本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2021年3月25日

大都市協が人事主管者会議に、2021年賃金引き上げ・労働条件改善を申し入れ

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は3月25日(木)、大都市人事主管者会議に対し、以下の「申し入れ」について、大都市協を代表して当番都市である東京都において申し入れを行った。

2021年3月25日

大都市人事主管者会議 様

大都市労連連絡協議会

2021年賃金引上げ・労働条件改善に関する要求書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に敬意を表します。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大から1年を経過しましたが、既に多くの命が奪われ、今もなお一時の新規感染者が相次ぐ状況にあり、二度も緊急事態宣言が発出され、その二度とも期間延長が行われるなど、かつてない事態が続いています。

 その影響を直接受けて、2020年賃金確定交渉では、すべての大都市の人事委員会が、一時金を先行して引下げ勧告を行い、その後、月例給について据置報告または引下げ勧告を行うという、異例の対応を余儀なくされました。その結果、多くの都市においては、月例給が据置となったものの一時金の引下げが行われ、また一方で、月例給・一時金ともに引下げとなった都市や、さらには財源不足を理由として時限的な賃金カットで厳しい労使合意に至った都市もあったことなど、給与改定交渉の結果は、コロナ禍のもとで大都市住民の生命と暮らしを守り支えている職員の生活改善に結びつかない、厳しいものとなりました。

 東日本大震災及び福島第一原子力発電所爆発事故から10年が経過し、その間も災害が度重なり、そして昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって決定的に明らかになったことは、住民の生命と暮らしを守る医療・衛生・保健をはじめとする公的な行政サービスの脆弱性であったといわざるを得ません。あらためて、感染症対策の最前線である病院・保健所、ライフラインを守る水道・下水道、都市インフラのかなめである公営交通、そして幅広い領域で住民の生活を支える地方自治体における行政サービスの根本的な拡充・確立が求められており、それを支える自治体労働者の賃金・労働条件の確保・改善、職員定数の確保・増員が必要であることも明らかです。

 新型コロナウイルスの感染拡大状況にあって、住民の生命と暮らしを守り支えるために、職員は、日夜責任をもって職務に奮闘しています。

 貴職におかれましては、職員が安心して業務に専念できるよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求を真摯に受け止め、その実現に尽力されますよう申し入れます。

