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更新日:2017年10月3日

2017年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
公民給与が均衡していることから月例給は据え置き
公民較差▲0.04%(▲157円)、一時金は0.10月分を引き上げ
扶養手当については、国に準じた見直しが適当
【市労連】
月例給は据え置きも、マイナスとなること自体が理解できない!
2017賃金確定闘争で、組合員の生活を守るべく粘り強く闘う意思を表明!

 大阪市人事委員会は9月29日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。勧告内容は月例給について、本年4月時点でマイナス157円、率にしてマイナス0.04%、給与減額措置後では10,913円、率にして2.84%となり、公民給与がほぼ均衡していることから、改定を行う必要はなしと示された。

 市労連は勧告に際し、とりわけ月例給について、較差が均衡しているため改定はなしとのことだが、四囲の状況からしても、公民比較においてマイナスとなること自体が考えにくく不満であることを表明した。

 また、民間給与データの取り扱いに関して、本年より新たな手法で極端なデータの除外を行っているが、民間給与データを除外すること自体、職員の給与水準引き下げの要因となっていることは明らかであり、除外していなければ、少なくともマイナスにはなっていないことから、今後、国や他都市と同様の取り扱いとするよう求めてきた。

 「給料月額の減額措置」についても、懸命に働く組合員のモチベーションや生活実態を踏まえるならば、即時終了を明確に言及するべきであると人事委員会の姿勢を質してきた。

 扶養手当制度のあり方については、職員に不利益のないような実施をすべきであり、ただ単に国に準じた見直しなど、到底、納得できるものではないと指摘し、退職手当の支給水準については、市職員の退職手当の支給状況や給与水準を考慮して、見直しは行わないよう言及すべきであることを述べてきた。

 その他、人事管理制度に関しては、人材育成のための制度構築に向け努力するよう要請してきた。

 市労連は、2017賃金確定闘争では、組合員の生活を守るべく、粘り強く闘う意思を表明した。

人事委員会委員長 これまで検討してまいった結果、とりまとめることができた「職員の給与に関する報告及び勧告」を、本日、市長及び議長に対して行ったところである。

 これらの内容については、局長から説明申し上げる。

行政委員会事務局長 はじめに、本年の給与改定についてであるが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行った。職員給与については、現在、給料及び管理職手当の減額措置が実施されているが、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は395,212円であり、給与減額措置後の平均給与月額は384,142円である。一方、民間給与は395,055円であり、その差は、給与減額措置がないものとした場合にはマイナス157円、率にするとマイナス0.04%となり、給与減額措置後は10,913円、率にすると2.84%となる。

 勧告に当たっては、給与減額措置は本市の厳しい財政状況からとられた特例的な措置であることから、職員に本来支給されるべき給与、すなわち給与減額措置がないものとした場合の職員給与と民間給与との較差に基づき月例給の改定を行うことが適当であり、本年は公民給与がほぼ均衡していることから月例給については改定を行う必要はないと判断した。また、保育士給料表適用者及び幼稚園教育職給料表適用者についてであるが、民間では年齢が20歳台の若年層が最も多くを占め、勤続年数では10年未満の者が多数となっているなど、本市と民間とでは組織等の構造が大きく異なっているため、直接的に本市給与水準と民間給与水準とを均衡させることには慎重であるべきと考えている。また、保育士給料表及び幼稚園教育職給料表は、民間の保育士又は幼稚園教員の給与水準に加え、取りまく諸般の情勢等も考慮して作成されたものであり、公民較差額を算出し、それに基づき給与改定を行うことは適当ではないと考えている。そのため、較差額の算出ということはしておらず、民間の給与水準との比較のほかに、その他の状況も考慮して改定の必要性を検討すべきと考えている。このような考え方の下、保育士給料表及び幼稚園教育職給料表ともに、本市側の給与水準が民間の保育士又は幼稚園教員の給与水準を大きく上回っているものの、他の政令指定都市と比較して必ずしも高い状況にないことや、賃金センサスに基づく一般民間従業員の給与水準との比較においては本市給与水準に大きなかい離が見られないことなどを総合的に考慮すると、給料表を改定すべき状況にはない旨を言及している。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.42月分という調査結果であった。勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、また小数点第2位は2捨3入・7捨8入するので、4.42月分だと4.40月分となる。そのため、本市職員の期末・勤勉手当の支給月数4.30月分との差は0.10月分となり、期末手当及び勤勉手当の年間支給月数を0.1月分引上げて、4.40月分とすること、引上げについては勤勉手当に配分することを勧告している。

