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更新日:2021年9月29日

2021年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
公民較差0.02%(72円)月例給は改定なし。一時金は0.15月分引き下げを勧告。
引き下げ分は期末手当で調整。
【市労連】
2年連続の一時金の引き下げは、職務に奮闘している職員の努力を踏まえているものとは言い難く極めて残念。

 大阪市人事委員会は9月29日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。報告内容は月例給について、本年4月時点で72円、率にして0.02%、給与減額措置後では718円、率にして0.18%となる。

 市労連は、人事委員会から明らかにされた勧告結果のうち、月例給については、客観的な官民比較に基づくものと受け止めるが、とりわけコロナ禍において最前線で業務に従事している医療従事者に対する処遇改善に触れられなかったことは極めて残念であるとし、さらに、一時金の2年連続引き下げ勧告は、職務に奮闘している職員の努力を踏まえているものとは言い難く残念な結果であることを表明した。

 また、人事評価制度について、下位区分の評価を受けても頑張った職員がモチベーションを下げることのないような制度設計など、より効果的な制度構築について言及した。市労連として、人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘してきた。

 長時間勤務の是正については、新型コロナウイルス感染症対策等の影響があったとはいえ、年度途中の兼務発令などからも、職員不足が原因であることは明らかであることを指摘するとともに、業務量に応じた要員の確保が早急かつ確実に実施されるよう人事委員会としての対応を求めた。

 市労連は、2021賃金確定闘争では、組合員の生活を守るべく、粘り強く闘う意思を表明した。

行政委員会事務局長 これまで検討してきた結果、とりまとめることができました「職員の給与に関する報告及び勧告」を、本日、市長及び市会に対して行いました。

 これらの内容については、任用調査部長から説明申し上げます。

任用調査部長 はじめに、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。職員給与については、現在、局部長級を対象とした給料及び管理職手当の減額措置が実施されていますが、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は394,704円であり、給与減額措置後の平均給与月額は394,058円です。一方、民間給与は394,776円であり、その差は、給与減額措置がないものとした場合には民間給与が72円、率にすると0.02%上回っており、給与減額措置後は民間給与が718円、率にすると0.18%上回っております。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.32月分という調査結果でした。

 勧告に当たりましては、職員に本来支給されるべき給与、すなわち給与減額措置がないものとした場合の職員給与と民間給与との較差に基づき行うことが適当であると判断し、本年の給与改定につきましては、公民比較の結果、本市職員については、民間給与との公民較差(0.02%)が極めて小さく、給料表及び諸手当の改定を行うまでの必要性は認められないことから、月例給の改定を行わないこととしております。

 また、保育士及び幼稚園教員についてでございますが、こちらも本年については、月例給の改定は行わないことが適当としております。

 特別給については、先に述べたとおり、民間の支給割合は4.32月分という調査結果でした。勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、また小数点第2位は2捨3入・7捨8入するため、4.32月分では4.30月分となります。そのため、本市職員の期末・勤勉手当の支給月数4.45月分との差は0.15月分となることから、期末・勤勉手当の年間支給月数を0.15月分引下げて、4.30月分とすること、引下げに当たっては、人事院勧告に準じ、期末手当からとすることを勧告しております。特別給は昨年に続いて2年連続の引下げ改定の勧告となります。

 改定の実施時期についてですが、特別給について、本年12月期の期末手当は、改定条例の公布日から実施することを、令和4年6月期以降の期末手当は令和4年4月1日から実施することを勧告しております。

 勧告に基づく職員給与の試算でございますが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によりますと、行政職職員の平均年間給与額は約5万8千円の減額となります。

 次に、意見として、給与・人事管理制度等に関する課題について言及しています。

 まず、「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持・向上」としまして、最高号給に達した職員が一定数存在し、かつ増加しており、任命権者においては、現在の給与体系の維持を原則として、それらの職員の執務意欲の維持・向上につながるような方策を継続的に検討していただきたい旨述べております。

 「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、組織・人員体制の構築として、人材の確保、人材の育成と合わせて、「定年引上げに伴う対応」として、地公法改正でいよいよ定年引上げが実施の運びとなる中、高齢層職員の持つ能力を最大限活かし、職場で力を発揮できる環境の整備と、あわせて長期的視点に立った業務執行体制の構築について言及いたしました。

