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更新日:2018年3月20日

大都市協が人事主管者会議に、2018年賃金引き上げ・労働条件改善を申し入れ

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は、3月20日(火)に東京都で大都市協ブロック会議を開催し「2018年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求」などについて協議した。

 その後、当地で開催中の大都市人事主管者会議に対して、以下の申し入れを行った。

2018年3月20日

大都市人事主管者会議 様

大都市労連連絡協議会

2018年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件改善に尽力されている貴職に敬意を表します。

 2017年賃金確定では、一部自治体を除き賃金引上げが行われましたが、低率、低額の引上げであり、とても職員の生活改善につながる内容ではありません。また政府・総務省による退職手当引下げを強要され、職員は年金の無支給期間の延長で退職後の生活不安は増すばかりです。これまでも政府が地方自治体および人事委員会に対して助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、給与制度の総合的見直し、諸手当の改悪により自治体職員の給与水準は悪化の一途をたどっています。また、職員の減少と求められる行政サービスの増加の相反する状況において、超過勤務の削減がさらに求められ業務の遂行は困難を極めています。このような現状の中でも、職員は行政サービスを低下させることなく責任をもって業務に当たっています。

 私たち大都市協は、職員が安心して業務に専念できるよう、職員の生活防衛と改善に向けた下記の諸要求を提出します。貴職におかれましては、自治体職員の現状を直視して、要求を真摯に受け止めていただきその実現に尽力されるよう申し入れます。

1.賃金の改善について

(1) 賃金水準の引上げ

① 2018年の給与改定にあたっては、政府・総務省の総額人件費削減攻撃や地方行財政攻撃に追従することなく、自主的・主体的立場を堅持して、労使交渉、労使合意による自主的解決を図り、大都市自治体に働く職員の生活が向上できる賃金水準に改善すること。また、技能労務職員の給与見直しを行わないこと。

② 再任用職員の給与水準を抜本的に改善すること。

③ 「地域手当」については、本給繰入を基本に改善すること。

(2) 賃金決定基準の改善について

① 初任給決定基準ならびに中途採用者の賃金改善を行うこと。

② 昇格基準の改善を図ること。

③ 病休者・育休者などの昇給抑制等に対する復元措置の改善を図ること。

④ 新たな人事評価制度の検討に当たっては、十分に労使協議を行い、合意なき導入は行わないこと。また、勤務条件等、処遇への活用は行わないこと。

(3) 諸手当の改善について

① 扶養手当については、支給額を引上げ、扶養認定および扶養認定限度額等支給基準の改善を図ること。

② 住居手当については、国と異なる実態を踏まえ、制度の抜本的改善と支給額の引き上げを図ること。

③ 通勤手当については、実費全額支給とし、引き続き交通用具利用者に対する手当を改善すること。併せて全額非課税とすること。

④ 交替制・変則勤務者に対する手当等を充実すること。具体的には、夜勤手当を100分の50、超過勤務手当を100分の150(深夜勤100分の200)、休日給を100分の200に改善すること。

⑤ 1か月45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率を引き上げること。なお超過勤務手当を全額支給すること。

⑥ 一時金については、年間支給月数を5カ月以上とすること。併せて成績率の導入や拡大を行わず、加算措置の改善を図ること。また支給に当たっては、基準日主義を改めて、勤務実績に基づく支給とすること。

⑦ 国の退職手当削減の強要は、納得できないものであり、概ね5年ごととしている国の退職手当支給水準見直しには追従しないこと。

(4) 関連労働者の賃金改善について

① 全国全産業一律最低賃金の制度化に努め、地域別最低賃金の大幅引上げ等、具体的取組みを早急に行うこと。

② 公共サービス基本法の制定を踏まえ、業務等委託先企業に対する適正な賃金の支払いをはじめ公正労働基準の遵守の義務付けなど、公契約条例の制定に積極的に取組むこと。併せて公契約における適正な労働条件を義務付けるILO94号を批准するよう政府関係機関に働きかけること。

③ 大都市自治体に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表、高卒初任給同等以上に引上げること。

④ 会計年度任用職員の制度化については、常勤職員との「均等待遇」を基本に、該当職員の賃金・労働条件の改善につながるよう労使協議を尽くし、合意をもって制定すること。

2.労働時間の短縮について

(1) すべての職場で完全週休二日制を実施するため、職場の環境改善に努めること。そのために必要な予算・人員増を含め諸条件の整備を行い、勤務時間については、1週37時間30分、1日7時間30分、休憩時間を1時間とすること。