 続いて、扶養手当について、国家公務員の扶養手当制度の見直しに準じ、国家公務員と同様の支給水準となるよう見直すことが適当であることを勧告している。

 改定の実施時期についてであるが、特別給について、本年12月期の期末手当及び勤勉手当は、改定条例の公布日から実施することを、平成30年6月期以降の期末手当及び勤勉手当は平成30年4月1日から実施することを勧告している。また、扶養手当の見直しについては平成30年4月1日から実施し、経過措置を設けることを勧告している。

 勧告に基づく職員給与の試算であるが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によると、行政職職員の平均年間給与額は38,854円増加となり、その場合の行政職全体の影響額は約4億1千万円となる。

 次に、意見として、給与制度等に関する課題と人事管理制度に関する課題について言及している。

 まず、給与制度等に関する課題であるが、「公民比較の在り方」として、本年より極端な民間給与データの除外の取扱いを変更したことについて言及している。なお、この取扱いによる公民較差への影響度は、マイナス0.06%である。また、今回の取扱いとすることにより、1歳ごとに民間給与データの上下2.5%を除外していた際の課題が改善されるとともに、平均値からのかい離が極端なデータについては引き続き除外することができているものと考えている。さらに、民間給与実態調査やその結果に基づく公民比較方法について、全国的に非正規雇用労働者の割合が著しく増加していること、50人未満の事業所の給与実態については的確に把握できていないことなどについて留意する必要があると考えている。

 給料表の構造等について、昨年4月に号給の増設が行われたが、職務給の原則から、これ以上の号給の増設については慎重に検討する必要があり、今後も、給料表の構造や業績の給与反映の在り方等について検討を進めていく必要がある旨言及している。

 扶養手当の在り方について、今後も扶養手当をめぐる状況を踏まえ、検討することが必要である旨、言及している。

 高齢層職員の給与等について、民間企業の再雇用者の給与水準を、今後は雇用形態を問わず民間における再雇用者の実態把握を図る旨や、国家公務員の定年延長が検討されていることから、本市においても、再任用職員だけではなく、定年前の職員も含めた高齢層職員の給与、処遇、勤務体系等を包括的に検討していく必要がある旨言及している。

 教育職員の給与制度等について、本市教育委員会が今後の教育職員の人事給与制度について取りまとめた「新たな教職員の人事給与制度の方向性について(案)」の内容も踏まえ、『「新たな教諭の職」の設置』と「初任給水準の引上げ」について言及しており、初任給の引上げについては慎重に検討する必要がある旨言及している。加えて、教員特殊業務手当の在り方についても言及している。

 退職手当の支給水準について、本年4月に人事院が「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」を公表しているので、その見解に基づく国家公務員の退職給付水準の見直し状況を注視しつつ、本市においても、大阪市内の民間事業所における支給水準を適時、的確に把握することが求められる旨言及している。

 次に、職員数が削減されていくなかで職員一人ひとりの業務生産性の向上を図るという観点から、「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成・活用」として「組織・人員体制の構築」「人材育成・活用」「人事評価」について、「 ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた長時間勤務の是正と働き方改革」として、「長時間勤務の是正」「管理監督者による適切な勤務時間の管理」「両立支援の推進」について言及している。また、地公法の改正により制度の整備を図る必要があることから「非常勤職員の任用制度等の整備」についても言及している。

 最後に、本文の意見の結びにおいて、職員給与に対する給与減額措置について、早期に解消されるべきであることを再三申し述べてきた旨言及し、地公法に定められた給与勧告制度の意義及び役割を理解された上で、速やかに所要の措置をとられるよう強く要望している。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要である。

組合 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。

 まず、公民給与比較であるが、本来支払われるべき職員給与である、給与減額措置がないものとした場合の較差において、公民給与が均衡しているため改定の必要はなしとの判断が示された。また、一時金については、民間の支給割合との差から0.10月分引き上げ、4.40月分とするなど、勧告内容の説明があった。