  1. 賃金の改善について
    • (1) 賃金水準の引上げ
      • ① 2021年の給与改定にあたっては、政府・総務省による総人件費削減の押しつけや地方行財政への介入に屈することなく、自主的・主体的立場を堅持して、労使交渉、労使合意による自主的解決を図り、大都市自治体に働く職員の生活が向上できる賃金水準に改善すること。また、技能労務職員の賃金水準の低下となる見直しは行わないこと。
      • ② 再任用職員の賃金水準を抜本的に改善すること。
      • ③ 「地域手当」については、本給繰入を基本に改善すること。
    • (2) 賃金決定基準の改善について
      • ① 初任給決定基準ならびに中途採用者の賃金改善を行うこと。
      • ② 昇格基準の改善を図ること。
      • ③ 病休者・育休者などの昇給抑制等に対する復元措置の改善を図ること。
      • ④ 新たな人事評価制度の検討にあたっては、十分に労使協議を行い、合意なき導入は行わないこと。また、勤務条件等、処遇への活用は行わないこと。
    • (3) 諸手当の改善について
      • ① 扶養手当については、支給額を引上げ、扶養認定及び扶養認定限度額等、支給基準の改善を図ること。
      • ② 住居手当については、国と異なる実態を踏まえ、制度の抜本的改善と支給額の引上げを図ること。
      • ③ 通勤手当については、実費全額支給とし、引続き、交通用具利用者に対する手当を改善すること。併せて全額非課税とすること。
      • ④ 交替制・変則勤務者に対する手当等を充実すること。具体的には、夜勤手当を100分の50、超過勤務手当を100分の150(深夜勤100分の200)、休日給を100分の200に改善すること。
      • ⑤ 1か月45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率を引上げること。なお超過勤務手当を全額支給すること。
      • ⑥ 一時金については、年間支給月数を5カ月以上とすること。併せて成績率の導入や拡大を行わず、加算措置の改善を図ること。また、支給に当たっては、基準日主義を改めて、勤務実績に基づく支給とすること。
      • ⑦ 退職手当は、公務の特殊性に見合った制度・水準に改善すること。
    • (4) 会計年度任用職員及び臨時・非常勤職員の処遇改善について
      会計年度任用職員等の賃金労働条件については、常勤職員との「均等待遇」を基本に、抜本的な改善を図ること。また、国家公務員の非常勤職員との権衡を図る観点等から諸手当の支給を行うこと。
    • (5) 関連労働者の賃金改善について
      • ① 全国全産業一律最低賃金の制度化に努め、地域別最低賃金の大幅引上げ等、具体的取組みを早急に行うこと。
      • ② 公共サービス基本法の制定を踏まえ、業務等委託先企業に対する適正な賃金の支払いをはじめ公正労働基準の遵守の義務付けなど、公契約条例の制定に積極的に取組むこと。併せて公契約における適正な労働条件を義務付けるILO94号を批准するよう政府関係機関に働きかけること。
      • ③ 大都市自治体に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表、高卒初任給同等以上に引上げること。
  2. 労働時間の短縮などの勤務条件の改善について
    • (1) すべての職場で完全週休2日制、有給休暇の完全取得を実施するため、職場環境の改善に努めること。そのために必要な予算・人員の確保を含め諸条件の整備を行い、勤務時間については、1週37時間30分、1日7時間30分、休憩時間を1時間とすること。
    • (2) 実効ある超過勤務縮減に向けた具体策を確立すること。また、時間外勤務の上限時間については、業務内容にかかわらず月45時間、年360時間までとすること。そのための人員体制を確保すること。
    • (3) 厚生労働省で定めた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき全職員の労働時間を完全に把握し、サービス残業など、未払い賃金を直ちになくすこと。
    • (4) 夏期休暇増をはじめ、リフレッシュ休暇などの休暇制度の新設・改善、自己啓発・自己実現及び社会貢献を促進するための休業制度の新設を含め、総合的休業制度を確立すること。
    • (5) 教育職場・公務職場への1年単位の変形労働時間制の導入・条例化を行わないこと、長時間労働の解消に向けて労使交渉を尽くすこと。
  3. 職員の福利厚生について、雇用主責任を果たすために、常勤・非常勤を問わず福利厚生事業の充実・改善を図ること。
  4. 労働基本権の確立について
    • (1) ILO結社の自由委員会第329次、第331次報告・勧告を全面的に受け入れ、公務員労働者に労働基本権を完全に保障するとともに、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立するよう政府関係機関に働きかけること。
    • (2) 労働運動を理由とする行政処分を一切行わないこと。
    • (3) 労働運動を理由とした過去の一切の行政処分を撤回し、損害の回復措置を講ずること。
    • (4) 在職専従休職期間の制限を廃止すること。
  5. 年金制度・医療制度などの社会保障制度の充実に向けて、政府関係機関に必要な措置の働きかけを行うこと。
  6. 高齢期の雇用問題について
    • (1) 高齢期雇用制度については、雇用と年金の確実な接続を図るため、段階的な定年年齢の引上げを中心とする新たな制度確立に向けて、法改正を待つことなく労使交渉を行うこと。また、65歳まで働き続けられることが困難な職種の存在を踏まえ、職員の希望による多様な働き方が可能となる制度の確立を図ること。
    • (2) 高齢期雇用制度の確立に当たっては、国と異なる大都市自治体の実態を踏まえ、人事給与制度の改悪を行わず、生活水準の維持・確保を基本に労働組合との十分な協議と合意に基づくこと。
    • (3) 再任用制度については、希望する者全員の任用を保障すること。
  7. 男女共同参画社会の実現、女性労働者の労働基本権の確立について
    • (1) 男女共同参画促進の実現に向けて、「次世代育成支援対策推進法」に基づく「特定事業主行動計画」については、労働組合と協議の上で実効性のあるものとし、男女がともに家庭的責任を担いつつ、職業生活と家庭生活を両立できる環境整備など、具体的な支援措置を充実させること。
    • (2) 公務における男女平等実現のため、昇任・昇格基準などを抜本的に改善し、女性を積極的に任用することや間接差別の禁止など、その実効性を高めること。
    • (3) 産前・産後休暇の延長や妊娠症状対応休暇の充実など、諸休暇制度を改善するとともに、職場改善に努めること。
    • (4) 職業生活と家庭生活の両立支援のため、子どもの看護休暇、介護休暇、育児休業、育児部分休業および育児時間等を改善し、昇給・昇格などの欠格条件としないこと。また、男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境にすること。
    • (5) 正規職員による産休・育休代替措置を全職種に拡大すること。
    • (6) セクシャル・ハラスメント及びパワーハラスメントの実態を把握し、実効性のある防止対策を確立すること。
  8. 安全衛生対策を厳格に確立するため、メンタルヘルス対策をはじめ総合的な対策を労使協議で確立すること。
  9. 新型コロナウイルス感染症対策に関しては、公立病院・保健所をはじめとする保健・衛生・医療部門の体制・機能の抜本的な拡充・強化を図るとともに、その財源確保を確実なものとするため国に対する働きかけを強めること。
  10. 自治体財政危機を理由とした、賃金・労働条件の引下げや行政サービスの低下をしないこと。また、地方分権にふさわしい税源移譲、必要な地方交付税の確保を求め、自治体財源の確立のため国に働きかけること。
  11. 行政サービスの水準を低下させることがないように、業務の安易な民営化や民間委託を行わないこと。また、「市場化テスト」を強要することなく、地方独立行政法人、指定管理者制度については、労働組合と十分な協議を行うこと。

