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更新日:2022年8月17日

定年引き上げにかかる各種制度についての対市団体交渉

定年の引き上げに関する各種制度について、大綱的な判断を行う。
この間の交渉経過を踏まえ、今後、新たな課題等が生じた場合には、交渉・協議を行うなど誠実な対応を強く要請。

 市労連は、8月17日(水)午後4時30分から、定年引き上げにかかる各種制度についての対市団体交渉を行った。

 市労連は、大阪市から提案のあった定年引き上げにかかる各種制度の中で、7割水準となった給料月額が、再任用職員の給料月額を下回るといった大阪市の給与制度の課題の解消に向け、総合的な人事・給与制度の構築を早急に行うよう求めてきた。しかしながら、再三の指摘に対して、大阪市は、検討・研究を行い、引き続き協議を行うとの認識を示すのみで、具体の改善には至らなかった。

 また、高齢期の働き方について、定年前再任用短時間勤務や高齢者部分休業などの制度が導入されるが、重要なのは誰もが65歳まで安心して働き続けられる職場環境の整備であることから、その実現に向け交渉・協議を行うなど誠意ある対応を求めた。

 市労連として、定年の段階的引き上げにかかる提案内容については、この間の、交渉経過を踏まえ一定の改善もはかられたと認識するものの、給与等の課題については、満足のできる内容とは言い難いが、組合員への周知期間が短くなると及ぼす影響が大きくなることから、一定、大綱的に判断することとした。また、給与等の課題については、賃金確定闘争の場において、昇給・昇格条件の改善等も含めた総合的な人事・給与制度の構築に向け、引き続き、市労連と交渉・協議を行うよう要請した。その上で、定年引き上げの各種制度に関する課題は、組合員の高齢期の生活にとって重要な課題であることから、大阪市として、この間の交渉経過を踏まえるとともに、今後、新たな課題等が生じた場合は、使用者の責務として誠実に交渉・協議を行うなど誠意ある対応を強く要請し団体交渉を終了した。

※ ※ ※

市 側  定年引上げにかかる各種制度については、3月17日以降協議を重ねてきたところであるが、本日はこれまでの協議内容を踏まえ、定年引上げにかかる各種制度について提案をさせていただきたいので、よろしくお願いする。

<<提案文手交>>

 内容については、各課長から説明する。

提案読み上げ

 以上、定年引上げにかかる各種制度について提案させていただいた。

 実施時期としては、地方公務員法の一部を改正する法律が施行される、令和5年4月1日としてまいりたいので、よろしくお願いする。

組 合  市労連は、3月17日に行なった小委員会交渉で「定年の引上げにかかる各種制度(案)」に関する説明を受けて以降、各種制度に対する課題の改善に向け、事務折衝・小委員会交渉を精力的に積み重ねてきた。改めて、定年引き上げにかかる各種制度について、総務局の考え方を質しておく。

 まず、60歳以降に7割水準となる給料月額が、同じ級に属する再任用職員の給料月額を下回る課題についてである。市労連は、組合員が生活していく上で、月例給そのものが重要であるとの認識のもと、この課題については、事務折衝等において再三にわたり指摘してきたところである。この間、行われてきた「給与制度改革」や「保育士等給料表」の切替などにより、月例給が再任用職員を下回る現象については、大阪市独自の取り組みが要因であると認識するところである。特に、2012年の給与制度改革以降、多くの組合員が昇給・昇格もできずに各級の最高号給の適用を長年受けていることから、市労連として、現行の給与水準を回復させた上で、組合員の執務意欲向上につながるよう、昇給・昇格条件の改善を含めた総合的な人事・給与制度の構築を求めてきたところである。

 しかしながら、2014年の確定交渉以降、大阪市は、この課題について、長年にわたり検討を続けているとの現状認識を示すのみで、具体的な対策案を一向に示されないことは、市労連として不満であると言わざるを得ない。