 とりわけ、月例給については、本年4月時点で民間給与が157円、率にして0.04%下回っており、較差が均衡しているため改定はなしとのことだが、前回の交渉でも述べたが、四囲の状況からしても、公民比較においてマイナスとなること自体が考えにくく理解できない。また、給与減額措置後では、民間給与が10,913円、率にして2.84%上回っており、減額措置については勧告外で実施されていることから、人事委員会としては、減額措置前の給与で比較を行っていることは認識するものの、減額措置前後での乖離が非常に大きいことを、例年のことながら痛感している。われわれとしては、勧告外での実施とは言え、実際に職員が支給されている金額を考慮できないかとも考えるところである。

 保育士給料表については、民間とは組織・人事構造が大きく異なっていることや、作成された経過からして、民間の給与水準比較のほかに、その他の状況も考慮して改定の必要性を検討した結果、他都市と比較して高い状況にないことや、一般民間従業員の給与水準とも大きな乖離がないことなど、総合的に考慮して改定すべきでない旨が明らかにされた。しかしながら、民間保育士の給与水準が上昇していることや、国全体として保育士給与を引き上げる対策が行われていることを考慮すれば、人事委員会としても、現行の市保育士給料表を見直すよう言及すべきである。

 扶養手当に関しては、この間、市労連として、国の見直しに安易に追随するのではなく、主体性を持って対応するよう指摘してきたにもかかわらず、国と同水準の見直しを勧告したとしている。国と大阪市では家族実態や手当の支給状況等も異なっており、大阪市での現状を考慮して、職員に不利益のないような実施をすべきであり、ただ単に国に準じた見直しなど、到底、納得できるものではない。

 民間給与データの取り扱いについては、本年より新たな手法で極端なデータの除外を行ったことにより、この間の課題が改善されたとしているが、いずれにしても、民間給与データを除外すること自体、職員の給与水準引き下げの要因となっていることは明らかである。現に、今回の取り扱いによる公民較差への影響はマイナス0.06%と示されており、除外していなければ、少なくともマイナスにはなっていない。昨年の勧告時に、民間給与データを除外する取り扱いの是非について、検討することが人事委員会から明らかにされたが、手法を変えたに過ぎず、行っていることは何ら変わりがない。改めてであるが、今後、国や他都市と同様の取り扱いとするよう求めておく。

 また、教職員の新たな人事・給与制度の構築について、教職員の賃金・労働条件に関しては、子どもが安心して教育を受けるためには、教職員の士気の高揚が重要であることが述べられてきた。人事委員会として、そのような内容を十分踏まえ、今後においての対応を要請しておく。

 退職手当の支給水準については、国の見直し状況を注視しつつ、市内の民間事業所における支給水準を的確に把握するよう言及したとあるが、市職員の退職手当の支給状況や給与水準を考慮して、見直しは行わないよう言及すべきである。

 続いて、人事管理制度に関してであるが、市労連としては、昨年の勧告時の交渉でも人事管理制度全般において、各項目についての指摘を行ってきた。本年の勧告でも各項目が言及されているが、人事評価については、能力実績主義に基づく競争制度を構築し、職員間に格差を生じさせてはならず、長時間勤務の是正や勤務時間の管理などについては、重要な課題であるが、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、慎重な対応が必要である。その他、両立支援の推進についての言及もされているが、いずれにしても、人事管理制度は、人材育成のための制度でなくてはならず、今後においてもその構築に向け、努力されるよう申し上げておく。

 最後に「給料月額の減額措置」については、先にも述べたが、例年、人事委員会の勧告において、職員の本来支給されるべき給与と、減額措置後の給与が示されているが、この差を見れば「給料月額の減額措置」が、いかに組合員の給与に影響を与えているかが明らかである。人事委員会としても、そのように認識しているはずであり、組合員の執務意欲や人材確保に与える影響を懸念するが故、本勧告においても、早期に解消される旨、言及されていると理解している。しかしながら、この間同様、従来の表現に終始するばかりで、市労連としては大いに不満である。本当に再三述べているが、懸命に働く組合員のモチベーションや生活実態を踏まえるならば、勧告制度に基づいていない減額措置に関しては、即時終了を明確に言及するべきである。

 以上、「勧告・報告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。

人事委員会委員長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしたところである。

 いずれにしても、本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えている。

以 上

 

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