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更新日:2022年9月29日

2022年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
月例給及び一時金ともに3年ぶりの引き上げを勧告。
公民較差1.93%(7,564円)、一時金は0.10月分を引き上げ。
会計年度任用職員の期末手当についても同様に引き上げ。
【市労連】
引き上げ勧告については、当然のものとして受け止める。

 大阪市人事委員会は9月29日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。

 報告内容に対し市労連は、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、当然のものとして受け止めることを表明した。また、会計年度任用職員について、期末手当で同様に支給月数を引き上げるとしたことは、この間の市労連の指摘を踏まえたものとして受け止めることを併せて表明した。

 人事評価制度については、相対化を行うことで、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価において下位区分となる課題が依然として改善されておらず、人事委員会として言及した内容が早急かつ確実に実施されるよう、人事評価制度の見直しについて言及するよう強く求めた。

 長時間勤務の是正については、市民生活の維持に必要不可欠な業務を中心に長時間の時間外勤務が大きく増加しており、新型コロナウイルス感染症対策等の影響があったとはいえ、明らかに職員不足が原因であることを指摘するとともに、業務量に応じた要員の確保が早急かつ確実に実施されるよう人事委員会としての対応を求めた。

 市労連は、2022賃金確定闘争では、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うことを表明した。

行政委員会事務局長 本日、令和4年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を市長及び市会に対して行いましたので、ご説明します。内容については、任用調査部長から説明申し上げます。

任用調査部長 はじめに、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。職員給与については、現在、局部長級を対象とした管理職手当の減額措置が実施されていますが、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は391,981円であり、給与減額措置後の平均給与月額は391,868円です。一方、民間給与は399,545円であり、その差は、給与減額措置がないものとした場合には民間給与が7,564円、率にすると1.93%上回っており、給与減額措置後は民間給与が7,677円、率にすると1.96%上回っております。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.38月分という調査結果でした。

 勧告に当たりましては、職員に本来支給されるべき給与、すなわち給与減額措置がないものとした場合の職員給与と民間給与との較差に基づき行うことが適当であると判断し、本年は公民較差1.93%を解消するために給料表の引上げ改定を行うよう勧告いたしております。

 行政職給料表の改定については、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、初任給の給料月額を大学卒は6,000円、高校卒は7,000円引き上げるとともに、30歳台半ばまでの職員に対して給料月額の平均改定率以上で重点的に配分する旨、言及しております。

 なお、再任用職員につきましても、この取扱いに準じて改定する必要がある旨、勧告しております。

 保育士につきましてはやはり30代半ばまでの層の給与が民間を下回る状況から、人材確保の必要性からも、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとしております。

 幼稚園教員でございますが、こちらは国における収入を引き上げる措置の実施を踏まえ、また、他都市の状況、賃金センサス、他の給料表の改定状況や人材確保の観点等も考慮して対処する必要があるとしております。

 また初任給調整手当につきましては、人材確保の観点から、金額や支給する期間について他都市との均衡も考慮したうえで、獣医師について初任給調整手当の支給対象とする必要があるとしております。

 特別給については、先に述べたとおり、民間の支給割合は4.38月分という調査結果でした。勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、また小数点第2位は2捨3入・7捨8入するため、4.38月分では4.40月分となります。そのため、本市職員の期末・勤勉手当の年間支給月数4.30月分から0.10月分引上げて、4.40月分とすること、引上げ分については勤勉手当に配分することを勧告しております。

 なお特定任期付職員及び会計年度任用職員の期末手当についても同様に支給月数を引き上げることとしております。

 月例給・特別給ともに3年ぶりの引上げ改定の勧告となります。

 改定の実施時期についてですが、給料表の改定は、令和4年4月1日から実施し、初任給調整手当の改定は、令和5年4月1日から実施することとしております。

 特別給につきましては、本年12月期の期末手当及び勤勉手当は改定条例の公布日から実施することを、令和5年6月期以降の期末手当及び勤勉手当は令和5年4月1日から実施することを勧告しております。

 勧告に基づく職員給与の試算でございますが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によりますと、行政職職員の平均年間給与額は約16万2千円の増加となります。

 次に、意見として、給与・人事管理制度等に関する課題について言及しています。

 まず、「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持・向上」としまして、定年の引上げに伴い、55歳以上の職員に対して、勤務実績に応じた昇給の機会を確保し、執務意欲の維持・向上を図るためにも、課長級以下の級については、5年の昇給の機会に相当する程度の号給の増設を行うことを検討することが適当である旨述べております。

 「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、組織・人員体制の構築として、人材の確保、人材の育成と合わせて、「定年引上げに伴う対応」として、高齢層職員には、専門知識や技術を持つだけでなく、新たな環境においても能力を発揮できるよう、研修・教育訓練の充実等、高齢層職員の持つ能力を最大限活かし、職場で力を発揮できる環境の整備を行う必要があります。また、労働衛生管理にもより一層の取組が求められる旨を言及しております。