 そうした事を踏まえ、7割水準となった給料月額が、再任用職員の給料月額を下回るといった課題の解消に向け、号給延長や55歳昇給停止を見直すことはもとより、総合的な人事・給与制度の構築を早急に行うべきであると認識するが、その事に対する大阪市としての考え方を示されたい。

 次に、退職手当の基本額に係る特例措置、いわゆる「ピーク時特例」についてである。総務局からの当初の説明では、「給与制度改革」ならびに「保育士等給料表」の切替時に適用された特例措置と併せて、定年の引き上げに伴い60歳以降に7割水準となる給料月額においても、特例措置の対象に追加するとの考えが示された。しかしながら、技能職員から事務職員又は事業担当主事へ転任した職員については、希望降任と同様の取り扱いとし退職日の給料月額である7割水準を基礎として、退職日から転任した日まで遡り基本額を算定するとの考えも併せて示された。

 市労連は、この間の事務折衝において、事務職員又は事業担当主事へ転任した者への取り扱いについて、7割水準で転任日まで遡り退職手当の基本額の算定を行うと、退職手当の大幅な減額に繋がるものであり、生涯賃金にも大きく影響するとの指摘を行ってきた。さらに、これらの転任制度については、大阪市の施策のもと行われてきた転任制度であり、「給与制度改革」などと同様に大阪市独自の事情として取り扱い、特例措置の対象にするべきであるとの指摘を行ってきたところである。

 そうした中、大阪市は、技能職員から、事務職員又は事業担当主事へ転任した者について、本市独自の事情として取り扱い、特例措置の適用対象に追加するとの修正を行ったところであるが、修正案に至った経過も併せて、大阪市として認識を明らかにするよう求めておく。

 さらに、高齢期の働き方に対する課題であるが、特に技能職員においては、15年以上に及ぶ新規採用の凍結などにより、職員の平均年齢が50歳を超えるなど非常に厳しい状況の中で日々の業務を行っている。その様な中、さらなる定年年齢の引き上げに伴い、職員の高齢化が進むことは明白であり、今後、職員が安心して65歳まで働くことの出来る制度の構築や、職場環境の整備を早急に行うべきであると認識する。

 大阪市からは、定年引き上げに伴う職員の高齢期における働き方について、選択肢の幅を広げるため、定年前再任用短時間勤務や高齢者部分休業などの制度を導入するとの考えが示された。しかしながら、定年前再任用短時間については定数外であり希望に見合った設置数を確保できるかは不透明である事や、高齢者部分休業については、無給となる制度であることや定数内での要員となること、さらには、代替職員が配置されないなど、制度を利用するにはハードルが高く、高齢期の働き方について選択肢の幅が広がり柔軟な対応が可能になる制度とは言い難い制度であると認識する。改めて、大阪市として、市労連がこれまで示してきた認識や指摘した内容を踏まえた上で、職員の高齢期の働き方について考え方を示すよう求めておく。

 高齢者部分休業については、対象者を、定年から5年を減じた年齢としていた、当初の説明から対象者を55歳以上と変更した事や、部分休業の取得について柔軟な対応をとるなど、一定の改善が行われたと認識するところである。今後、制度導入の趣旨を踏まえた上で、代替職員を配置するなど、高齢者部分休業を取得しやすい職場環境の整備を行うよう求めておく。

 次に、定年前再任用短時間勤務制度については、先ほども指摘したところであるが、定数外となることから職員の希望数に見合ったポストの確保については不透明な部分があると認識する。大阪市として、高齢期の働き方に対する選択肢の幅を広げるため、定年前再任用短時間勤務制度を導入するのであれば、希望するすべての職員の設置数を確保するよう求めておく。

 次に、採用のあり方についてであるが、制度完成までの期間、2年に一度、原則的に退職者数が減少するが、「定年引上げに伴う地方公共団体の定員管理のあり方に関する研究会」においても新規採用に対する認識が示されている。安定した質の高い公共サービスを提供するためにも、継続した採用を行うよう改めて要請しておく。

