2005年11月「大阪市福利厚生制度等改革委員会」が実施しようとした「労使関係に関するアンケート調査」に関する、大阪市労連から大阪市当局への交渉申し入れにつき、以下のとおり意見を述べる。
本問題に関してまず確認されるべき重要な前提問題は、日本国憲法28条に定められた労働者の労働基本権の保障規定である。同条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と定めている。公務員も同条における「勤労者」に含まれることは当然であり、最高裁判所も大法廷判決において認めているところである(1966年10月26日最高裁判所大法廷判決)。
然るに上記「労使関係に関するアンケート調査」は、労働組合の組合費の多寡についての意見を調査する等、明らかに労働組合内部の問題に関して、直接市の職制のみならず市労連傘下の各組合の各支部長にまで、記名式のアンケートを求めようとしたものであり、憲法上の労働基本権を侵害しようとする重大な問題である。この点につき当局からの明確な見解が示されない状況下で、この憲法上保障された重要な基本的権利である労働基本権に関して、当該労働組合が労使交渉を申し入れるのは当然のことであり、これを拒否する理由はいずこにも見いだし難いところである。労働組合にとって団結権は、団体交渉を含む団体行動権の前提問題であり、これを否定、侵害された状態での労働組合活動はあり得ない。
従って、上記交渉申し入れに対しこれを理由なく拒絶することは、公的機関が憲法上の基本的権利を否認するに等しいものと言わざるを得ない。
以 上
2006年2月16日
弁護士 上坂 明
弁護士 在間 秀和
弁護士 大川 一夫
弁護士 北本 修二
弁護士 冠木 克彦