 「人事評価制度」につきましては、令和3年度からの人事評価結果の給与反映の見直しに引き続き、下位区分の評価を受けても頑張った職員がモチベーションを下げることのないような制度設計など、より効果的な制度構築や、被評価者の絶対評価結果に対する信頼性及び納得性の確保が重要であるため、階層別研修等における研修内容の充実に努めていただきたい旨、述べております。

 ほかにも「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場環境整備」としまして、「仕事と家庭の両立支援」、「長時間勤務の是正」において時間外勤務の増加への懸念から、縮減に努めていただきたいことや、「職員の心の健康づくりの推進等」、「ハラスメントの防止」などの各種課題について言及しております。

 最後に、「結びに」として、昨年に引き続いて、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、市民の安全・安心の確保に向けて、真摯に取り組んでいる本市職員の皆様に対し心からの敬意を表し、引き続き、職務に精励いただくようお願いする旨を述べております。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要でございます。

市労連 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。

 まず、公民給与比較であるが、月例給については現在、管理職において給料及び管理職手当の減額措置を実施しており、この給与減額措置がないものとした場合には72円(0.02%)、給与減額措置後では718円(0.18%)民間が公務を上回っており、一時金については、年間支給月数について0.13月分公務が上回っているとの説明があった。

 改定にあたっては、民間給与との較差が極めて小さいことから、月例給の改定は行わないとしたことについては、客観的な官民比較に基づくものと受け止めるが、とりわけコロナ禍において最前線で業務に従事している医療従事者に対する処遇改善に触れられなかったことは極めて残念である。また、一時金については、年間支給月数を0.15月分引き下げて、年間支給月数を4.30月分とするとの勧告がされた。2年連続の引き下げ勧告は、コロナ禍において市民の生活と生命を守るため、自らの不安を顧みず、職務に奮闘している職員の努力を踏まえているものとは言い難く残念な結果である。また、昨年に引き続き、引き下げ分の調整を期末手当で行うことについては、本来、コロナ禍の影響により、生計費が一時的に増大する時期を踏まえれば、生活を補給するという性格を有する期末手当を改定すべきではないと認識するところである。さらに加えれば、国の非常勤職員には勤勉手当が支給されていることや、常勤職員との権衡の観点から、地方における会計年度任用職員の処遇悪化につながるものであり不満の残るところである。

 また、保育士及び幼稚園教員についても、月例給の改定は行わないとされているが、保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。職務の重要性に鑑み、人材確保の観点から処遇確保の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、早急な給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。

 「給料表の構造等」については、「最高号給に達した職員が一定数存在し、かつ増加していることから、現在の給与体系の維持を原則としつつ、それらの職員の執務意欲の維持・向上につながるような方策を任命権者が継続的に検討する」ことについて言及された。市労連として、現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であるとの認識であり、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない職員の勤務意欲の観点からも検討ではなく、総合的な人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。

 高齢層職員の活用について、定年引上げに伴う対応として、高齢層職員の能力を最大限活かし、職場で力を発揮できる環境整備を行い、長期的視点に立った業務執行体制の構築に言及している。高齢層職員の給与、処遇、勤務体系等については、定年の引上げと密接に関わることから、55歳昇給停止などを含めた定年引上げの制度設計と併せて検討するよう人事委員会としての対応を求める。

 人事評価制度について、下位区分の評価を受けても頑張った職員がモチベーションを下げることのないような制度設計など、より効果的な制度構築について言及している。現行の人事評価制度は、相対評価を行うことで、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価において下位区分となることに問題があり、公平・公正性、客観性を著しく毀損しており、組合員の十分な理解の下で人材育成のための制度とすることが必要と認識している。人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘しておく。

 長時間勤務の是正については、一昨年に時間外勤務時間の上限設定が定められて以降、昨年度の時間外勤務状況は大きく増加している。新型コロナウイルス感染症対策等の影響があったとはいえ、年度途中の兼務発令などからも、職員不足が原因であることは明らかである。業務量に応じた要員の確保が早急かつ確実に実施されるよう人事委員会としての対応を求めておく。

 以上、「勧告・報告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。

行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。

 本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。

以 上

 

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