 さらに、定年の引き上げにかかる役職定年の制度導入に伴い、課長級以上の降任先が課長代理級になるが、そうした場合、係長から課長代理への昇格が難しくなるといった課題も生じる。昇格の関係については、組合員の勤務労働条件にも大きくかかわる重要な課題でもあることから、大阪市として、それらの課題の解決に向けて、誠意ある対応を行うよう求めておく。

 最後に、勤務延長についてであるが、定年退職予定者が行っている職務の特殊性や職務遂行上の特別な事情を鑑み、退職の特例として最長3年まで定年を延長することが出来る制度であるが、制度の運用にあたっては、特例任用と同様に特殊な場合においてのみ認められる特例的措置であり、慎重かつ厳格に運用されるよう求めておく。

 以上、定年の引き上げに関する提案に対して、われわれの思いを述べた。改めて市側の認識を示すよう求める。

市 側  委員長から指摘をいただいた点について、お答えしたい。

 まず、60歳以降の給料月額については、国家公務員の取り扱いに準じて、当分の間60歳前の7割水準に措置することとしたところであるが、7割措置後の各級の最高号給の給料月額と各級の再任用職員の給料月額を比較した場合、一部の級においては、ご指摘のとおり、7割措置後の職員の給料月額が再任用職員の給料月額を下回る場合は起こり得るものであると認識している。ただし、期末勤勉手当を加えた年収ベースでは、7割措置後の職員が上回ることとなる。また、扶養手当や住居手当が支給対象となることからも、全体として不利益な変更ではなく、現行の再任用職員と比べると相応の処遇が確保されているものである。また、この事象は、大阪市に限ったものではなく、国や他都市についても起こり得るものである。

 総合的な人事給与制度についてであるが、号給延長に関しては、これまでの交渉でお示ししているとおり、平均給与の上昇といった課題があり、人事委員会からも「現在の給与体系は職務給の原則に沿ったものである」とされているところであり、これらを踏まえると困難な状況である。

 昇格について、この間の行政職3級等の昇格選考試験の受験状況等については、分析、研究を進めているところである。

 号給延長及び昇格についての現時点の考え方はただいま申しあげたとおりであるが、この間の取組みとして、令和2年度から技能職員における2級班員制度を創設し、令和4年度からは、人事評価の給与反映を見直し、勤勉手当のメリハリを強めることによって最高号給職員のモチベーションにも配慮したものとしており、可能な範囲内での取組みを実施しているところである。

 今後の取組みとして、号給延長については、定年年齢の引き上げなどの状況の変化により、人事委員会の号給延長に対する意見に変更がみられた場合には、市側としても号給延長について、具体的な検討を重ねていきたいと考えている。

 また、昇格については、定年年齢の引上げが与える影響等についても加味したうえで、職員の士気高揚といった観点から引き続き研究していきたい。

 次に、55歳以上の昇給抑制については、国における50歳代後半層における官民の給与差の状況を踏まえた昇給抑制の取扱いに準じて、また、国からの要請も受けて実施しているものである。

 昇給抑制の年齢を引き上げた場合などには、平均給与の上昇につながり、また、民間と均衡している年齢階層別の給与水準の均衡が崩れることとなり、世代間の給与配分の適正化の観点から今般見直す状況にはないと考えている。

 なお、55歳以上職員については、人事評価結果の給与反映の見直しによる昇給号給数の調整の対象から除外しており、高齢層職員のモチベーションを考慮した取り組みを行っている。

 退職手当の基本額に係る特例措置、いわゆるピーク時特例を2回適用する場合について、この間の交渉におけるご指摘を踏まえ、協議を重ねてきたところである。その結果、本市施策として転任制度を進めてきた経過や、今後の転任制度を進めていく上での影響を考慮し、「技能職員における事務職員等又は事業担当主事への転任に伴う給料月額の減額」を追加するに至ったものである。

