更新日:2018年11月14日
「勤務条件制度の改正について」対市団体交渉
市労連は、11月8日(木)「勤務条件制度の改正について」の団体交渉を開催し、市側より提案を受けた。その後、事務折衝等での協議を経て、11月13日(火)第2回団体交渉を開催した。
市労連は、第2回団体交渉で、テレワークについては、制度が利用できない職場も存在することから、引き続き改善を求め、病気休暇については、インフルエンザやがん等の特例に限らず、対象の拡大に向けた検討を要請し、本制度改正をこの場で確認して団体交渉を終了した。
【第1回団体交渉(2018年11月8日)】
市側 本日は、勤務条件制度の改正について、提案をしてまいりたい。
まず、今回の制度改正については、職員のワーク・ライフ・バランスを推進し、育児や介護、病気の治療と仕事との両立が図ることができるための措置を講じるものである。
改正内容としては、大きく2つの項目がある。
1つ目は、テレワークの本格導入を図ってまいりたい。学校園を除く全所属の職員のうち、育児、介護その他特別の事情がある職員を対象としており、実施時期は平成30年12月からとしている。
2つ目は、勤務条件制度の改正であり、今回は3つの改正を予定している。
まず、(1)育児参加休暇に係る取得期間の延長である。現行、16週間以内となっている取得期間を多胎妊娠と同様の24週間以内まで引き上げることを考えている。
次に、(2)病気休暇3日無給の特例の拡大である。インフルエンザ等により病気休暇を取得する際には、当初3日についても有給とすることとし、具体的には学校保健安全法施行規則に定める一定の病気を対象としていきたい。
最後に、(3)病気休暇の取得単位について、がん等定期的な治療、診断が必要となる病気休暇については1時間単位の病気休暇の取得も可能としてまいりたい。
また、実施時期については(1)及び(2)については平成30年12月1日からとし、(3)については平成31年4月1日としている。
詳細の内容については、別紙を参照してほしい。
組合 ただ今、テレワーク制度の導入について、及び、勤務条件制度の改正について数点にわたっての提案が市側から示されたところである。
テレワーク制度の導入については、この間市側において試行実施がされており、本年の市人勧においても、その導入に期待する旨が言及されている。制度導入については、育児や介護その他特別の事情がある職員が仕事と家庭生活の両立をはかることを目的としている点は理解するものの、一方で、対象業務が限定されることや労働時間の管理の点で課題があるものと認識している。試行実施に対する検証を踏まえた上での対応は当然のこととし、今後、事務折衝などを通じてより柔軟かつ取得しやすい制度として構築するよう求めておく。
次に勤務条件制度の改正についてである。
一点目の育児参加休暇取得期間について、多胎出産でない場合においても同様の24週間とすることによって、より取得しやすくなり、取得率の向上につながるものとして理解する。
二点目の病気休暇3日無給の特例について、インフルエンザ等への特例については、市労連としても過去の交渉において、市側に対して求めてきた内容である。本日市側より示された内容は、一定の改善がはかられるものとして理解する。短期間の病気休暇にかかわっては、3日無給という他都市に例を見ない制度によって、傷病手当金の受給期間にも影響を与えている。この内容は、市労連として賃金確定要求において改善を求めているところであり、引き続き、これらの課題についても丁寧な対応を求めておく。
三点目の病気休暇の取得単位について、がんなどの定期的な治療・診断に対して時間単位での取得を可能としたことは、柔軟な対応となるものと認識するが、指定される疾病など、引き続き協議すべき内容があるものと認識している。
いずれにしても、本日、提案を受けたところであり、制度の内容説明や協議が必要と認識するところであり、人事室として今後、事務折衝等において詳細な説明と誠意ある協議を要請しておく。
市側 本市としても、引き続き、適切に対応・協議していきたいと考えているので、よろしくお願いする。
組合 ただ今市側から、今後、適切に協議を行っていくことが示された。勤務条件制度の改正については、組合員の不利益につながるものではないと認識するところではあるが、制度の詳細内容において、齟齬を生じさせないためにも今後協議を行っていくこととする。
