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2006年3月11・18日

2006年自治体問題研究講座
「大阪市の都市像と地方自治体の役割について」

 市労連・市政調査会の共催による2006年自治体問題研究講座が、「大阪市の都市像と地方自治体の役割について」をテーマに3月11日(土)・18日(土)の2日にわけ、2日間で約300人の参加者を得てヴィアーレ大阪で開催されました。

 今回の研究講座は、改革マニュフェストを中心とする大阪市政改革についての市労連としての考え方をまとめた「市政改革に対する市労連としての基本的な考え方(案)」について提起し、相互討論をする趣旨で企画・開催したものですが、討論内容を豊富化し深めるために、1回目は西谷 敏/大阪市立大学大学院教授に、2回目は中川 幾郎/帝塚山大学大学院教授を招き、問題提起をいただきました。

講演する西谷教授(大阪市立大学)
西谷敏教授(大阪市立大学)

 3月11日は、西谷 敏/大阪市立大学大学院教授より「公務『改革』と労働基本権」をテーマに問題提起があり、市場化テスト法の経過と内容について述べられ、その問題点として、業務の公共性が保持できるのか、利潤追求が優先されるのではないか、と住民の人権やプライバシー侵害が危惧されることや労働者に与える影響については、(1)職員の配転や解雇などの問題、(2)価格競争にさらされ、公務員の労働条件低下への圧力が飛躍的に高まること、(3)民間業者の労働者も雇用が不安定になることなどがあげられると指摘されました。

 また、自治体におけるリストラの進展については、外的民間化(業者委託・指定管理者制度・独立行政法人化・市場化テスト)と内的民間化(総人件費の抑制)に分類することができるが、「行政分野を問わずに乱暴に実施すれば必要な行政がなくなる。社会の基本的なあり方を考える中で公務の意義を新たに位置づける必要がある」とし、そのためには、安定した平等で良質の市民サービスの提供や個人情報保護が重要であり、より良い社会をつくる公共サービスを考えることこそが必要と訴えられました。

 3月18日は、中川 幾郎/帝塚山大学大学院教授は、「大阪市政改革の課題を考える」をテーマに、現在の大阪市政改革マニフェストの問題点について講演をいただきました。

講演する中川教授’(帝塚山大学)
中川幾郎教授(帝塚山大学)

 はじめに、「大都市の自治体は感度や変化に鈍感であり、他の市町村は市民との協働が進んでいる」「大きな自治体がいい」という考え方は間違っていることを指摘され、「民間企業での失敗は、事なかれ主義(内向き文化)と自分たちは悪くないとする(組織の自己目的化)が原因とされている」と述べられました。

 また、「役所全体がシンクタンクとしての機能が必要であり、市民・行政・政治の基本的な関係から見直さなければならないといけない」そのためには「コミュニティの再生、再構築を行い、中学校区・小学校区の住民自治システムを導入し、地域分権を進め区役所などへの分権化(予算・権限・責任の3点セット)が必要。また、協働する市民もこのまちがすきという市民を集め、優れた市民を育てることが重要である」と訴えられました。

 特に、大阪市政改革マニフェストは、NPM(ニューパブリックマネージメント)を基礎にしているが、効率性や経済性のみであり、公共性や公益性の視点・雇用の安定などの課題が欠落しており、安易な市民満足志向に走っている。今こそ、社会の仕組みに金を投資すべきであり、現場からの政策提案が大切。最後に、地域経営との連動のためにも「地域担当職員制度」をもうける必要がある」と強調されました。

 参加者からもそれぞれの講演に多くの意見・質問があり、そのことを含め「市労連としての考え方」を豊富化させていく意味では2006年自治体問題研究講座は、多くの成果を得て終了したと言えます。

講演を聴く組合員

 

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