 高齢期の働き方についてであるが、定年前再任用短時間勤務や高齢者部分休業などの制度を導入することで、高齢期の働き方について選択肢の幅を広げることにつながると認識しているところであり、一方で、制度を取得しやすい職場環境の整備等に関してご指摘があったところであり、制度導入後、運用実態の注視・把握に努めていくこととする。

 60歳以降の職員も、体力などに個人差があり、働き方に対する考え方はそれぞれであると思われる中、これまでも個別、職員の状況に応じ、職場として配慮してきていると認識している。

 今後も、高齢期の働き方の観点から、各所属へのヒアリングや、組合に入ってくる職員の声を交渉の場を通じて聞かせていただくなど、市側としても実態の把握を適宜行い、本部―総務局間か支部―所属間かは内容次第になると思うが、安全衛生や健康に配慮しながら安心して働き続けるための職場づくりについて継続して協議していくものと考えている。

 定年前再任用短時間勤務制度については、限られた組織・定員の下で複雑高度化する行政課題に的確に対応し、公務の運営に支障をきたさないよう質の高い行政サービスを維持していく必要があることから、希望した職員全員に、定年前再任用短時間の職を用意することは難しいと考えている。

 また、現状として再任用短時間勤務の希望者は少なく、再任用短時間勤務の職が埋まらない状態が続いていることからも、希望者が多い場合、全員を定年前再任用短時間勤務にすることは、職の維持という観点からも難しいと考える。

 しかしながら、今年度実施する予定である勤務意思の確認、令和5年4月の条例施行以降の勤務意思の確認やヒアリングにおいて、定年前再任用短時間勤務の希望者が多かった場合などについては、現状の再任用短時間の職の数にとらわれることなく、適宜対応していきたい。

 業務執行体制の構築については、職制が自らの判断と責任において行う管理運営事項であるが、総務局としても、採用の在り方については、定年の段階的引上げに伴い、退職者数等の動向を見通した上で中長期的な観点から採用のあり方について検討する必要があることは認識しており、国の通知等も踏まえ、検討を行ってまいりたい。

 また、定年の引き上げにかかる管理監督職勤務上限年齢制により、管理職以上が課長代理級に降任してきた場合の係長級からの昇任への影響についても認識はしており、極端な昇任抑制にならないように検討を行ってまいりたい。

 勤務延長についても、特例任用と同様に慎重かつ厳格に運用してまいる。

組 合  人事部長より、市労連の指摘に対する認識が示された。定年引き上げの各種制度に関する課題については、組合員にとって大変重要な課題であり、大阪市としての誠意ある対応がなければ解決できるものではない。その上で、改めて数点にわたり大阪市の認識を質しておく。

 まず、60歳以降に7割水準となる給料月額が、同じ級に属する再任用職員の給料月額を下回る課題についてである。先ほども申しあげたが、この間、事務折衝等の場で再三にわたり指摘してきたところであり、給料月額は組合員の日常生活を支える基盤ともいえ、高齢期の組合員が安心した生活を送るためには、給料月額の水準は重要であると認識する。また、この間の物価高の影響を鑑みると組合員の一時金に対する期待感は、さらに大きなものとなることから、一時金で7割水準の給料月額を補うことを加味するような、再任用職員との給与水準を年収ベースで比較を行うことは、市労連として理解できるものではなく、改めて、そのことを指摘しておく。

 次に、総合的な人事・給与制度ついて、最高号給付近の滞留解消にかかる、号給延長に対する考え方が改めて示された。これまでの交渉においても大阪市からは、人事委員会の意見を踏まえると号給延長については困難な状況であるとの考えを繰り返すばかりで、一向に改善には至らない状況である。さらに、人事委員会は「現在の給与体系は職務給の原則に沿ったものである」としている一方で「最高号給に達した職員の執務意欲の維持・向上につながるような方策を継続的に検討すること」としている事からも、号給延長について人事委員会からの意見や判断を待つのではなく、その他の方策も含め大阪市として主体的に検証・検討等を行った上で、早急に最高号給付近の滞留の解消をはかるべきであると考えるが、大阪市としての認識を改めて示されたい。