以上

人事主管者会議 本日の要請は、慣例により、大都市人事主管者会議を代表して東京都がお受けする。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について、大都市労連の皆様のご協力に感謝申し上げる。感染症への対応が長期化する中、予断を許さない状況が続いており、更なるご協力をお願い申し上げる。

 ただ今、大都市労連連絡協議会の「2021年賃金引上げ・労働条件改善に関する要求」を承った。要求書及び発言の内容は、早速、私どもから各都市にお伝えする。

 我が国の景気は、感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられており、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 こうした中で、今春闘においては、企業ごとに、感染症の影響度合いに差が見られるものの、国内外の経済を巡る先行き不透明感の高まりから、ベースアップを見送る企業や昨年を下回る水準の回答となる企業が見られるなど、これまで続いてきた賃上げの機運に変化が生じている。

 また、一律のベースアップから、成果に応じた賃金体系への移行や、業務の専門性をより一層明確にした雇用の拡充など、新たな時代の働き方を労使で模索する動きも加速している。

 一方、地方公務員については、最優先課題である感染症対策に加え、コロナ禍で浮き彫りとなったデジタル化などの課題に取り組むとともに、人口減少・少子高齢化等の社会情勢の変化を見据え、国における定年引上げの動向も注視しつつ、多様で有為な人材の確保・育成・活用を図っていく必要がある。

 このような情勢を踏まえ、給与をはじめとする地方公務員の勤務条件については、公務運営を取り巻く諸状況を考慮した上で適切に対応し、住民の理解と納得を得ていくことが不可欠である。

 いずれにしても、皆さんから頂いた要求の内容については、各都市の事情もあるので、それぞれの都市ごとに、今後よく検討させていただきたいと考えている。

以上

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会