対象とし、「会社更生法等の適用企業」は調査対象から除外すること。

(2) 精確な公民比較を行うために、民間給与実態調査の上下2.5%ずつを、調査対象から除外する手法を従前の方法にあらためること。

(3) 比較対象職種は、国及び地方自治体の基幹職種である行政職(一)表関係業種とすること。

(4) 比較給与の範囲は、原則として公務員の基本給に相当する給与とすること。

(5) 比較にあたっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。

(6) 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。

(7) 特別給については、調査・比較方法を改め、公民同一基準による精確な月数算定を行うこと。

(8) 賃金センサスについては、月例給や特別給における調査データのタイムラグや、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を分離できないことなど問題が多いことから、ラスパイレス比較するためのデータとしては不適当であり活用しないこと。

5 勧告制度とは別個で行われている「給料月額の減額措置」について、これ以上継続すれば、職員の士気や生活に多大な悪影響を及ぼす恐れがあることから、直ちに終了するよう勧告すること。

6 2012年8月の給与制度改革に伴う大幅な給与水準見直しに関し、是正に向けた具体的に踏み込んだ対応を求めるとともに、50歳台後半層における昇給制度について、国とは異なる地方自治体の実態を踏まえ改善をはかること。

7 諸手当について、とりわけ住居手当は、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた住居手当制度を確立するとともに、持ち家にかかる手当の精緻な調査を行うこと。また、地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。

8 新たな高齢者雇用制度の確立にあたっては、年金と雇用の確実な接続と生活できる給与水準を保障すること。特に、段階的定年延長が実現するまでの間は、再任用制度義務化による制度設計が急務であり、60歳以降も安心して働きつづけることができる雇用環境整備のため、本市の業務実態を十分ふまえた制度となるよう具体的に勧告すること。

9 非正規労働者の増加が社会問題化する中、臨時・非常勤職員の処遇改善に関して、人事委員会として問題認識を持ち、可能な対応をはかること。

10 年間総労働時間1800時間を早期に達成するため、実効性ある超過勤務規制のための施策推進や年次有給休暇の取得促進、業務量に見合う人員確保策など、時間短縮に向けた具体的な方策を示すよう努めること。

11 女性の労働権確立、男女共同参画社会の実現に向け、仕事と家庭の両立支援策の充実が求められており、「次世代育成支援対策推進法」の行動計画の着実な実施に向けた対策を行うこと。

12 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査し、地公法42条の趣旨に適う制度構築に努めること。

13 私たちの意向を反映し、早期勧告に向けて努力すること。

以 上

 申し入れについては以上である。

 その上で、申し入れにあたって改めて指摘をしておく。

 大都市労連連絡協議会は、3月18日に大都市人事主管者会議に対して申し入れを行い、その際、厳しい状況においても職員は、培った知識と経験をもって公共サービスを低下させることなく、責任を持って業務に従事している。そのような状況を踏まえ「職員が不安なく業務に専念できますよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求の実現に尽力されるよう」申し入れている。

 2016年春闘においては、大手企業の集中回答が出されている。年明け以降、円高・株安が進み経営者側の先行き不安が背景にあるが、3年連続のベアを実現している。社会全体の景気の底上げに向けて、今後の中小企業の動向に注視していかなければならないと考えている。

 本年4月からは、多くの自治体で「給与制度の総合的見直し」が実施され、大阪市においても、給料表の引き下げとあわせて実施されることとなっている。また「給与制度の総合的見直し」に伴い、給料表の号給増設が一部なされたものの、極めて限定的なものであり、われわれの求めているものとは程遠い内容となっている。「給与制度改革」以降、最高号給に位置付けられ、昇給できない職員が多く存在していることは、貴人事委員会としても勧告の中で触れており、それらの解決が喫緊の課題であることから、昇給・昇格を含む人事・給与制度全般的な改善を早急に求めておく。

 加えて人事委員会は、ここ数年の調査において、民間給与データの上下2.5%ずつを基礎資料から一方的に排除しており、このような手法が調査結果に影響を及ぼしていることは明らかである。特に昨年のマイナス勧告では、上下2.5%を排除しなかった場合との差が、金額にして5,588円となっており、示された公民較差▲9,925円の半分以上にも影響を及ぼしていることとなる。われわれとしては、職員の実質賃金が引き下げられている状況で、このような手法を頑なに活用し、意図的とも言える給与水準の引き下げ勧告を行う人事委員会の姿勢には憤りすら覚える。公平・公正な第三者機関である人事委員会が自らの責務と逆行し、このような調査手法を活用し続けることは断じて認めることができない。また、精確性を欠く調査データである、賃金センサスを活用した公民比較も行われている。

 市労連として再三指摘してきたが、民間給与実態調査を行う際は、直ちに従来の手法に改め、正確な公民比較を行うという人事委員会の職責を、確実に果たすよう強く要請しておく。

 「大阪市技能労務職員給与検討有識者会議」については、委員意見もまとめられているが、今後、これらに基づいて市側の依頼を受け、さらなる独自調査や分析を行うようなことは、勧告制度そのものを否定するものであり、第三者機関としての職責を全うするよう強く求めておく。

 さらに、勧告制度とは別個で行われている「給料月額の減額措置」に関しては、昨年来の勧告で、早期の解消を望むと言及されているが、現在も継続となっており、これ以上の減額措置は、職員のさらなる士気の低下や、業務への支障も危惧され、結果として、市民サービス衰退に繋がることから「直ちに終了すること」と明確に言及するよう強く求めておく。

 話は変わるが、先日、議会の中で事務局長の職員に対しての発言がとりざたされている。われわれ労働組合も、この発言に問題意識を持つものである。すでに発言については撤回されたようだが、たとえ話であれ、あのような発言は不適切であり、好ましくない事を申し上げるとともに、この場において改めて認識を求めるものである。

 市労連は、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告が、現行の公務員の賃金・労働条件決定制度である限り、それを機能させ、社会経済情勢の変化に対応した公務員処遇を確保することが、人事委員会としての使命であると考えており、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、貴人事委員会としての調査と作業が進んでいく過程で、その使命を果たして頂くよう改めて要請するとともに、市労連との連携を十分にはかりながら進めるよう求めておく。

行政委員会事務局 ただ今、2016年統一賃金要求に関する申し入れを受けたところである。

 人事委員会は、地方公務員法により、職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう勧告を行う機能を与えられており、本市給与勧告を行うにあたっては、これまでも、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきているところである。

 先ほどご指摘のあった、議会の中で発言した職員に関する認識については、人事委員会事務局長として、優秀な人材の確保の観点から採用試験の重要性については十分認識しているところであり、春秋に富む採用者全体に対して「玉石混交」という表現を用いるのは適切ではないというご批判は至極もっともであると認識している。今後も、採用試験制度を常に研究、適宜見直し、また大学における説明会などでの広報活動にも一層専心に、優秀な人材の確保に鋭意努めてまいりたい。

 いずれにしても、本日は申し入れを受けたところであり、内容等については、人事委員会に報告させていただく。

組合 ただ今、事務局長より、議会発言についての認識が述べられた。

 いずれにしても、今後、自らの立場を今まで以上に認識された上で、市政発展のために欠かすことのできない職員の士気高揚に向け、職責を果たされるよう要請しておく。

以 上


 

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