 さらに、昇格に関する課題について、定年年齢の引き上げが与える影響等についても加味したうえで、引き続き研究を行うとの考えが示された。先ほども指摘したところであるが、2014年の確定交渉以降、大阪市は、これらの課題について、長年にわたり検討を続けているとの現状認識を示すのみで、課題の解決には至っていない。市労連として、昇格に関する課題については、大変重要な課題であると認識するところであり、引き続き、研究を行っていくとのことであるが、この間、どの様な検討を行ってきたのか明らかにするよう求めておく。

 また、平均給与の上昇といった課題があることから、号給延長や55歳昇給停止にかかる課題の解消は厳しいとの考えが示されているが、市労連として、平均給与の上昇については、人員マネジメントなどによる、職員の平均年齢の上昇も要因の一つであると考える。平均給与を下げるには、若年層の採用増も一つの方法であり、この間、新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大への対策として行ってきた、保健所などへの応援体制や、多くの職員が罹患・濃厚接触者となる状況においても、安定した質の高い公共サービスを提供していく課題の解消にも繋がるものと認識する。給与・人事、それぞれで検討するのではなく、他の課題も含め、連携した検討を行っていく中で、課題の解決に向けて、今後も市労連と交渉・協議を継続していくことを強く求めておく。

 とりわけ、55歳昇給停止については、制度完成時では、約10年間の昇給停止となり、組合員のモチベーションの低下はもとより、職務への影響が考えられる事から、大阪市として、誠意ある対応を行うよう改めて求めておく。

 退職手当の基本額に係る特例措置、いわゆるピーク時特例について、事務職員又は事業担当主事へ転任した者についても特例措置の適用対象として追加を行った経緯を含め考え方が示されたが、この間の市労連の指摘や交渉経過からすると当然のこととして受け止めておく。

 次に、高齢期の働き方について、定年前再任用短時間勤務や高齢者部分休業などの制度が導入されることになるが、定年前再任用短時間勤務については、希望した職員全員に、定年前再任用短時間の職を用意することは難しいとの考えが示されたが、職が用意できなかった場合においては、本務に戻れるよう、スケジュール感も含めた対応を行うよう求めておく。特に、制度全般の運用にあたり課題等が明かになった場合には、市労連と協議を行うなど、誠意ある対応を求めておく。

 加えて、高齢期の働き方の観点から、各所属へのヒアリングや、交渉の場を通じて実態の把握を適宜行い、安全衛生や健康に配慮しながら安心して働き続けるための職場づくりについて、継続して協議していくとの考えが併せて示された。市労連として、定年の引き上げに伴い、誰もが65歳まで安心して働き続けられる職場環境の整備は、大変重要な課題であると認識するところである。今後、継続した協議を行うことは当然のこととして、新たな課題が明かになった場合には、組合員が安心して働き続けられるよう、交渉・協議を行うなど誠意ある対応を併せて求めておく。

 最後に、市労連として、定年の引き上げに関しては、組合員の生活を左右する重要な課題と考える。条例改正後においても、この間の、事務折衝等で協議を行ってきた継続した課題や、今後、課題等が新たに生じた場合については、大阪市として、交渉・協議を行うなど誠実な対応を行う必要があると認識するが、その事に対する考え方を明らかにされたい。

市 側  ただいま、委員長から数点にわたる要請とご指摘を受けたところである。

 給料月額の7割水準については、人事院の「意見の申出」を踏まえたものである。公務員の給与は社会一般の情勢に適応するように変更することとされており、60歳を超えた職員の給与水準の引下げは、現時点の民間給与における高齢期雇用の実情を考慮し、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を参考に、当分の間の措置として設定したものである。

 この7割措置の結果として、7割措置後の職員の給料月額が再任用職員の給料月額を下回る場合があるが、これは、国や他都市においても起こり得るものであり、繰り返しになるが、今回の提案は、全体として不利益な変更ではなく、現行の再任用職員と比べると相応の処遇が確保されているものである。