(2) 実効ある超過勤務縮減に向けた具体策を確立すること。

(3) 厚生労働省で定めた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づく職員の労働時間の把握に努め、サービス残業など、未払い賃金を直ちになくすこと。

(4) 夏期休暇増をはじめリフレッシュ休暇などの休暇制度の新設・改善、自己啓発、自己実現および社会貢献を促進するための休業制度の新設を含め、総合的休業制度を確立すること。

3.職員の福利厚生について、雇用主責任を果たすために、福利厚生事業の充実・改善を図ること。

4.労働基本権の確立について

(1) ILO結社の自由委員会第329次、第331次報告・勧告を全面的に受け入れ、公務員労働者に労働基本権を完全に保障するとともに、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立するよう政府関係機関に働きかけること。

(2) 労働運動を理由とする行政処分を一切行わないこと。

(3) 労働運動を理由とした過去の一切の行政処分を撤回し、損害の回復措置を講ずること。

(4) 在職専従休職期間の制限を廃止すること。

5.年金制度・医療制度などの社会保障制度の充実に向けて、政府関係機関に必要な措置の働きかけを行うこと。

6.高齢期の雇用問題について

(1) 雇用と年金の接続の観点から、定年延長も含めた高齢者雇用制度を確立すること。

(2) 高齢者雇用制度の確立に当たっては、国と異なる大都市自治体の実態を踏まえ、人事給与制度の改悪を行わず、生活水準の維持・確保を基本に労働組合との十分な協議と合意に基づくこと。

(3) 賃金のみで生活を支え得る賃金水準を確保すること。

(4) 再任用制度等で対応する場合には、希望する職員の全員雇用を保障すること。

7.男女共同参画社会の実現、女性労働者の労働基本権の確立について

(1) 男女共同参画促進の実現に向けて、「次世代育成支援対策推進法」に基づく「特定事業主行動計画」については、労働組合と協議の上で実効性の有るものとし、男女がともに家庭的責任を担いつつ、職業生活と家庭生活を両立できる環境整備など、具体的な支援措置を充実させること。

(2) 公務における男女平等実現のため、昇任・昇格基準などを抜本的に改善し、女性を積極的に任用することや間接差別の禁止など、その実効性を高めること。

(3) 産前・産後休暇の延長や妊娠症状対応休暇の充実など、諸休暇制度を改善するとともに、職場改善に努めること。

(4) 職業生活と家庭生活の両立支援のため、こどもの看護休暇、介護休暇、育児休業、育児部分休業および育児時間等を改善し、昇給、昇格などの欠格条件としないこと。また、男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境にすること。

(5) セクシャル・ハラスメントおよびパワーハラスメントの実態を把握し、実効性のある防止対策を確立すること。

8.安全衛生対策を厳格に確立するため、メンタルヘルス対策をはじめ総合的な対策を労使協議で確立すること。

9.行政サービスの水準を低下させることがないように、業務の安易な民営化や民間委託を行わないこと。また、「市場化テスト」を強要することなく、地方独立行政法人、指定管理者制度については、労働組合と十分な協議を行うこと。

10.自治体財政危機を理由とした、賃金・労働条件の引下げや行政サービスの低下をしないこと。また、地方分権にふさわしい税源移譲、必要な地方交付税の確保を求め、自治体財源の確立のため政府関係機関に働きかけること。

以上

人事主管者会議 本日の要請は、慣例により、大都市人事主管者会議を代表して東京都がお受けする。

 ただ今、大都市労連連絡協議会の「2018年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求」を承わった。要求書及び発言の内容については、早速、私どもから各都市にお伝えする。

 わが国の経済は緩やかな回復基調が続いているものの、海外経済や金融市場をめぐる不透明な情勢など、企業の経営環境は楽観視できる状況とは言えない。

 こうした中、今春闘において企業側は、経済の好循環の拡大という社会的要請を踏まえ、年収ベースの賃金引き上げを基本としつつも、ベースアップには厳しい姿勢を示している企業も見受けられる。

 また、長時間労働の是正や柔軟な働き方の推進など、社会全体で働き方改革が加速している。国においては今国会で、いわゆる働き方改革関連法案に関する議論が行われているところである。

 さらに、先月には、政府が国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向性を示しており、地方公務員における対応についても、今後、検討を進めていく必要がある。

 このような情勢を踏まえ、給与をはじめとする地方公務員の勤務条件については、公務運営を取り巻く諸状況を考慮した上で適切に対応し、住民の理解と納得を得ていくことが不可欠である。

 いずれにしても、皆さんから頂いた要求の内容については、各都市の事情もあるので、それぞれの都市ごとに、今後よく検討させていただきたいと考えている。

以 上

 

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