本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2018年4月25日

大都市協が大人連委員長会議に申し入れ

人事院の動向や政府の圧力に屈せず主体的立場の堅持を!
大都市で働く職員の生活実態を直視し要求実現を求める

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は4月20日(金)、横浜市で書記長会議及び代表者会議を開催し、2018年賃金に関する中央情勢及び各都市からの報告と、大都市人事委員会連絡協議会(大人連)に対する「申し入れ」を中心に協議した。

 その後、当地で開催中の大都市人事委員会連絡協議会委員長会議に対し、以下の申し入れを行った。

2018年4月20日

大都市人事委員会連絡協議会
 委員長会議 様

大都市労連連絡協議会

申し入れ書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善にご尽力されている貴職に敬意を表します。

 さて、2017年地方賃金をめぐっては、人事院の4年連続となる月例給及び一時金の引き上げ勧告となり、較差僅少の中で、初任給、若年層を注視しつつ、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げるなど高齢層にも配慮したもので、一定評価できるものでした。

 しかし、長時間労働対策について働き方改革実行計画ロードマップに明記される中、人事院はその重要性を前面に打ちだしたものの、勤務時間管理、上限規制等に踏みこまず、残念な結果でした。また、非正規労働者全体の処遇改善が進む中、臨時・非常勤職員の賃金・処遇について、改正された非常勤職員給与決定指針に基づき、確実な雇用とともに基本賃金の改善自体が急務となっていることから、「均等待遇」、「同一価値労働・同一賃金」の立場から積極的な改善が求められます。

 雇用と年金に関わり、政府が骨太方針に「公務における定年延長の具体的検討」を明記し、無年金期間が延長され再任用制度での対応では限界を迎える中で、人事院が「必要な検討を鋭意進める」にとどまったことは機を失するものです。

 第196回国会では、「経済・財政再生計画」の集中改革期間最終年度の2018年度予算が成立し、これまでの歳出改革の取り組みを強化しつつ、経済再生と財政健全化を両立するとしています。

 地方財政は、景気回復に伴い、地方税の増収が見込まれるため、地方交付税の減少と臨時財政対策債の増加が圧縮され、一般財源総額が確保されるも、高齢化に伴う社会保障費の増加等地方財政は、依然厳しい状況にあります。

 こうした中で、公務員労働者が国民・市民の期待に応え、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件が確保されなければならないと考えます。

 本年の賃金・労働条件改善にあたっては、公務員労働者の賃金・労働条件を維持・改善することはもとより、臨時・非常勤職員等の処遇と雇用のあり方を抜本的に改善すること、雇用と年金の確実な接続に向けて人事院が行った段階的定年延長の意見の申出を踏まえた高齢者雇用施策について確実に言及することなどが貴職の最も重要な課題であると考えます。

 各都市人事委員会においては、人事院の動向や政府の圧力に屈することなく、人事委員会としての主体的立場を堅持し、大都市で働く職員の生活実態を直視し、以下の要求を受け止め、その実現にご尽力されるよう申し入れます。

1.人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、不利益不遡及の原則を守り、労使合意事項、労使交渉の経過及び組合の意見を十分に尊重すること。

2.勧告に係る内容について、政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。

3.諸手当の改善については、組合と十分な交渉・協議に基づき地方公務員の実情と実態を踏まえ、次の事項の実現に努めること。

(1) 住居手当については、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた対応を行うこと。

(2) 扶養手当制度については、単に国に準ずることなく各都市の実情に応じた改善を図ること。

(3) 退職手当制度の改善に向けた意見の申し出を行うこと。

4.高齢者雇用制度について

(1) 雇用と年金の接続方法については、人事院の意見の申出に基づき、65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢者雇用制度の確立に向けて、直ちに具体的な意見の申出を行うこと。

(2) 段階的な定年延長を中心とする高齢者雇用制度の確立に向けては、国と異なる大都市自治体の実態を踏まえて、人事給与制度の改悪を行わず、また定年引き上げまでの間について、希望する職員全員の再任用を確保するとともに、その給与水準等の一層の充実・改善を図り、雇用と年金の接続を確実に保障すること。

5.臨時・非常勤職員の賃金労働条件については、地方公務員法及び地方自治法の改正を踏まえ、人事委員会として改善に向けた対応を図ること。

6.ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。

(1) 実効性のある超過勤務規制のための施策推進

(2) 年次有給休暇取得の促進

(3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策構築

(4) 育児休業・介護休暇の男性取得の促進

7.ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇制度の新設・拡充、総合的な休業制度などを実現すること。特に、家族看護休暇及び、リフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設ならびに夏季休暇日数の改善を図ること。

8.各種ハラスメントの積極的な防止策を推進すること。また、男女共同参画社会の実現に向けて、必要な施策の確立を図ること。

9.公務職場における障がい者や外国人の採用促進を図るため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。

10.人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進め、大都市協の意向を十分に反映し早期勧告に向けて努力すること。

以上

大人連委員長会議  

 本日は、慣例により、当番都市である横浜市から、ただいまの申し入れについて、大都市人事委員会連絡協議会を代表してお答えする。

 ただいまの申し入れについては、大人連として確かに承った。

 さて、最近の経済状況であるが、4月16日に政府が発表した4月の月例経済報告は、景気の基調判断について「景気は、緩やかに回復している。」としている。先行きについては「雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」としている。

 本年の春季労使交渉であるが、3月中旬の大手企業の一斉回答では、おおむね前年を上回り、5年連続となるベア回答が見られた。まだ多くの企業で労使交渉が続けられていることから、引き続きその動向を注視する必要があると考えている。

 これまでも、各人事委員会では、民間従業員の給与の状況をできる限り広く、より適正に公務員給与に反映させるよう努めてきた。引き続き、民間給与の実態を精確に把握するとともに、本日申し入れのあった諸手当の改善、高齢者雇用制度、臨時・非常勤職員の賃金労働条件、ワーク・ライフ・バランスの確保など個々の項目については、民間や国の動向にも留意しつつ、各都市区それぞれの団体の状況を踏まえて検討してまいりたいと考えている。

 景気の先行きや、国の財政健全化に向けた動向の影響など、公務員給与を取り巻く環境は、不透明で、予断を許さない状況にあるが、各人事委員会においては、これまでと同様、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関としての立場を堅持し、適正な給与勧告を行ってまいる所存である。

以 上

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会