 号給延長について、人事委員会からの意見を踏まえる必要があることは、この間説明してきたとおりであるが、人事委員会が行う調査に基づく給与改定の勧告、意見は、公務員の給与決定の客観性を支える非常に重要なものであり、本市としても注視する必要があると考えている。

 昇格については、管理運営事項となる部分もあるが、行政職3級等の昇格選考試験の実施状況や最高号給に達している職員の状況などについて、分析、研究を進めているところである。
繰り返しにはなるが、定年年齢の引上げが与える影響等についても加味したうえで、引き続き研究していきたい。

 今後も職員の頑張りや実績に報いた制度の在り方を継続的に検証し、執務意欲の向上につながる人事・給与制度となるよう、検討・研究を行い、引き続き協議を行っていきたい。

 職員が定年前再任用短時間勤務を希望したとしても定年前再任用短時間の職がなかった場合等については、人事異動のスケジュールも鑑み、適切な時期を見極めながら対応していきたい。

 定年の引き上げに関する課題については、本日の交渉のやりとりも含めて、継続した課題や、今後、新たな課題等が生じた場合については、誠意をもって交渉・協議してまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

組 合  人事部長より、改めて、市労連の指摘に対する考えが示されたところである。定年引き上げに関する課題のみでなく、総合的な人事・給与制度など組合員の賃金・労働条件の課題全般について、同じ認識を繰り返すばかりの総務局の姿勢については、強い憤りを覚えるものであることから、改めて大阪市の認識を質しておく。

 まず、給料月額が7割水準となる事により、再任用職員の給料月額を下回る課題について、国や他都市においても起こり得るとの認識を、再三、示しているが、大阪市においては、非常に多くの職員が再任用職員の給料月額を下回ることとなり、人員分布などを見ても、国や他都市とは状況が異なっていることを認識すべきである。そうしたことは、「給与制度改革」や「保育士等給料表等」の切替などによる、大阪市独自の取り組みが主な要因であることを市労連は指摘してきたところである。定年の段階的引き上げに伴い、高齢期の組合員が安心した生活を送れるよう、現行の給与水準を回復するなど、課題の早急な解決に向け、継続した協議と大阪市としての主体性を持った誠実な対応をはかるよう強く要請しておく。

 次に、号給延長ならびに昇格に関する課題についてであるが、大阪市は、検討・研究を行い、引き続き協議を行うとの考えにとどまっている。今後、定年の引き上げに伴い最高号給に滞留する組合員はさらに増加すると考えられる。また、55歳昇給停止の課題も含めると、課題の解決に向けては、早急に総合的な人事・給与制度の構築を行うことこそが重要である。改めて課題の解決に向けては、大阪市が真摯で誠実に検討・研究を行い、それに基づく労使協議が必要であると認識することから、今後の2022年賃金確定闘争の交渉の場においても、すべての所属における昇給・昇格条件の改善等も含めた総合的な人事・給与制度の構築に向け、引き続き、市労連と交渉・協議を行うよう要請しておく。

 本日示された、定年の段階的引き上げにかかる提案内容については、これまで市労連が行ってきた交渉経過から一定の改善もはかられたと認識する点もあるが、大きく影響する給与等の課題については、満足のできる内容とは言い難い。しかし、定年の引き上げに関する制度について、組合員への周知期間が短くなると及ぼす影響が大きくなることから、一定、大綱的に判断することとしたい。

 その上で申し上げるが、先ほども指摘したとおり、定年引き上げの各種制度に関する課題については、組合員の高齢期の生活にとって大変重要な課題である。そうしたことからも、大阪市として、この間の交渉経過を踏まえるとともに、今後、新たな課題等が生じた場合は、使用者の責務として誠実に、市労連及び各単組と交渉・協議を行うなど、誠意ある対応を強く要請し、本日の団体交渉を終了する。

 

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定年引上げにかかる各種制度について

【別紙】定年引上げに係る職員の給与制度について

【別紙】高齢者部分休業の導入について

 

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