 「人事評価制度」につきましては、令和4年度評価結果の給与反映から見直されたところであり、本委員会としては、今後の職員アンケートの結果を注視していくことと、評価結果の信頼性及び職員の納得性の確保等について継続的な検証に努める必要があることを述べております。

 また、「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場環境整備」としまして、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した職場環境の整備」のほか、「長時間勤務の是正」において、時間外勤務が年720時間を超過した職員が増加しており、任命権者においては、職員の健康の確保、ワーク・ライフ・バランスの実現、人材の確保の観点からも、引き続き、職員の時間外勤務の縮減に努める必要があることや、デジタル技術を活用した業務の見直し、業務量に応じた適切な要員の確保などに言及しております。

 そのほかにも「働きやすい職場環境の整備」、「ハラスメントの防止」などの各種課題について言及しております。

 最後に、「結びに」として、質の高い行政サービスを継続的に提供するためには、職員が健康でいきいきと働き続けられることが不可欠であると常々考えており、職員一人一人が生涯にわたって心身の健康を維持及び向上していけるよう環境を整備するとともに、定年の引上げに伴い、介護のために時間的制約を受ける職員の増加が想定されることにも留意して、柔軟な働き方への対応や長時間勤務の是正など、職員の働きやすい健全な職場づくりが求められる旨を述べております。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要でございます。

市労連 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。

 まず、公民給与比較であるが、月例給については現在、管理職において管理職手当の減額措置を実施しており、この給与減額措置がないものとした場合には7,564円(1.93%)、給与減額措置後では7,677円(1.96%)民間が公務を上回っており、一時金については、年間支給月数について0.08月分民間が上回っているとの説明があった。

 改定にあたっては、本来支給されるべき給与、すなわち給与減額措置がないものとした場合の職員給与と民間給与との較差に基づき行うことが適当であるとして、公民較差1.93%を解消するために給料表の引き上げ改定を行うとともに、一時金については、年間支給月数を0.10月分引き上げて、年間支給月数を4.40月分とするとの勧告がされた。大阪市においては、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、当然のものとして受け止めるとともに、再任用職員についても、この取り扱いに準じて改定を行うとしたことも同様に受け止める。また、会計年度任用職員について、期末手当で同様に支給月数を引き上げるとしたことは、この間の市労連の指摘を踏まえたものとして受け止める。

 保育士給料表については、30代半ばまでの層の給与が民間を下回る状況から、人材確保の必要性からも、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要がある、幼稚園教員については国における収入を引き上げる措置の実施を踏まえ対処する必要があると言及されている。保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。人事委員会として、引き続き職務の重要性に鑑み、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、人材確保の観点からの処遇改善の必要性や国の対応も踏まえ、給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。

 「給料表の構造等」については、「定年の引上げに伴い、55歳以上の職員に対して、勤務実績に応じた昇給の機会を確保し、執務意欲の維持・向上を図るためにも、課長級以下の級については、5年の昇給の機会に相当する程度の号給の増設を行うことを検討する」ことについて言及された。市労連として、現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であるとの認識であり、号給の増設については、一定の理解はできるものの、具体の解決には至らないことから、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない組合員の勤務意欲の観点からも、総合的な人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。

 定年引き上げに伴う対応として、高齢層職員の能力を最大限活かし、職場で力を発揮できる環境の整備と、労働衛生管理のより一層の取り組みについて言及している。重要なのは誰もが65歳まで安心かつモチベーションを維持して働き続けられる職場づくりであり、高齢層職員の賃金、労働条件にもかかわることから、55歳昇給停止など改めて人事委員会として検討するよう求める。

 人事評価制度について、2022年度評価結果の給与反映から見直されたところであり、今後の職員アンケートの結果を注視するとともに、評価結果の信頼性及び職員の納得性の確保等について継続的な検証に努める必要があることについて言及している。人事評価制度は、生涯賃金への影響を一定考慮した給与反映方法に改善が行われたものの、相対化を行うことで、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価において下位区分となる課題について、依然として改善されておらず、人事委員会として言及した内容が早急かつ確実に実施されるよう、人事評価制度の見直しについて言及するよう強く求めておく。さらに、人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘しておく。

 長時間勤務の是正については、2019年に時間外勤務時間の上限設定が定められて以降、市民生活の維持に必要不可欠な業務を中心に長時間の時間外勤務が大きく増加している。新型コロナウイルス感染症対策等の影響があったとはいえ、職員不足が原因であることは明らかである。業務量に応じた要員の確保が早急かつ確実に実施されるよう人事委員会としての対応を求めておく。

 以上、「報告及び勧告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く組合員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。

行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。

 本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。

 本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただきます。

以 上

 

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