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更新日:2023年9月29日

2023年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
月例給及び一時金ともに2年連続となる引き上げを勧告。
公民較差0.95%(3,782円)、一時金は0.10月分を引き上げ。
人事評価制度では「更なる見直し」について言及。
【市労連】
引き上げ勧告については、当然のものとして受け止める。

 大阪市人事委員会は9月29日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。

 報告内容に対し市労連は、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、当然のものとして受け止めることを表明した。また、会計年度任用職員について、昨年に引き続き期末手当で同様に支給月数を引き上げるとしたことは、この間の市労連の指摘を踏まえたものとして受け止めることを併せて表明した。

 給料表の構造等については、今後、号給の増設となるものの、一時的な対策であることを指摘し、執務意欲の観点からも、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格を含めた総合的な人事・給与制度の構築を求めた。

 人事評価制度については、絶対評価点と相対評価区分の不整合等の課題について、依然として改善されておらず、今回、人事委員会として言及した内容が、早急かつ確実に実施されるよう大阪市への対応を求めた。

 最後に、2023賃金確定闘争においては、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うことを表明した。

行政委員会事務局長 本日、令和5年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を市長及び市会に対して行いましたので、ご説明します。

 はじめに、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。職員給与については、行政職給料表適用者の平均給与月額は396,309円であり、民間給与は400,091円となっております。その差は、民間給与が3,782円、率にすると0.95%上回っております。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.51月分という調査結果でした。

 本年は公民較差0.95%を解消するために給料表の引上げ改定を行うよう勧告いたしております。

 行政職給料表の改定については、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、初任給の給料月額を大学卒は7,500円、高校卒は8,500円引き上げるとともに、30歳台までの職員に対して40歳台以上の職員よりも高い改定率で重点的に配分する旨、言及しております。

 なお、定年前再任用短時間勤務職員につきましても、この取扱いに準じて改定する必要がある旨、勧告しております。

 また、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当については、人材確保の観点から、人事院が勧告した措置等を勘案の上、引き上げる必要があるとしております。

 次に、保育士につきましては若年層の給与が民間を下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとしております。

 幼稚園教員でございますが、こちらは国において給与水準を引き上げるための方策がとられていること、賃金センサス、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点から他都市の状況も十分考慮して対処する必要があるとしております。

 特別給については、先に述べたとおり、民間の支給割合は4.51月分という調査結果でした。勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、また小数点第2位は2捨3入・7捨8入するため、4.51月分では4.50月分となります。そのため、本市職員の期末・勤勉手当の年間支給月数4.40月分から0.10月分引き上げて、4.50月分とすること、引上げ分については期末手当及び勤勉手当に均等に配分することを勧告しております。

 なお特定任期付職員及び本年度の会計年度任用職員の期末手当については支給月数を0.10月分引き上げることとしております。

 月例給・特別給ともに2年連続の引上げ改定の勧告となります。

 改定の実施時期についてですが、給料表の改定は、令和5年4月1日から実施し、特別給につきましては、本年12月期の期末手当及び勤勉手当は改定条例の公布日から実施することを、令和6年6月期以降の期末手当及び勤勉手当は令和6年4月1日から実施することを勧告しております。

 勧告に基づく職員給与の試算でございますが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によりますと、行政職職員の平均年間給与額は約10万1千円の増加となります。

 次に、意見として、給与・人事管理制度等に関する課題について言及しています。

 まず、「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持・向上」としまして、任命権者においては、社会状況の変化に応じた必要な措置を講じてきているが、現在の職務給の原則に沿った給与体系の維持を原則として、継続的に検討する必要があることを述べております。

 「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、組織・人員体制の構築として、「人材の確保」において、本市が必要とする人材を将来にわたって確保していくため、就職先としての本市の魅力の戦略的な発信に努めていく必要がある旨を言及しております。それ以外に、人材の育成や定年の引上げに伴う対応についても述べております。