【第2回団体交渉(2018年11月13日)】
市側 先日、提案した勤務条件制度の改正について、非常に厳しい日程の中で、事務折衝において、協議してきたところであるが、本日の本交渉において、ご判断をいただきたいと考えているので、何卒よろしくお願いしたい。
組合 テレワーク制度の導入、及び勤務条件制度の改正については、11月8日に提案を受け、以降事務折衝において協議を行ってきたところである。
事務折衝においては、市側提案に基づいた詳細説明が行われた。内容については、勤務労働条件の一定の改善に繋がるものと認識するが、折衝経過を踏まえ、数点について市側に要請しておく。
テレワークについては、まず、導入に向けては、各所属において実態が異なることから、関係単組での協議を要請しておく。
また、実施対象所属が学校園を除く全職場とされているが、それ以外にも業務内容などの理由によって制度が利用できない職場も存在することから、引き続き、改善に向けた努力を求めておく。
勤務時間について、通常の勤務時間を原則としつつも、事情に応じて5時から22時までとされており、労働時間管理について課題が残るものであり、トラブル等が発生した場合には、速やかに協議を行うよう求めておく。
病気休暇については、今回、インフルエンザやがん等について特例が設けられたが、これらに限らず、対象の拡大に向けた検討を求めておく。
また、そもそもが、他市に例を見ない大阪市独自の3日無給の制度があること自体が問題であり、確定要求でも廃止を求めている。引き続き、確定交渉の場においての交渉を求めておく。
市側 ただいま、書記長より数点の要請をいただいたところである。賃金確定要求に関する申入れの際にもご指摘をいただいている点なども含め、今後、確定交渉の場で適切に対応・協議してまいりたい。
また、今後、職員のワーク・ライフ・バランスの確保に向けて、引き続き国や他都市、民間の状況等を注視しながら、検証を進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。
組合 市側より、市労連の要請に応じるとの考えが示された。改めて、利用しやすい制度となるよう、検証・検討を進めるよう求めておく。また、今回の勤務条件制度の改正のみではないが、勤務条件にかかわる制度が改善されても、取得しやすい職場環境の整備が重要であり、その取り組みも合わせて要請し、本制度改正をこの場で確認して団体交渉を終了する。
【提案資料】
(1) 趣旨・目的
時間や場所にとらわれない働き方を実現し、育児や介護その他特別の事情がある職員が仕事と生活の両立を図ることができる職場環境づくり、また、誰もが効率的に働くことができる職場環境づくりを行うことによって、生産性及び市民サービスの向上を図ることを目的としテレワーク制度を導入する。
(2) 導入時期
平成30年12月
(3) 実施場所
テレワークを実施する職員の自宅
(4) 実施対象者
①対象者の要件
育児・介護その他特別の事情がある職員
→ 中学校就学前の子を養育する必要がある職員(保育所等への入所の有無は問わない。)及び負傷、疾病又は老齢により2週間以上にわたり日常生活を営むのに支障がある者の介護を行う必要がある職員。
その他特別の事情とは、けが・妊娠等により通勤の負担が大きい状況であることを指す。
②対象者の範囲
本務職員、一般任期付職員、再任用フルタイム職員
※ 条件付採用期間中の職員、臨時的任用職員、非常勤嘱託職員、再任用短時間職員、派遣中の職員は除く
③テレワークの承認基準
次の3点を総合的に考慮したうえで、所属長が承認する。
(5) 実施対象所属
全所属(学校園を除く)
(6) 実施頻度等
①実施頻度、期間及び単位
②勤務時間
③勤怠取扱い
【別紙】
○ 服務(職務専念義務)
実施者は、自宅で勤務する場合も通常の勤務時と同様、職務専念義務を負っていることから、勤務時間中に業務と関係のない行為を行ってはならない。具体的には次のようなことが勤務時間中にないよう十分留意する。
<例>
※なお、電話や来客応対等、自宅で勤務することに伴って避けられない一時的かつ短時間の私用であって、社会通念上認められる常識的な範囲のものについては、この限りではない。
○ 費用弁償
【提案資料】
1 改正理由
育児や病気の治療と仕事の両立を支援し、職員のワーク・ライフ・バランスを推進するため、休暇制度の改正を行う。
2 改正内容(詳細は別紙のとおり)
(1) 育児参加休暇取得期間
多胎妊娠か否かに関わらず、24週間の範囲で取得できることとする。
改正前:16週間以内(多胎妊娠の場合は24週間)
改正後:24週間以内
(2) 病気休暇3日無給の特例
インフルエンザ等により病気休暇を取得する場合には、病気休暇当初3日無給の特例を認める。
(※対象の病気については、学校保健安全法施行規則第18条に定めるもののうち第1種または第2種に分類されているものとする。)
改正前:14日以下の病気休暇の場合、当初3日は無給。
改正後:14日以下の病気休暇の場合、当初3日は無給。ただし、インフルエンザ等により与えられた病気休暇については、当初3日についても有給とする。
(3) 病気休暇の取得単位
がん等定期的な治療・診断が必要となる病気休暇について、1日又は1時間単位での取得を可能とする。
改正前:病気休暇の単位については、1日とする。
改正後:病気休暇の単位については、1日とする。ただし、定期的な診断又は治療を受けることが生命の維持のために必要であると人事室長が認める場合に与えられる病気休暇については、1日又は1時間とする。
※通算日数の考え方は別紙のとおり
3 施行時期
(1)及び(2)・・・平成30年12月1日
(3)・・・平成31年4月1日
4 経過措置
(1) 関係
施行日時点が、出産日から24週の範囲内にあり、かつ育児参加休暇の残日数がある職員(改正前の取得可能期間が経過している場合は除く)は、改正後の取得可能期間内にその残日数について取得できるものとする。
(2) 関係
施行日時点が、インフルエンザ等により取得している病気休暇の範囲内にある病気休暇についても対象とする。
【別紙】
○ 1時間単位の病気休暇について
(1) 当初3日無給との関係
時間単位の病気休暇については、がん等定期的な診断又は治療が生命の維持のために必要な場合に取得可能とするものであることから、日単位の場合と同様に当初3日無給の対象外とする。
(2) 給与との関係
(a) 取得日数90日を超えた場合に、時間単位で取得する病気休暇についての給与は減額しない。(50/100とならない)
(b) 週休日等を挟んで時間単位の病気休暇を取得した場合は、その週休日等は通算しない。
(c) 時間単位で病気休暇を取得した日については、1日として通算する。
(3) 昇給制度
時間単位で病気休暇を取得した期間は、勤務していない期間としないため、昇給号給数を減じない。
(4) 地域手当
(a) 給料に対する地域手当は減額しない。
(b) 管理職手当に対する地域手当についても減額しない。
(5) 管理職手当
支給額を減じない。
(6) 期末手当
時間単位で病気休暇を取得した期間は、欠勤等日数としてカウントしないため、支給割合を減じない。
(7) 勤勉手当
時間単位で病気休暇を取得した期間は、欠勤等日数としてカウントしないため、支給割合を減じない。
【別紙】
学校保健安全法
(目的)
第一条 この法律は、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。
学校保健安全法施行規則
(感染症の種類)
第十八条 学校において予防すべき感染症の種類は、次のとおりとする。
一 第一種 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)及び特定鳥インフルエンザ(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第三項第六号に規定する特定鳥インフルエンザをいう。次号及び第十九条第二号イにおいて同じ。)
二 第二種 インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、百日咳せき 、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核及び髄膜炎菌性髄膜炎
三 第三種 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第七項から第九項までに規定する新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症は、前項の規定にかかわらず、第一種の感染症とみなす。