 「人事評価制度」につきましては、相対評価で下位区分と評価される基準を明確にする等の更なる制度の見直しに取り組むことで、評価基準に対する透明性や評価結果への信頼性及び職員の納得性を高め、制度本来の目的である職員の資質、能力及び執務意欲の向上をより一層図る必要があることを述べております。

 また、「多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現に向けた職場環境整備」としまして、「多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備」において、今後、テレワーク中心の働き方を選択することが可能となることを踏まえ、適切な勤怠管理や人事評価等の管理監督者のマネジメント力の一層の向上、職員間の円滑なコミュニケーションの確保等が必要となることや、誰もが安心して出産・子育てをすることができる職場環境づくり及び女性職員の活躍の推進に取り組む必要がある旨を言及しております。

 そのほかにも「職員の心の健康づくりの推進等」、「長時間勤務の是正」及び「ハラスメントの防止」の各種課題について言及しております。

 最後に、「結びに」として、本市の給与制度や人事管理制度が職員の執務意欲向上や多様で有為な意欲ある人材の確保につながる実効性のある制度となっているか、更に研究を進め、必要な提言を行う等の役割を適切に果たしてまいりたい旨を述べております。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要でございます。

市労連 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。

 まず、公民給与比較であるが、月例給については3,782円(0.95%)民間が公務を上回っており、一時金については、年間支給月数について0.11月分民間が上回っているとの説明があった。

 改定にあたっては、公民較差0.95%を解消するために給料表の引き上げ改定を行うとともに、一時金については、年間支給月数を0.10月分引き上げて、年間支給月数を4.50月分とするとの勧告がされた。大阪市においては、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、当然のものとして受け止めるとともに、再任用職員についても、この取り扱いに準じて改定を行うとしたことも同様に受け止める。また、会計年度任用職員について、昨年と同様に期末手当を引き上げるとしたことは、この間の市労連の指摘を踏まえたものとして受け止める。

 保育士給料表については、若年層の給与が民間を下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとし、幼稚園教員については、国において給与水準を引き上げるための方策がとられていること、賃金センサス、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点から他都市の状況も十分考慮して対処する必要があると言及されている。保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。人事委員会として、引き続き職務の重要性に鑑み、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、人材確保の観点からの処遇改善の必要性や国の対応も踏まえ、給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。

 「給料表の構造等」については、社会状況の変化に応じた必要な措置を講じてきているが、現在の職務給の原則に沿った給与体系の維持を原則として、継続的に検討する必要があると言及されている。市労連として、現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であるとの認識である。また、2024年4月より号給増設となるものの、一時的な対策であり、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない組合員の執務意欲の向上につながるものとはなっていない。そうしたことから、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格を含めた総合的な人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。

 「人事評価制度」については、相対評価で下位区分と評価される基準を明確にする等の更なる制度の見直しにより、制度本来の目的である職員の資質、能力及び執務意欲の向上をより一層図る必要があると言及されている。人事評価制度は、一定の改善が行われてきたものの、絶対評価点と相対評価区分の不整合等の課題について、依然として改善されておらず、今回、人事委員会として言及した内容は、この間の市労連の指摘を踏まえたものとして受け止めるとともに、早急かつ確実に実施されるよう大阪市への対応を求めておく。さらに、人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘しておく。

 「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」については、組織・人員体制の構築として、必要とする人材を将来にわたって確保していくため、就職先としての本市の魅力の戦略的な発信に努めていく必要があると言及されている。市労連としては、試験制度や給与制度の改善だけではなく、長時間勤務の是正やワークライフバランスの推進、また、定年引き上げに伴う対応などについても、必要な人材の確保につながるものと認識しており、そうした課題に対するとりくみについても言及されている。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、時間外勤務の大幅な増加など、職員不足が明らかとなったことからも、業務量に応じた要員の確保が早急かつ確実に実施されるよう人事委員会としての対応を求めておく。

 以上、「報告及び勧告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く組合員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。

行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。

 本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。

以 上

 

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